プロのライターがガチで選んだ、文章がうまくなりたい人が読むべきスゴ本10冊

選び抜いた文章本10冊

「書くのは苦手だが、どうしても文章がうまくなりたい」「自分では名文のつもりだけれど、評判が良くない」「論理的な文章が書けるようになりたい」……そんな悩みを抱えている人のために文章術の本、集めました。手軽に読めるものから、ちょっと骨のあるものまで、全部で10冊。1冊でも読めば何か必ず気づきが得られるはず。

1. 『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』

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画像出典:http://amzn.to/1LF4lB9

井上ひさし氏の「作文教室」の講義内容を編集した一冊。これ以上ないぐらいシンプルで読みやすい誰にでもおススメできる文章本です。「いきなり核心から入る」など作文の基本や日本語の使い方・調べ方に加え、「文章に接着剤を使いすぎるな」といったわかりやすい文章を書くための取り入れやすいテクニックが盛りだくさんです。
また最後には「自分が今一番悩んでいることを400字で書きなさい」というお題に対して、講義の参加者が寄せた原稿の添削が載っています。読みやすさもさることながら、具体的な指南まで受けられるので、「何からどう始めていいかわからない」という人にオススメです。

著者:井上ひさし
編集:文学の蔵
定価:562円
出版年度:2001年(初版:1998年)
出版社:新潮社
サイズ:文庫

2. 『文章読本』

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初版が1977年の旧仮名遣いが味わい深い、丸山才一の「文章指南」書。「作文の極意はただ名文に接し名文に親しむこと、それに盡(つ)きる」とし、谷崎潤一郎や志賀直哉、佐藤春夫に日本国憲法など、著者の丸山氏が「名文」とする文章が数々引用され、それについての丁寧な解説がされています。

文語文が多いので読みにくい面はありますが、だからこそゆっくりじっくりと読むので、得るものは大きいはず。名文の名文たる理由がわかれば、自ずと自分が書く文章も客観的に見られるようになる、その理屈に納得できる一冊です。

著者:丸山才一
定価:823円
出版年度:1995年(初版:1937年)
出版社:中央公論社
サイズ:文庫

3. 『「超」文章法』

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「ドラマチックに始め、印象深く終えよ」。そのための文章の構成の作り方や比喩や引用の使い方、わかりやすい文章を書くための対比の使い方といったテクニック面について書かれていますが、本書が掲げる文章の極意は「メッセージを決めること」です。

より強力なメッセージを核に据えられれば構成や修辞は文章全体において二割程度のウェイトしかないと著者は言います。淡々とした文章よりは「面白い!」と言われる文章を書きたい人なら必読の名著です。

著者:野口悠紀雄
定価:842円
出版年度:2002年
出版社:中央公論新社
サイズ:新書

4. 『本当の自分を見つける文章術』

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具体的なテクニックというよりは、そもそも「文章を書く」ことへのモチベーションが続かない人、自分の文章に自信がない人にオススメしたい本です。人は誰でも自分の中に伝えたいこと・伝えるべきことを持っているのだから、それを素直に書き出すことから始めなさいという一貫したコンセプトのもと書かれています。

そしてその「素直に書き出す」ためにどのように文章に向かえばいいのかについての指南がされます。文章に対して苦手意識はあるけれど、どうしても書けるようになりたい!切実にそう願う人にぜひ読んでほしい一冊です。

著者:ブレンダ・ウェランド
定価:1,620円
出版年度:2004年(初版:1938年)
出版社:アトリエHB
サイズ:単行本

5. 『伝わる・揺さぶる!文章を書く』

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文章を書いていると、時についつい調子に乗って、自分の意見や論理ばかりが先走ってしまう人にオススメしたい本です。「伝える文章」ではなく「伝わる文章」を書くために、「それを書いて相手をどうしたいのか」という視点から文章を構成する方法について書かれています。

基本的な文章の考え方を学んだ後は、「上司を説得する」「お願いの文章を書く」「議事録を書く」「志望理由(自薦状)を書く」「お詫びをする」「メールを書く」といったシチュエーションに分けて実践的な方法についても紹介されています。自分の文章力には自信があるんだけれども、なぜか反応が良くないという人はぜひ。

