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圧倒的成長の鍵は人事部の戦略にアリ!
企業の成長を左右するのは、まず組織を構成する「人材」であると言っても過言ではないでしょう。そんな人材を総合的な面から管理する人事部の戦略は、企業の成功の鍵として今や欠かせない要素となっています。
逆に労働時間や福利厚生の面で人材からの反感を買いやすい「ブラック企業」も、12月からのストレスチェック制度の開始により、益々社会的に問題視されつつあります。
※「ブラック企業の見極め方」については以前こちらの記事で詳しく解説しました。
『ググればわかる!伸びているベンチャー企業とブラック企業を見極める7つのポイント』
今回は、ユニークな人事制度で人材のモチベーションを高め、長く働ける環境づくりを積極的に行う成長企業10社をまとめてご紹介します。
1.ソフトバンク

出典:http://www.softbank.jp/
ソフトバンクでは社内研修の内製化に取り組んでいます。その仕組みとして「ソフトバンクユニバーシティー認定講師(ICI)制度」を2009年に発足しました。研修の講師を社員から公募・スカウトし、選考を通過した社員が社内講師として講習を行います。
内製化を進める理由には、ソフトバンクの強みとしている人材の多様性があります。グループ全体1000社以上、7万人を超える従業員を抱えるソフトバンクグループは、各分野において突出した経歴を持つ人材が多くいます。そのため講師となりうる人材が多くいるとのことです。
ソフトバンクが研修を内製化したことによるメリットは、受講者だけでなく、講師の成長にもつながるという点です。講師と受講者が相互に意見や感想を交換し、それを現場に持ち帰り実践することで、受講者だけではなく講師も新たな経験やノウハウを蓄積することができるのです。
2.IKEA

出典:http://www.ikea.com/jp/ja/
IKEAでは、正社員・パートタイムを区別することなく「同一労働・同一賃金」を適用し、待遇に差を設けない画期的な制度ができました。
この制度では給与システムはもちろん、ボーナスや休暇といった福利厚生も適用されます。さらに、パートタイムは契約更新をする必要がなくなり、無期雇用化に移行。社会保険も同様に全員が加入しています。
このような画期的な制度を実現できた理由はIKEAの企業文化にあります。「人を大事にする」という文化から、従業員の成長を何より重要と考えているのです。
この制度の効果として期待されるのは、パートタイムを含む一人ひとりがきちんと自分を向き合い成長すること。つまり、多様な働き方を認めることで、人の成長に寄与することです。
また、正社員と同じ待遇になったぶん「自分はパートタイムだから手を抜いてもいい」といった意識がなくなることが期待されています。社員全員が同じ責任や立場で働くことができる制度となっているのです。
3.ユニリーバ

出典:https://www.unilever.co.jp/
ユニリーバでは、会社に変革をもたらしたい人がリーダーシップを学ぶ場として「ユニリーバ・ジャパン・Uリーダーシッププログラム」(UJUL)があります。
同社は優秀な人材を活かすことで、社会にもっと大きな価値を提供できるのではないかと考えました。そこで、変革をもたらす人材を育成しようと試みたのです。
もともとは「上からの変革」を促すための制度でした。しかし、経営層が自社の社員を信じ、チャレンジさせることが組織において重要だと考え「下からの変革」、つまり非管理職の社員からの変革に方向性を変えました。
UJULの目的は変革をリードする人のリーダーシップを育むこと。そのために本制度では、「自分たちはここで何を生み出し残したいのか」を深く内省します。
そして参加者はセッションでの気づきと実践を繰り返すことにより、リーダーシップが一人ひとりの中にあることを自覚し、会社に「もっとこうしてほしい」といった要望を自発的に発信していけるようになるとのことです。
4.カゴメ

出典:https://www.unilever.co.jp/
カゴメでは「グローバル人事制度」を設けています。この制度は、海外勤務など多様化する働き方に対して公平に評価され、公正な待遇をすべての社員に提供することを目的としています。
制度作りが進んだ理由は、カゴメがグローバル展開を前進させること。従業員を海外で活躍させるためには、まずインフラが整っていなければなりません。そのために、どこにいても、どんな仕事をしていても適切に評価される人事制度が必要でした。
例えば、平等ではなく「フェア」に評価されること。具体的には、頑張れば頑張るほど給料が上がり頑張らなければ上がらない。また頑張った過程も評価する制度も導入されています。
5.三越伊勢丹

