ビジネスこそサッカー人から学ぶべき!ホリエモンが“一流”から読み解く、新時代で成功する5の秘訣

一流サッカー人はビジネスにおける“生きる教材”

12月18日、FIFAクラブワールドカップ決勝を行うためにスペインの銀河系軍団・レアルマドリードが日本のピッチに立ちました。スタメンからベンチを温めている選手たちまでビッグネームばかりではありますが、世界からの注目を独り占めするのはやはりこの人、先日バロンドールを受賞したFWクリスティアーノ・ロナウド。

この世界のスーパースターをひと目見ようと駆け付けた観客は「6万8742人」まで昇り、各大陸王者が世界一を争う形となった現行方式の05年大会以降では最多となりました。

現在、Jリーグアドバイザーを務めるホリエモンこと堀江貴文氏は、プロスポーツに大事な成功するための3原則(1)IT・メディアの活用、(2)熱狂できる専用スタジアム、(3)スター選手の存在を重要視しており、この決勝戦こそ(3)による集客・収益を実現したと言えるでしょう。

こういった一流のサッカー選手はまさに“生きる教材”。今回は、「サッカー×ビジネス」を提唱する堀江貴文氏の著書「なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの?」にて登場する日本サッカー界における5人の一流の生き方や考え方から、これからのビジネスで成功する秘訣を紐解きます。

宇佐美貴史から学ぶ「突出した存在になる生活の確立」

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現在、ドイツ・ブンデスリーガのFCアウクスブルクに所属する日本代表・FW宇佐美貴史選手。彼は、中学3年生でユースチームに昇格し、高校2年生でトップチームへ。そして、19歳にはドイツの名門、バイエルン・ミュンヘンへ移籍するという飛び級の人生を歩んできました。

しかし、一般的な親であればそういった人と違うことをあまり快く思わず、たとえ自分の子供に才能があったとしても「プロになっても大した活躍はできない」「将来どうなるか分からないから、大学だけは行ってほしい」と、普通の安定した人生を歩んでほしいと願うはず。

ただ、宇佐美選手の両親は違いました。息子がサッカー付けの毎日によって学校内での勉強時間が削られたとしても、「仕方ないから、サッカーで最後までやり切りなさい」と、全く反対することはありませんでした。

人間の能力には限界があります。勉強もやって、サッカーもやって、栄養を考えた食事をして、友達と仲良くするというバランスのいい生活は捨て、自分の才能を突出させるライフスタイルを確立すべきなのです。

これからの時代、サッカーに限らずビジネスにおいても世界70億人と競争をしていかなければいけません。そのなかで生き残るには、宇佐美選手のような突出した才能・特技・思考を持つ「価値のある人間」になること。

その自分だけに眠っている、周りにはない“唯一無二の武器”がなんなのかを考え、その才能を磨ける環境作りに着手してみましょう。

川島永嗣から学ぶ「未知の世界へ飛び込む重要性」

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海外を6年間歩き渡り、今はフランスのリーグ・アンに所属している日本代表・GK川島永嗣選手は、日本人ゴールキーパーの質の高さを認知してもらうべく、レベルの高いヨーロッパに挑戦し続けています。

ただ、現在のチームへの移籍が決まるまでには6ヶ月間の無所属期間があり、それによって代表にも呼んでもらえない苦しい時期がありました。

ですが、その間にハッキリと見えたことがあり、それが同じ日本代表・FW岡崎慎司選手がいるイングランドのレスター・シティの練習試合に参加した2週間。もともと所属していたベルギーリーグでさえ感じた日本とのキック力の差、以上の強烈なシュートに手も足も出なかったのです。

「こんなシュートを毎日受けていたら、そりゃ上手くなるわ」と。

ただ、日本代表では世界を肌で感じることができるため、それを経験した直後にJリーグに戻れば、「あれ?こんなものか」と余裕が出るかもしれません。しかし、そう感じるのは一瞬であって、継続して自分の成長を求めることはできません。

つまり、戻る場所、日常そのものを変えなければ意味がないのです。

同じ会社や部署に居続けることで将来に行き詰ったならば、今の世界とは異なる未知の世界へ飛び込み続けることで、新しい発見や今まで見えてこなかった自分の可能性に必ず巡り合えるはずです。

遠藤保仁から学ぶ「様々なリーダーのもとで、変化を楽しむこと」

国際Aマッチ152試合という日本代表の歴代最多出場記録を保持しているガンバ大阪・MF遠藤保仁選手。プレイヤーの好みや戦術スタイルも監督によってその都度異なるなか、歴代の6名もの代表監督に使われ続けたその適正能力はズバ抜けたものがあります。

98年~02年のトルシエ監督は、「機械的に選手を動かす型にはめたサッカー」。02年~06年のジーコ監督は、「いかにもブラジル的なフリースタイルのサッカー」。06年~07年のオシム監督は、「ストロングポイント・ウィークポイントを明確にし、他国とは異なる日本独自の強さを活かしたサッカー」。08年~10年の岡田武史監督は、「世界に対して足りない部分を埋めつつ、主導権を握ったサッカー」。10年~14年のザッケローニ監督は、「攻撃的なパスサッカー」。14年~15年のアギーレ監督は、「組織的で堅実な戦い方でチームを構築していくサッカー」というように、監督が掲げるテーマによって実績のある選手ですら突然呼ばれなくなることも多々あります。

遠藤選手の場合、新しいサッカーを吸収することが早いというだけでなく、極端な話、自分の理想としてあるサッカーとは真逆であっても、新しいスタイルをものにできれば更に成長できると思えるポジティブな思考が柔軟性を生み出しているのです。

