1億円プレイヤーは1000人以上、東大出身のプロポーカー師、木原直哉さんに学ぶ勝つための思考法

世界的な経営者もポーカーに熱中

ラスベガスで行われたポーカーの世界選手権で、初の日本人チャンピオンになった木原直哉さん。これまでの総獲得賞金は89万4584ドル、プロポーカー師として活躍する木原さんは、何と東京大学理学部の卒業

木原さんは、ポーカーで勝つために必要なのは「運は関係ない。重要なのは投資や会社経営と同じマネジメント能力。ポーカーがギャンブルというイメージを変えたい」と話しています。

日本でよくやる5枚のカードを伏せて配り、好きな枚数を取り替えてやるポーカーは「ドローポーカー」というもので世界的には、かなりマイナーな存在のようです。世界で最も遊ばれているポーカーは「テキサスホールデム」と呼ばれているものです。

ルールはディーラーから最初に配られた2枚のホールカード(伏せられている)と、ボードに開かれた5枚のコミュニティカード(オープンになっている)、計7枚のカードから最強になるように抜き出した5枚のカードでハンドを作ります。ホールカードを使わずに、ボードの5枚でハンドを作っても問題ありません。カードがオープンになっている枚数が多いので、瞬時に確率を計算して戦う頭脳戦の要素が大きくなります。

ビルゲイツやウォーレン・バフェットなどの世界的な経営者も、ポーカーに熱中し、高成績を残していたそうです。ビジネス感覚が鋭敏になると、ビジネスマンの間でも注目されているポーカー。

「ギャンブルはちょっと…」という方も、木原さんの勝つための思考法を、日々の仕事に生かしてみませんか。

1000人以上が1億円プレーヤー、一攫千金が狙えるポーカーの世界

Happy Senior Couple on the Bow of a Sail Boat

日本ではマイナーなポーカーですが、世界には数億人のプレーヤーがおり、1000人以上の人が通算1億円の賞金を稼ぎ、ポーカーだけで生計を立てています。日本でもカジノの導入などで、注目が高まっており競技人口は増えているとのことです。

ポーカーを、「ギャンブルではなく、投資の要素が強いゲーム」と話す木原さんの勝利の法則は、ビジネスでも使えるものばかり。ご紹介しましょう。

木原さんの勝利の法則1: プラスを最大限、マイナスを最小限に

いつも手元に強いカードばかりがあるわけではないポーカーでは好況を最大限に生かす一方、悪い状況の時には、マイナスを最小限にする努力が勝負をわけると木原さんは言います。勝負で負ける人のほとんどは焦ってさらに状況を悪化させて自滅するそうです。

どんな業界にいても、景気や海外の情勢などの直接関係ない要因が、ビジネスに影響を与えることもあります。良い状況がずっと続くことはありません。

そんな頑張ってもなかなか努力が報われない時、開き直ったり、お酒に逃げたりしていませんか?悪い状況では、グッとこらえてマイナスを最小限にすることが、負けない戦い方のポイントです。

木原さんの勝利の法則2: 追いこまれても熱くならず、平常心

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毎試合良い戦況で試合が出来るわけではないポーカーの世界。木原さんいわく、どんなに追いこまれたときにも、熱くならず、平常心を保ち続けるのが重要だとのこと。

どんなに優秀なビジネスマンでも、いつも平坦な道を歩める訳ではありません。ビジネスをやっている以上、誰にでもピンチはやってきます。そんな時つい感情的になってしまったり、判断を急いで後悔した経験はありませんか?

麻雀の最強位を持つ勝負師でもあるサイバーエージェントの藤田社長も、どんな時も力まずに常にニュートラルでいることを心がけているといいます。自分が今どんな精神状態にあるのか、俯瞰で見る習慣をつけましょう。

木原さんの勝利の法則3: 自分の直感を信じない

 
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ビジネスでは毎日が選択の連続です。数百円の備品購入から、数億単位の大規模プロジェクトまで。ポーカーの世界でも、勝負のために決断しないといけない瞬間が必ずやってきます。

ですが、木原さんによると「リスクを恐れず勝負に出ることは絶対に必要ですが、絶対に焦ってはいけない」とのこと。そして自分の直感を極力、信じないようにしているといいます。

勝負師であれば「自分の直感を信じて行動しろ」ということを言われるのかと思いきや、そうではありませんでした。入念に準備や仕込みを行い、ここまでやれば大丈夫という段階で、はじめて勝負にでる決断をするのです。

ビジネスにおいても簡単に自分の直感を信じるのではなく、十分な下調べや、準備の積み重ねの上で、いけると判断できれば勝負するという慎重さと、ここ一番の決断力の両方を意識しましょう。

木原さんの勝利の法則4: 勝ちを急がない

木原さんは、強くなるためにはゲームをこなして経験値をあげること、試合の時も勝つ見込みの薄い賭けにでないことが重要で、地道にコツコツやることこそが、一番の勝利への近道だと話しています。

自分の友人が起業したり、メディアに取りあげられていたりすると、つい自分もと、焦って結果を求めたくなりますが、焦らず目の前の仕事に全力で取り組みましょう。自由に楽しくノリだけで生きているように見えるハイパーメディアクリエイターの高城剛さんも、7年計画を立ててじっくりとキャリアを構築しているといいます。

今から7年後は2022年です。あなたがブレイクするのは2022年だと思って地道にいきましょう。

木原さんの勝利の法則5: 調子が悪い時はやり方を変えない

 
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調子が悪くなると、その局面を打開しようと普段やっていないことをやりたくなりますが、調子が悪いときには、プレースタイルを変えるべきではないと木原さんはいいます。

もしそこでプレースタイルを変えて結果が出なかった場合、何が不調の原因なのか、余計にわからなくなってしまうからです。

逆にうまくいっている時は、いつまでもその状態が続くとは限らないので、さらに上にいくためにプレースタイルを変えるチャンスだといいます。

世界的に活躍するデザイナーのnendo佐藤オオキさんは、ちょっとした変化や違和感を感じ取るために、毎日同じお店でコーヒーを飲み、同じお蕎麦屋さんでまったく同じメニューを食べるといいます。

変化したり、新しいことを経験するのは良いことだと信じている人も多いと思いますが、いつもそれが正解とは限りません。やり方を変えない方が正しい場合もあるのです。

おわりに

どのジャンルでも一線で活躍する人たちには共通する部分があります。自分とは違うジャンルの人ほど、参考にすると仕事に役立つことが多かったりします。

木原さんに興味を持たれた方は、木原直哉さんの著書『運と実力の間(あわい)』(飛鳥新社)などをぜひ手にとってみてください。
[文・編集] サムライト編集部