出典:http://www.imhds.co.jp/
三越伊勢丹では「従業員が持てる力を最大限に引き出し、伸ばしていける体制づくり」を人事ビジョンに設定し、人事改革に取り組んでいます。
人事制度を大きく転換させたのは、人事部が業務的・管理的に人事制度を運用しているにとどまっていたという理由があります。先を見据えた改革や、現場や従業員へサービス提供という本来の役割が機能していない状況を変革するために、新しい人事制度に変わっていきました。
その中でも特に、お客様と直接接点を持つ販売員を「スタイリスト」と呼んで育成に力を入れています。従来の百貨店業界のイメージでは、バイヤー(仕入れ担当)が花形と言われていました。しかし三越伊勢丹では、実際にお客様に接する販売員こそが要と位置づけ、従業員ととことん向き合う面談の実施や、意思決定範囲や責任を大きくする仕組み作りを進めているそうです。
6.伊藤忠商事

出典:http://www.itochu.co.jp/ja/
2014年から「朝方勤務」が導入されました。20時以降原則残業を禁止し、朝は午前5時~9時の間に出社するという制度です。
この制度の目的は「多残業体質」を改善し、多様な人材を活用することにあります。特に残業の多い総合商社では、育児や介護などで働く時間が制限されている人材の活躍を促すために残業時間を減らす必要があるのです。
具体的には、20時には仕事を終わらせ、終わらなかった仕事は翌日早朝に出勤してとりかかることになります。20時を過ぎる場合は、事前の申請が必要です。
早朝勤務の場合、割増賃金が支払われ、午前8時以前に出社した社員には軽食も無料で振る舞われます。「朝方勤務」の導入により、残業をしている社員数、総残業時間は減少したそうです。
7.リクルートホールディングス

出典:http://www.recruit.jp/
続々と起業家や新規事業を生み出すリクルートグループ。その人事施策の基本は「当事者意識」や「起業家精神」を育成することです。
その具体的な施策として「別の事業への移動」や「新規事業を作る」といった本人の意志を支援するための制度が整っています。さらに制度面以外でも、リクルート社内では「WILL(意思を問う)・MUST(機会を与える)・CAN(学ばせる)」を徹底することが文化として定着しています。
このような企業文化が、多くの起業家や新しい事業を生み出す土壌となっているのかもしれません。
8.アサヒビール

出典:http://www.asahibeer.co.jp/
アサヒビールでは「社外武者修行」という、新しい視点や価値観を育み、多様性を育成することを目的とした人事制度を設けています。
実際に、運輸・インターネットサービス・鉄道・玩具メーカー・自動車メーカーなどのBtoCビジネスを展開している企業に社員を派遣した実績があります。
派遣期間は原則1年間で、社内の同質化された雰囲気とは別の企業で働くことで、視野の広がりや社内では得られなかった気づきを持ち帰ってくることができるそうです。
9.丸紅

出典:http://www.marubeni.co.jp/
ワークライフバランスとして「介護支援の拡充」を図っているのが丸紅です。
業界柄、海外駐在が多いため、家庭の問題に対して積極的にかかわっていくのが難しくなります。そのため、介護で困難な状況に陥るという問題を回避し、社員全員が成果を出し続けることのできる体制づくりを目指しているそうです。
例えば「介護支援ハンドブック」を作成し、丸紅が提供している制度に加え、介護保険制度の仕組みや介護サービスなどの情報を提供しています。また、海外駐在員向けにも介護サポートサービスの提供を行っています。
10.株式会社ノバレーゼ

出典:http://www.novarese.co.jp/
結婚式のマネジメントやショップ・レストラン経営で知られるノバレーゼ。同社では「お客様に面白いと思ってもらうために、まずは自分たちから」という精神のもと、様々なユニークな制度を設けています。
例えば、ユーモアあふれるストーリーを口実にして、それが面白いと判断されたら休暇を取得できるといった「エイプリルフール休暇」。また、23泊24日の研修合宿中に突然一発芸などを無茶振りされる「余興研修」などがあります。
お客様に楽しいと思ってもらいたいという気持ちが人事制度に反映されています。
