ディズニー幹部も口説き落とした戦略的おべんちゃらのススメ

今こそおべんちゃらをマスターしよう!

「おべんちゃら」を言うなんてウソをつくのと同じ。そんな風に考えている人も多いのではないでしょうか。「本当に仕事ができる人は、おべんちゃらなんか使わなくても仕事をとってくるものだ」そう思いたい人も少なくないでしょう。しかし残念ながらそれは真実ではありません。

もちろんおべんちゃらができるだけでは出世は望めませんが、仕事だけできても同じことです。ここではそのメカニズムを解説するとともに、「おべんちゃら」を使いこなすための考え方と、幾つかの具体的なテクニックを紹介します。

おべんちゃらはなぜ必要なのか?

仕事ができる人材のもとには、自然と仕事が集まってくるもの。そのため組織内の重要な決裁権を持っている人間はいつでも忙しくしています。そのような人たちに自分が認めてもらったり、取り立ててもらおうというのに、地味にコツコツ頑張っていてはいつまでも報われません。なぜなら、「デキる人間は目立たないところに目を配るほど暇ではない」からです。

どうするべきかと言えば、「おべんちゃら」を使ってとにかくデキる人間の目にとまるよう最大限の努力をするべきなのです。逆に言えば、「一生懸命頑張っているのに誰も気づいてくれない」という人間は、気づいてもらう努力をしていない、あるいは気づいてもらうまで「待っている」受動的な姿勢の持ち主だとすら言えます。「出世したい」「もっと大きな仕事を任せて欲しい」そう思うのであれば、行動すべし。その行動の1つが「おべんちゃら」なのです。

「戦略的おべんちゃら」のすすめ

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実際これまで大きな成功を手にしてきたビジネスパーソンの中には「おべんちゃらのエキスパート」とも呼ぶべき人間が数多く存在します。

例えば東京ディズニーランドの総合プロデュースなどを手がけた堀貞一郎は、ディズニー幹部の飲み物の好みを徹底的にリサーチし、ディズニーランド誘致のプレゼンの際に完璧なもてなしをしました。ディズニー幹部はこれを受けて「ここまで気配りができる会社ならディズニーを任せても良いだろう」と判断したのだそうです。

一見すると「まやかしのおべんちゃら」に見える堀氏の行動ですが、このおべんちゃらをディズニー側は「企業の体質」として受け取っています。目的達成の決め手となるような「おべんちゃら」を「戦略的おべんちゃら」と呼ぶのだとすれば、堀氏の行ったもてなしはまさにそれです。

もし立身出世を望むのであれば、この戦略的おべんちゃらを頭と体に叩き込む必要があります。そうして初めておべんちゃらは単なる「まやかし」ではなく、ビジネスチャンスを掴むための「武器」になるのです。

さて以下では「名刺交換」「メール作成」「接待」の3つのシーンに分けて、戦略的おべんちゃらの具体的な方法について見ていきましょう。

戦略的おべんちゃら名刺交換術

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名刺交換がビジネスにおける重要性は誰しもが知っていることですが、このシーンでも戦略的おべんちゃらは有効です。1つは「少しでもいいので相手よりも下から名刺を出す」というワザ。

日本には、目下の者は目上の者より高い位置に立たないという習慣があります。若いビジネスパーソンなら気にしないかもしれませんが、立場のある年配の人物ならばこういった「決まりごと」には厳しく目を光らせています。その他の名刺交換における決まりごとは以下のとおり。

1. 名刺交換時は上着着用
2. 机越しの交換はタブー
3. 受け取りは両手
4. 得意先の名前には指をかけない
5. もらった名刺は一言一句漏らさず読む
6. 読んだら顔を上げて相手の顔を見る
7. 名刺交換は上司や先輩が先

これらの手順をきちんと踏んでこそ、完璧な名刺交換となります。確かに名刺を交換するだけが目的なのであれば、今あげた8つの決まりごとは全て必要ありません。しかし「あなたを大切に思っていますよ、尊重していますよ」ということをアピールし、ビジネスチャンスへとつなげるためには、これらは戦略として必要なおべんちゃらなのです。