著者:山田ズーニー
定価:713円
出版年度:2001年
出版社:PHP研究所
サイズ:新書

6. 『広告コピーってこう書くんだ!読本』

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資生堂TSUBAKI「日本の女性は、美しい。」などのコピーを手がけ、数々の受賞歴のある著者がコピーライティング力をつけるためのトレーニング方法を指南した本です。「散らかす→選ぶ→磨く」という文章のブラッシュアップ方法、「なんかいいよね」という感想を自ら禁止して「なぜいいのか」を考えることで「いい文章」を書くための力を鍛える方法などが紹介されます。

コピーを書くつもりで文章力を鍛えたいというわけではなくとも、何かをテーマに文章の構成を考える際にも十分役立つメソッドが満載です。

著者:谷山雅計
定価:1,944円
出版年度:2007年
出版社:宣伝会議
サイズ:単行本

7. 『ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則』

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著者はアメリカ広告業界で58年間活躍し続けたコピーライター、ジョン・ケーブルズです。コピーライティングの本なので「ほとんどの広告では見出しが一番重要」などの項目も多く見られますが、例えば「どう言うかより、何を言うかのほうが重要」「一般的な内容より、具体的な内容のほうが信用される」といった内容は、一般的な文章にも当てはまるアドバイスと言えます。

「自分はコピーライティングするわけじゃないし」という人でも、短い文章の中でいかにインパクトのある文章を書くかということに興味がある場合は、何度も読み返すくらい、価値のある本です。

著者:ジョン・ケーブルズ
定価:3,456円
出版年度:2008年(初版:1932年)
出版社:ダイアモンド社
サイズ:単行本

8. 『理科系の作文技術』

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論理的な文章がうまく書けずに困っているという人には必読の一冊。主観と客観が文章に混在するのを防止するための「事実と意見の書き分け方」や論理展開の順序、文の構成の考え方などについて、著者自信のメモや論文の一部を具体例として解説しています。

「論文みたいな文章を書きたいわけじゃない」という人もいるかもしれませんが、「伝わる文章」を書くには論理的な一貫性は大前提。基本中の基本を身につけるためにもぜひご一読をおすすめします。

著者:木下是雄
定価:756円
出版年度:1981年
出版社:中央公論新社
サイズ:新書

9. 『俳句−四合目からの出発』

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言うまでもなく俳句とは五七五の17文字だけで伝える表現方法です。著者はこのためにはありとあらゆる無駄を切り捨てよと言います。この場合の無駄とは「抽象」「観念」「主観」の全て。それを排した上で個性的な表現をすることで「良い句」になると言うわけです。

この本を読んでいると、自分の文章はいかに無駄が多いかを痛感させられます。痛快なまでの既存俳句へのこけおろしも面白く読めます。俳句を詠まずとも、文章を書く人なら必読の一冊。

著者:阿部 ショウ人
定価:1,458円
出版年度:1984年(初版:1967年)
出版社:講談社
サイズ:文庫

10. 『文章心得帖』

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哲学者の鶴見俊輔が、研究室の学生たちとディスカッションしながら文章の添削を行なっていくというスタイルの読みやすい本。著者が言うには文章の心得とは「余計なことを言わず、かつ紋切り型の言葉を突き崩す」ことだと言います。また「誠実さ」「明晰さ」「わかりやすさ」を大切にしなさいとも言います。

悪い例として紹介される例文が一見すると「悪文」には見えないため、解説を読むことで自分の盲点に気づけるという目から鱗な一冊。

著者:鶴見俊輔
定価:972円
出版年度:2013年(初版:1980年)
出版社:筑摩書房
サイズ:文庫

どの本も本気でおススメです

古今東西、様々な文筆家が文章術の本を出しています。その中でもここで挙げた著作は名著揃い。どれもきっと役に立つでしょう。迷ってしまう人は、まず読みやすい井上ひさしさんの本から入ることをおススメします。

[文・編集] サムライト編集部