「これが正解」というものがない世界だからこそ、100人いたら100通りの考え方があってもいいという自分自身のベースがある。選手は試合に出てナンボ、どんな会社でも仕事をしてナンボです。

どんなに価値観が会わない上司だとしても、「こいつは次の企画で使いたい」と思われる社員であることに越したことはないのです。

宮本恒靖から学ぶ「ユーザーの需要を取り込む工夫」

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02年と06年のFIFAワールドカップで日本代表のキャプテンを務め、13年には日本人元プロ選手としては初めてFIFAマスター(スイスにあるスポーツ教育機関CIESとFIFAが運営しているスポーツ学に関する大学院コース)を卒業した宮本恒靖氏。

そのFIFAマスターでヨーロッパのスタジアムで主流となっている「サッカー×ビジネス」を学んだ宮本氏ですが、2016年シーズンから稼働するガンバ大阪の新しい本拠地「市立吹田サッカースタジアム」にも、世界のフィールドに通ずるビジネス的要素があると言います。

まず「市立吹田サッカースタジアム」は、これまでの陸上競技場と併用で使用していた形態から”サッカー専用スタジアム”、つまり、グラウンド周りにトラックがなく、観客席がよりピッチに接近した臨場感のある構造に仕立てました。これによって、選手とサポーターの間により一体感が生まれ、エキサイティングな空間を味わうことができるのです。

また、ヨーロッパチームのスタジアムが“観光スポット化”しているように、「市立吹田サッカースタジアム」周辺にも「ららぽーとエキスポシティ」があるなど、土地一帯をテーマパック化にし、相互にお金が落ちるようにする。そうすることで、地域全体の活性化にも繋がります。

これまでJリーグの課題として挙げられ続けていた、「新規の観客が来ない」という問題点。「たまにはサッカーを観に行ってもいいかな」くらいの人にとっては、スタジアムに行くまでの移動距離は苦痛でしかない。したがって、ガンバ大阪の新しいホームのように、サッカー以外の面でもでスタジアムに行くモチベーションを上げられるような需要と対策が必要なのです。

それは現在のプロ野球ファンのような「野球を観に行こう」から「ビールを飲みに行こう」や「スタジアムに遊びに行こう」といった、軽く居酒屋に行く感覚で試合観戦をするサポーターが増えれば、例年以上の観客動員数の向上を計算することができる。

そういった様々なビジネスモデルを実践し、ヨーロッパの「スタジアムがお金を生む」という発想を日本でも実現することが宮本氏の理想とする「サッカー×ビジネス」。

他社のビジネスモデルを取り入れることは恥ではありません。古いビジネススタイルを固辞し続ける会社は、自社よりも成功しているスタイルを参考にすることで、これまで考えてもみなかった更なる収益や経済効果が生まれるかもしれません。

森保一から学ぶ「強い組織の人材育成」

12年からJリーグ・サンフレッチェ広島の指揮して3度のリーグ優勝を果たしている森保一監督。あまり他チームから積極的な補強をせず、むしろ強豪チームから有力選手を引き抜かれることが多い広島ですが、与えられた人材を組織として膨らませることに長けた森保監督ならではのチーム作りが常勝軍団を生み出しました。

どの組織もそうであるように、目標の設定や方向性を示すことは当たり前です。ただ、その中で「自分がキャプテンだ」と言えるくらいの意思を持った、自立した集団を作るということを重きに置いていると言います。

一人のプロサッカー選手として自分の商品価値さえ高め、磨き上げてしまえば、例えそのチームで成功しなかったとしても、“個”の能力が他チームスカウトの目を惹き、移籍オファーが届く可能性が劇的に高まる。

だからこそ、常に一人ひとりが自分の成長を実感できる日々の時間を過ごせるようにと言葉を投げかけているのです。

実際の試合中では監督が選手をコントロールすることはできません。ピッチに放たれた選手たちが、試合前にプログラミングした戦略に対してどれだけ動けるか、間違えを修正する能力があるのか。そして、状況に応じた対処をする判断力が身に付いているのかどうか。実践では、個人の能力と考える力が試合を動かします。

指導する上での基本いろいろありますが、結局やるのは“現場の人間”です。放っておいても勝手に考え、自然にコミュニケーションを取って問題解決できるように。そういった考える力を鍛えるための“放置プレイ”も重要な采配の一つなのです。

“一流”のサッカー人をビジネスモデルに

これまで「サッカーからビジネスなんて学べないよ」と思われていた方は、この記事で考え方が変わったのではないでしょうか。

サッカーの世界でも、ビジネスの世界でも、「成功したい」という思いは一緒。それを現実とするために、考えをめぐらせ、何度も挑戦し、それを体現する。これを繰り返してきた人こそが、ここまで紹介してきたサッカー人のような「一流」なのです。

堀江貴文氏がサッカーからビジネスを学んでほしいという部分はまさにそこ。

「一流」はこちらが意図せずとも、その言葉から、その生き方からビジネスのヒントを与えてくれる。なので、日本や世界の第一線で活躍を続けるサッカー人を、是非あなたのビジネスモデルにしてみてはいかがでしょうか。

参考文献:『なぜ君たちは一流のサッカー人からビジネスを学ばないの?
Career Supli
本田圭佑選手はオーストリア・3部リーグSVホルンの経営に参入するなど、サッカー選手以外でも様々な事業を展開しているので参考にしてみると面白いと思います。
[文] 佐藤 主祥 [編集] サムライト編集部