モノ・サービスは「動画」で売り込もう!ネット時代に必要不可欠な「動画」の超基本

「動画で伝える」はビジネスパーソンの武器になる

自社の商品やサービスを売り込もうとするとき、みなさんはどんな方法を思い浮かべるでしょうか。例えば「テキストを使って丁寧に説明する」「きれいな写真を使って印象で勝負する」が考えられますが、今後はぜひ「動画を作って伝える」を選択肢に入れるべきです。SNSでもタイムラインに何かしらの動画が流れ、YouTubeを通じてモノ・サービスの訴求をしている企業も増えている中で、消費者にとっても動画は身近な存在になっています。

この状況を利用し、自分で動画を作って伝えられるようになれば、それだけでビジネススキルになるでしょう。また基本だけでも理解していれば、専門の企業に動画制作を依頼するときにも役立ちます。ここではそのための第一歩を踏み出してもらうべく、『ネット時代の動画活用講座』を参考に動画のメリットや動画制作のために基本的な考え方、必要なものを紹介します。

動画を使うことの4つのメリット

なぜこれほどまでに動画が溢れかえる世の中になったのか。それには「低コストで大容量のデータをウェブ上にアップロードできるようになった」などの技術的な側面も大きく関わっていますが、何より動画が強力なコミュニケーションツールだからです。動画を使ってモノ・サービスを売り込むメリットは、大きく4つあります。

第一に直感的に訴えかけられる点です。確かにテキストでのメッセージは、より正確にこちらの意図を伝えるのに適しています。しかし文章を読み、理解するためには一定以上の時間と労力が必要です。

また微妙なニュアンスまで伝えるのが難しいという問題もあります。これに対して動画なら、映像と音声を駆使してこちらの意図を言葉にしにくいニュアンス含めて、直感的に伝えられます。

第二に「親近感・信頼感」を急速に高められるという点です。例えばスーパーの野菜売り場で「○○さんが作ったトマト」とテキストだけで書かれている場合と◯◯さんの写真とテキストで書かれている場合を比べると、後者の方が親近感と信頼感は強くなります。

しかし写真+テキストの場合と、小型ディスプレイで動画が表示されている場合を比べると、動画の方がより◯○さんの人柄や想いが伝わり、親近感と信頼感が高まるはずです。「その人が目の前(画面)で動いている」という事実が、高いメッセージ性を実現するのです。

第三に一度作ると様々な媒体に転用できるという点です。YouTube用に作った動画はFacebookやTwitterにも転用できますし、前述のスーパーの例のように店頭のディスプレイに表示して使うこともできます。そのため制作に慣れてくればプロモーションにかかる時間と労力を大幅にカットできるようになります。

第四に作り方によってはテキストベースよりも手早く、簡単に作れるという点です。『ネット時代の動画活用講座』の著者大須賀淳さんは、動画をテキストや写真と比べたうえで「作り方によっては、もっとも手軽に一定量の情報を発信する手段」(前掲書p6)と表現しています。したがって、いまからコミュニケーションツールの腕を磨くのであれば、テキストでも写真でもなく、動画の腕を磨くのが最も懸命と言えるでしょう。

動画を作るための「超基本」の考え方

「動画制作」を何か芸術系・メディア系の人たちの特権だと思っているとしたら、それは勘違いです。なぜなら最も基本的な部分は、他の仕事も動画制作も同じだからです。これは大須賀さんが著書の中で言及しているわけではありません。しかし以下で示す動画制作の企画手順を見れば、自ずと他の仕事との共通点が見出せるはずです。

動画制作の第一歩は「綿密な企画」から始まります。そのための考え方として、大須賀さんは著書の中で「6W→1H」のフレームワークを提案しています。

What(何を):店舗や会社について伝えるのか、人物やイベント、モノ・サービスを伝えるのか?
Why(なぜ):知名度の上昇が目的か、あるいは売上や利益増が目的か?
When(いつ):期間限定のスポット配信にするのか、それとも永続的に公開する動画なのか?
Where(どこに):動画配信サイトに公開するのか、店頭での放映やDVDでの配布にするのか?
Who(誰が):動画出演者個人のメッセージにするのか、それとも店舗や会社などの組織からのメッセージにするのか?
Whom(誰に):「行動して欲しい対象」は誰か?

How(どのように):6Wを伝えるときの絶対的な上限時間はどれくらいか?

