GoogleのCEOピチャイ氏。誰もが認める「いい人」を作ったインド流コミュニケーション

Google CEO ピチャイ氏

2015年、GoogleのCEOに就任したサンダー・ピチャイ氏。彼は、2004年にGoogleに入社してから驚くべきスピードで出世の階段を駆け上がり、ペイジ氏の右腕としてChromeとAndroidを率いてきました。

入社以前は、半導体企業のアプライド・マテリアルズ社でエンジニアとして働いた後、マッキンゼーで経営コンサルティングをしていました。Google入社後は、ChromeブラウザとOSを開発するチームを統括するなど、すぐに多くの責任を引き受けるようになり、様々なGoogle検索の製品に関わってきたのです。

TOP画像出典:Wikipedia

誰からも「いい人」と言われる理由

Creative business team using laptop in meeting at office

ピチャイ氏の昇進は、「“いい人”が報われる決定的な例だ」とメディア『Recode.net』の記事に掲載されるほど、彼の良心的な性格がGoogle社内から評判を呼んでいます。

Googleの前プロダクトマネージャーであるクリス・ベックマン氏も、ピチャイ氏を高く評価しており、「彼は組織メンバーの採用から指導まで行い、強い組織を保持してきました。彼が統括しているプロダクトマネージャーたちからの評判は、社内でもずば抜けて高いのです」と絶賛しています。

ここまでピチャイ氏が「いい人」と言われる背景には、インド出身の彼だからこそ身に付いている、“インド流のコミュニケーション”にあったのです。

“インド流コミュニケーション”の4つの特徴

Group of Business People in the Office

1. 相手に自分のファンになってもらう

まず初めに、インドコミュニケーションの入口として重要なポイントは、「相手に自分のファンになってもらう」ことです。そうすることで、相手が自分に興味を示し、話を聞いてもらいやすくなります。また、気持的にも楽になり、良好なコミュニケーションを築きやすくなるのです。

ピチャイ氏は、相手と対立することを避け、常に協調性の大切さをチームメンバーに力説しています。Google製品のマネージャーだったミニー・インガーソル氏は、「彼は常に人間関係を良好に保つタイプで、彼のことを悪く言う人はいません」と語っています。

このことから分かるように、チーム全体がピチャイ氏のファンとなることで、一つのチームとしてのまとめ上げることができ、強い組織づくりに繋がっていくのです。

2. 相手の関心にフォーカスする

2つ目は、「相手の関心にフォーカス」することです。何かアクションを起こす前に、相手は何に対して関心を持っているのか、興味を引くようなキーワードは何なのかを話ながら見極めていきます。

その中で、上手くキーワードを引き出せれば、自分の思い通りの方向に相手を動かすことができるのです。

2013年に、Android OSの責任者となったピチャイ氏は、モバイル限定だったAndroidをスマートウォッチやテレビ、自動車にまで領域を拡大し、常にアンテナを張り巡らせて顧客のニーズに合った製品を開発してきました。

ピチャイ氏を入社当時から知るウェスリー・チャン氏は、「彼は、12年間で素晴らしい業績を上げている中で、常に人々が望むものを立ち上げてきたんです」と振り返っています。

消費者が感心するもの、本当に必要としているものに対してフォーカスしているからこそ、ここまで市場を拡大することができるのでしょう。

3. 小さなミスに動じない

3つ目として挙げられるのが、 「小さなミスに動じない」堂々とした立ち振る舞いです。その姿勢を保つために、下記にあるような徹底事項が2つありました。

・自信に満ちた話し方の徹底
・間違えても、何事もなくスマートにやり過ごす

自信のない話し方をすると、相手に不信感を抱かれ、そこに付け込まれることがあります。なので、例え間違ったことを言ってしまっても表情に出さず、常に堂々と胸を張りましょう。そうすれば、自信満々な話し方に説得力が生まれ、相手はどんな話でも信じるようになるのです。

4. チャレンジに貪欲で、物事を簡単に諦めない

インド人のコミュニケーションで挙げられる最後の特徴は、「チャレンジに貪欲で、物事を簡単に諦めない」精神力の強さにあります。

日本人は、物事に挑戦する前から「無理だ・・」と勝手に諦めてしまう傾向にあります。それに対して、インド人にはチャレンジせずに諦めるという概念がありません。

ピチャイ氏は、「Firefox」「Google Toolbar」「Desktop Search」など、数多くのGoogle検索製品があったにも関わらず、あえて「Chrome」だけに絞り、2008年9月にリリースしました。

世界から疑問の声が飛び交い、当時のCEOであるエリック・シュミットからも反対されました。しかし、彼はチャレンジすることを止めず、スピード・使いやすさ・安全性の質を急速に向上させ、現在では何億ものユーザーを獲得するまでに至りました。

この事例を見ていると、例え世界中から認められなくても、自分の信念を貫き、挑戦し続けることへの意義を感じることができますね。

チャレンジをし続けることは大変なことですが、やる前から諦めずに、何事にもまず一歩踏み出してから考えてみてはいかがでしょうか?

インド流コミュニケーションで、周りからの見られ方に変化を

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インド人からすれば、ほとんどの日本人はコミュニケーションにおいて足りない部分が多いように映っているかもしれません。

しかし、自社の社内を思い浮かべてみて下さい。信頼性の厚い上司や同僚はいませんか?その人とインド流コミュニケーションを重ねてみて下さい。マッチする部分があるのではないでしょうか?

すぐにインド流コミュニケーションを取り入れるのは難しいかもしれませんが、近くにいるピチャイ氏を教科書に、一つずつ行動に移すことで、周りからの見られ方が変わってくるかもしれません。

[文・編集] サムライト編集部