グループがチームに変わっていくために必要なこと

「チーム」と「グループ」の違いとは?

部署移動があったり、新入社員が入ってきたりと会社内で人の移動が起こる時期は、それに伴って新しい「チーム」や「グループ」が形成されます。この2つは、どちらも「集団」を意味する言葉ですが、皆さんは、どちらの集団がより“強い”と思いますか?

チームというと、「日本代表チーム」や「チームプレー」というふうに、それぞれの個の力を合わせ、最大限のパフォーマンスを発揮する集団というイメージが持てます。一方でグループは、「グループ会社」や「グループワーク」など、ある共通点や目的のもと括られた集団というイメージですよね。

今回は、そんなビジネスにおける「チーム」と「グループ」の違いについて解説していくとともに、信頼されるリーダーの条件について紐解いていきます。

グループはチーム形成における初期段階

チーム形成において、新しくチームがつくられたばかりの初期段階では、力量のある個人が集まっていたとしても、集団としての力を最大限に発揮できない「グループ」の状態であると考えられます。この状態から「チーム」へと昇華するためには、次の段階をクリアする必要があります。

ステージ1. メンバー同士の探り合いの段階

人が集まったばかりの初期段階は、メンバー同士が互いの距離感を探り合っている緊張状態となっています。この状態では、個々人が頑張ろうと思っていたとしても、コミュニケーション不足によりパフォーマンスが低下してしまいがちです。

しかし、難しく考えることはありません。コミュニケーションを活性化させるには何かきっかけがあればよいので、自己紹介をしたり、飲み会を開いたりするなど、メンバー同士がカジュアルに互いの情報を交換できる場を設けてみることで、コミュニケーション不足を解消することができるはずです。

ステージ2. 意見の対立や衝突による相互理解の段階

時間を経て集団内のコミュニケーション量が増えてくると、チーム形成は次の段階へと移行します。メンバーが正直に自分の意見を発言できる状態になると、意見の対立や衝突も生じてくることでしょう。しかし、これはメンバーが自らの役割や重要性を理解し始めていることによる「成長痛」のようなものと考えてください。

この状態でメンバーを集団から離反させないためには、チームとして最終的に目指す目的やゴールを確認し、意見を出し合う意味を全員がしっかりと理解している必要があります。このモヤモヤした段階を経ることで、互いを理解しあった真のチームワークが生まれてくるのです。

ステージ3. フォロー体制を確立する段階

互いの強みや弱みをメンバーそれぞれが理解できると、「自分はチームのために何をすべきか?」という思考が生まれ、集団にフォロー体制が確立されていきます。この段階では個々人が自ら考えて行動し、メンバー同士が自分の領域外に踏み込んで役割以上のパフォーマンスを発揮しようとしている状態です。

こうしてチーム全体としての力がついてくると、互いへの信頼度が高まることはもちろん、仕事にやりがいを感じやすくなり、毎日のモチベーションも上がりますし、チームへの帰属意識も高まります。初期段階と比較して、仕事効率や実績差は目に見えるものとなっているはずです。

チームにおけるリーダーとは何か?

ここまでグループがチームに昇華するまでの段階について解説してきましたが、次に「チーム形成における理想のリーダー」とはどのようなものなのかを考察していきます。

リーダーというと、「仕事が早い」や「指示出しが上手い」といった優秀な人がなるものとイメージするかもしれませんが、チーム形成に必要なリーダーは、仕事ができるカリスマである必要はありません。

リーダーの持つ能力が優秀であればあるほど、メンバーはリーダーの意思や指示に依存しやすくなり、自ら考えることをしなくなります。自分の意見が求められない集団には帰属意識が生まれず、メンバーが離反しやすくなってしまうのです。つまり、チーム形成における理想のリーダーは「メンバーが依存できないリーダー」であると言えます。

リーダーがメンバーにすべき3つのこと

しかしながら、メンバーが依存できないように「リーダーは何もしなくてよい」というわけではありません。リーダーはメンバーに対して次の3つのことをする責任があります。

1. メンバーの価値観を理解し、受け入れる

チーム形成の全体感をコントロールするために、リーダーはメンバーのことを観察し、強みや弱みは何なのか、どんな価値観を持っているのかを理解し、それを受け入れる必要があります。価値観を知っておくことで、メンバー同士の意見の対立や衝突が発生した際の仲裁やフォローに回ることや、本音を引き出したりしやすくなるはずです。

2. 目標に対してやる意味を与える

ミッションや目標に対して、モチベーションとなるような意味を与えることもリーダーが果たすべき役割のひとつです。「これをやりきれば、こういうメリットがある」とメンバーが意識することで、仕事を自分ごと化し、パフォーマンスを高めることができます。

3. 成果や実績を褒める

メンバーが出した成果や実績に対して褒めることも大切です。成果を出しても褒められない環境では、メンバーは自分の存在価値を感じられなくなり、モチベーションやチームへの帰属意識も低下してしまいます。

「自分の存在をちゃんと評価してくれている」という安心感は、リーダーへの信頼のみならず、仕事へのパフォーマンスも高めるものです。メンバーには積極的に声をかけるよう心がけましょう。

「会社」というチームに加入するとき

最後に、「会社」という集団をひとつのチームとして考えてみましょう。世の中には数え切れないほど多くの会社が存在します。しかし、その中で実績を出して生き残れる会社はほんの一握りです。その差は、会社という集団が「グループ」なのか「チーム」なのかで大きく分かれます。

転職の際、多くの人が知名度や年収などを基準として会社を選ぶと思いますが、「現場責任者はどういった性格なのか」や「社員は生き生きとしているか」などもぜひチェックしてほしいポイントです。自分がその会社の価値観とマッチできるか、あらゆる情報をもとに考えてみてください。

Career Supli
チームメンバーの特性を知るためにストレングス・ファインダーなどの診断テストを行い、その結果をチームで共有することをオススメします。
[文・編集] サムライト編集部