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言葉で影響力は大きく変わる
男性が1日に発する単語数は平均で7,000語と言われています。あなたは自分が話す言葉にどれくらい意識を向けていますか?なるべくネガティブな言葉を使うのは止めよう、ありがとうを口に出そうとなどと考えている人は多いと思います。
ビジネス書や心理学系の本でも、説得したり、思い通りに相手を操作したりするのに有効な話し方やテクニックが数多く紹介されていますので、すでに知っている、実践している人もいるでしょう。キャリアサプリ内でも相手の本音を見抜いて意のままに操る、悪用厳禁のビジネス心理術30選【完全保存版】で特集して、多くの反響をいただきました。しかしそういったテクニックを知っている人でも意外と忘れがちなのが、言葉で影響力を発揮するという観点から考えた時に、「使わないほうがいい言葉」があるということです。そこで今回は「使わないほうがいい言葉」を簡単にご紹介します。
人の行動は6つの「基本的欲求」で決まる
「使わないほうがいい言葉」をご紹介する前に、人はどういう欲求にもとづいて動くのかを簡単におさらいさせてください。人のあらゆる行動は人間の基本的な欲求によって動機づけされているんですが、それらの欲求のうち、もっとも強力なのが「安心感」、「権力」、「社会的帰属意識」、「社会的受容」、「性」、「コントロール欲求」です。誰かを説得したい時はあなたの提案がこれらの欲求の1つ以上を満たすものであるとうまくいきます。もちろん複数の要求を満たせばそれだけ説得力が増します。
ざっくり説明すると、以下のような説得方法です。
・「安心感」は相手の中にある不安やリスクを刺激する方法
・「権力」は相手の権力欲求を満たしたり、権力のある人の権威を借りる方法
・「社会的帰属意識」はその人が帰属しているコミュニティにそってメリットを伝える方法
・「社会的受容」はその人が考えている自分の理想像に当てはめてメリットを語る方法
・「性」魅力的でありたい、ロマンスを感じたいといったような性的なニュアンスをプラスする方法
・「コントロール欲求」は相手が状況をコントロールできているという満足感を与える方法
こういった「基本的欲求」を満たしながら説得するのが効果的なのですが、ここで重要なのは、人は自分の意見に賛同されると「受け入れられた」と感じることです。この作用はものすごく強烈で、人に賛同してもらうと「受け入れられた感じ」がするだけでなく、賛同してくれた相手に対する好感度も高まるのです。これらを踏まえて使わないほうがいい言葉を見ていきましょう。
使わないほうがいい言葉

1. しかし
賛同されると受け入れられたと感じるという話をしましたが、そう考えた時に「しかし」という逆説は、相手の意見を否定する言葉になります。これは使わない方がスムーズに話が運びます。次のような例を見てみましょう。
「たしかに、このキャンピングカーは高価です。ということは、つまり、それだけ性能が高いということです」
「たしかに、このキャンピングカーは高価です。しかし、それは、つまりそれだけ性能が高いということです」
違いがわかりますでしょうか。相手に賛同して会話を続けるには、逆接の「しかし」をさけて、順接を使う必要があるのです。普段の会話ではこういった話し方はしないと思いますが、逆接はつかわない会話を意識してみてください。
2.試してみる
一見積極的でポジティブないい言葉だと思いませんか?チャレンジする感じがありますよね。ですが、この「試してみる」というのは微妙に失敗するかもしれないというニュアンスが込められています。ここに若干の自信のなさ、意思の弱さがでてしまうのです。ですから、試してみるといわずに、やりましょうなど、より断定的な言葉を使うようにしましょう。
3. もし
これも、試してみると同様に失敗のニュアンスを含んでいます。さらに相手の提案に不満があるように伝わる可能性があります。相手の本当の気持ちを知るのに有効な場合もありますが、大抵は丁寧な言い方をして、相手に拒否することを考える機会を与えてしまう場合が多いのです。
もしを使わずにシンプルに要望を伝えるようにしましょう。
4.かもしれない、たぶん、おそらく
これらの言葉は、イエス、ノーがハッキリしない、ポジティブかネガティブか断定しないあいまいな言葉です。優柔不断で話を聞くに値しない印象を与えるので使うのを避けた方がいいです。
5.だったのに、すべきだった
これらの言葉は言い訳がましく、決断力のない人だと思われます。あなたの提案に反応するのは現在だけなので、相手を過去につれていってもメリットがありません。
6.~ない
「ない」というのは否定語なので、いったん否定される前の状態をイメージしなければいけません。
「黒いネコを思い出さないでください」
と言われれば、必ず頭に黒いネコが浮かんで来てしまいます。脳科学的に『脳は否定系を理解できない』とも言われています。相手に思い出して欲しくないことを思い出させる必要はありません。
7.そういうものだ
この言葉は自分の見えている世界の中でそう見えているだけであって、相手の認識は同じではありません。私たちは同じ世界を見ていると思いがちですが、その思い込みのせいで、前提が異なってしまう場合があります。使わない方がいいでしょう。
相手をよく見極める
ここまで影響力を発揮するための基本的な前提と、使わない方がいい言葉を紹介しました。これらはどれも重要ですが、最も重要なのは相手をよく観察してどんなタイプの人なのかを観察することです。
いろいろと質問をする中で、相手がどんな言葉を好んで使っているかに注目してください。プラスを求めるタイプか、マイナスを回避したいタイプか、周りと同じが安心するのか、オリジナリティを重視するかなど、それによって好みが変わってきます。それを見極めて、その相手が望むタイプの説得をしてあげてください。
参考書籍:影響力の心理