これらが明確になると、どんな動画にするのかがより具体的になってきます。社員が登場するものにするのか、イラストやアニメーションを使うのか、声やテロップはどの程度使うのかなどです。それがわかればどんな道具や人が必要で、撮影場所はどこが最適かなども明確になります。こうした企画立案の手法は一見すると地味かもしれませんが、「どんなカメラテクニックよりも重要かつ有効なノウハウ」(前掲書p7)です。

このような企画のノウハウは、特に動画制作に携わってこなくても身につけられるノウハウです。したがって「動画で伝える」というスキルを身につけるにあたって、必要以上に気構える必要はないのです。

昨年末に、素人の筆者が絵コンテを作成して、友人の居酒屋のプロモーション動画を作成してみました。カット数が多かったので、撮影には半日ほど時間がかかりましたがちゃんと形になりました。

意識したことは1シーンをなるべく短くして、テンポよく見せることです。実際に制作してみると、想像以上に音楽が重要だと思いました。映像のクオリティの50%は音楽が決めると言っても言い過ぎではないと思います。先に使いたい音楽を決めてから撮影をするとイメージが湧きやすいと思います。

「動画で伝える」ために必要なものとは?

動画の一歩を踏み出してみようかな、と思った人のために以下では必要なものについて紹介します。

プロレベルの動画を撮ろうとすれば様々な機材や機器が必要になりますが、どんな人でも必要になるのが「映像収録機器」、すなわちビデオカメラなどです。この他写真用カメラの動画撮影機能(低予算映画ではデジタル一眼レフを使うことも)、GoProなどのウェアラブルカメラやスマホのカメラなども選択肢に入ります。

大須賀さんが指摘するカメラ選びの大前提は「面倒と感じないこと」。機械が得意な人は本格的なビデオカメラでも十分価値はありますが、そうでない人の場合は手軽に撮れるスマホのカメラを活用する方が経験値を積むことができます。スキルを磨くためにはある程度の継続が必須なので、無理なく続けられるものを選びましょう。

大須賀さんは映像収録機器に関しては、専門家でもない限り業務用の機器を買うメリットはなくなってきているといいます。しかし動画編集ソフトに関しては、業務向けのものを強くおすすめしています。その理由は、プロ向け編集ソフトが「限られた時間の中でいかに高効率で作業できるか」を追求して作られているからです。

家庭用ソフトで長時間かかって嫌になったり飽きたりするよりも、業務用ソフトで手早く編集して動画を楽しめる方が、結果的にコストパフォーマンスが高くなります。スキルアップのために動画制作に望むのであれば、業務用ソフトを買うべきでしょう。選択肢としては「Adobe Premiere Pro」「Apple Final Cut Pro」「EDIUS」「VEGAS」などが挙げられます。

基本を理解すればアウトソーシングもしやすくなる!

書籍や雑誌を読みながら動画を勉強していれば、動画にどんなことができるのかが徐々に理解できるはずです。そうなれば「動画広告」や「動画マーケティング」、「映像配信ソリューション」といったサービスを利用して、動画制作をアウトソーシングするときにも、相手先とより効率的にコミュニケーションがとれるようになります。

こうしたサービスを提供する企業の中には、開発から運営サポートまでをワンストップで対応してくれるところもあります。しかしそのような場合でも依頼する側が具体的に「どんな動画にしたいか」「どんなメディアにしたいか」を持っているかどうかは、コミュニケーションの良し悪しに多く関わってきます。

「なんとなく良い感じにして欲しい」と言うクライアントに限って、どんなに手間がかかるかも知らずに複数の代案を要求したり、無茶な修正指示をしたりするもの。そうなればサービスを提供する企業の担当者のモチベーションも下がらざるを得ません。

一方で素人なりにでも動画制作技術を学んでいれば、あらかじめどんな情報があればどんな動画になるかがある程度イメージできます。自分の会社にその分野に詳しい人がいなければ、動画に関する事業のリーダーになれる可能性だってあるでしょう。

これからのビジネスは「動画」で加速する

動画コンテンツの存在感はここ数年で急速に高まっています。この流れは当分の間続くでしょう。いまからでも動画制作のスキルを身につければ、きっと自分のキャリアや自社のビジネスを加速させられるはずです。

そうなればさらに動画関連の知識と経験が蓄積され、専門性の高いスキルへとレベルアップしていきます。「動画」を仲間内のレジャーで終わらせず、ビジネススキルに昇華する。いま私たちにはこの視点が求められているのです。

参考文献『ネット時代の動画活用講座』
Career Supli
動画は短時間で伝えられる情報量が圧倒的です。ぜひチャレンジしてみましょう。
[文・編集] サムライト編集部