戦略的おべんちゃらメール作成術

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立場のある年配のビジネスパーソンとのコミュニケーションで最も難しいのがメールでのやりとりです。少なくとも高校生くらいから「メール」というコミュニケーション手段に慣れ親しんできた世代と、社会人になってからメールを知った世代とでは、すれ違いが起こりやすいのです。そのためメール作成においても「戦略的おべんちゃら」を駆使する必要があります。

例えば返信時の相手の文面の引用方法にも「戦略的おべんちゃら」の使いどころがあります。それは相手のメールの重要なところだけを要約、それを確認事項として返信をするという方法です。こうすれば「お、あいつのメールは読みやすいな」と上司が気にとめてくれる確率もアップします。

やってしまいがちな文面全てを引用するのは実はNG。確かに共有情報の抜けなどが起きてしまうと厄介なので、この方法は便利ではあります。しかし受け取る側からしてみれば、自分のメールを含めた長文のメールを読まされることになるわけです。

また特にメールを確認する習慣のない相手に対しては、メール送信後に「今送りましたのでご確認をお願いいたします」といった内容の電話をかけるようにしましょう。

自分にとっては定期的にメールチェックするのが当たり前でも、相手はそうではないかもしれません。相手のメールチェックの漏れが原因でトラブルにならないように、気を配っておくこと。これも立派な「戦略的おべんちゃら」の1つです。

戦略的おべんちゃら接待術

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最後におべんちゃらのメインステージとも言うべき「接待」時のテクニックを紹介しましょう。接待の席では臨機応変な対応を求められるため、完璧な接待をするには経験が必要です。しかし場数を踏まなくともおべんちゃらを使うシーンはいくつもあります。

例えばお店を決める際には「得意先の行きつけ」を予約するようにします。そして得意先の見えないところで店の支配人などに対して、「○○さんに素晴らしいお店と聞いてぜひ伺ってみたくて」と言って名刺を渡しておきます。すると回り回って得意先がお店に感謝されることになるというわけです。

あるいはお土産を用意する際に、得意先が家族持ちの場合は、家族向けの品を用意するようにしましょう。接待=仕事とは言え、夜遅くに帰宅するのは気がひけるもの。そこで人気のスイーツなどのお土産を家族に渡すことができれば、家族のご機嫌取りの手間が省けるのです。このように物事の先の先まで予測して構想することが「戦略的おべんちゃら」成功の秘訣です。

「気づかれない気配り」と「気づかれる気配り」の違い

ここまで「戦略的おべんちゃら」の具体的な方法を見てきて、「おべんちゃら」のイメージが変わったという人も多いのではないでしょうか。つまるところおべんちゃらとは「相手に気づかれる気配り」なのです。出世や昇進のためにはいくら気づかれない気配りをしたところで、自分の目的は一切達成できません。ではこの「気づかれない気配り」と「気づかれる気配り」の違いとは何なのでしょうか?

それは「戦略性」です。例えば接待の時に得意先の行きつけのお店の支配人などに一声かけるというテクニックは、その後お店から得意先に感謝の言葉があることを「狙って」やっています。そこまで先を読んでおべんちゃらができているかどうかが大切なのです。ただなんとなくで気配りをしたり、「別に気づいてくれなくてもいいや」という気持ちでやっていては、いつまでもその気配りは日の目を見ません。

名刺を渡す。メールを書く。接待をする。これらだけでなくありとあらゆるビジネスシーンで戦略的におべんちゃらを使うチャンスはあります。それは決して「実力をごまかす」ためのものなどではなく、ましてや「相手をだます」ものでもありません。

ただ少しだけ自分がしている気配りを、相手にアピールしているだけなのです。せっかく気を配っているのだから、それに気づいてもらおうとしたってバチは当たりませんよね。まずはこれまでの「おべんちゃら」への悪いイメージを捨てましょう。そしてこれからは戦略的おべんちゃらを駆使して、今まで逃してきたビジネスチャンスを掴んでみませんか?

[文・編集] サムライト編集部