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新人が辞めにくいベンチャー企業の探し方
チャレンジ精神あふれる若者が集まりやすい印象の「ベンチャー企業」ですが、あまりの多忙さに入社から数年で離職するケースも少なくありません。
最近では、映画『スターウォーズ』にちなんで「ブラック企業」よりも過酷な「ダークサイド企業」という呼び方までされている会社もあるようです。
※ブラック企業を見極めるポイントについては、以前こちらの記事でもご紹介しました。
『ググればわかる!伸びているベンチャー企業とブラック企業を見極める7つのポイント』
一方、同じくベンチャーと呼ばれながらも、新人社員が安心して働けるような環境整備が進んでいる「新人が辞めにくい」企業も存在します。今回はそんな企業を見つけるためのチェックポイントや、実際に定着率の高い企業で行われる施策についてご紹介していきます。
人を活かす企業に共通する8つのポイント

1. 入社3年後の社員の在籍率が高い(平均89.4%)
2. 年間総実労働時間が短い(平均2001時間)
3. 年次有給休暇取得率が高い(平均57.4%)
4. 社内教育にかける研修費が高い(平均6万7436円)
5. 平均勤続年数が長い(平均16.1年)
6. 男性よりも女性の平均勤続年数が長い(男性平均16.9年、女性平均13.6年)
7. 女性課長の割合が高い(平均6.5%)
8. 男性の育児休業制度利用実績が多い(男性平均10.7人、女性107.6人)
引用出典:日本の優良企業パーフェクトブック2017年度版「人を活かす会社調査ランキング」
「新人が辞めにくい企業」を探る方法として、まず上記の8つのポイントを調べてみるとよいでしょう。特に「社員の在籍率」を調べる際には、1期分のみの数値を見るのではなく、3〜5期分の数値を見ることで、より正確にその企業の実情を探ることができます。
次に、定着率が高いベンチャー企業4社で行われている施策や人事制度を詳しく見ていきます。
定着率が高いベンチャー企業4社の施策
1. サイボウズ株式会社

画像出典:http://group.cybozu.jp/
チーム活動の活性化と効率化を支援するコラボレーションツールを提供するサイボウズ株式会社の離職率は1997年の創業後、15%から20%で推移していました。しかし2005年には28%と急上昇。そこで離職率を下げるための人事制度の見直しが行われました。
まず同社が注目したのが、社員のモチベーションです。「ワークライフバランスがもうちょっとほしい」「職場をこうしていきたい」「こんな仕事がしたい」といった課題に対し、「選択型人事制度」の導入に挑戦しました。
労働時間と場所を軸に「会社で長く働く」「自宅で長く働く」「自由な場所で短時間働く」などの選択肢を用意し、社員に合わせて多様な働き方を提供することで離職率は大幅に改善。結果として、5年後の2010年では5%まで低下し、現在は5%弱で推移しています。
2. Work&co

画像出典:http://digiday.jp/
Work&coはアメリカに籍を置くデジタル商品やサービスの作成、商品戦略、ユーザー調査をしているエージェンシー会社です。クライアントにはYouTube、航空会社のヴァージンアメリカ、銀行大手のチェイスなどが挙げられます。
そもそもエージェンシー業界は離職率が極めて高いのが特徴で、業界全体の平均は40%を超え、人材の流出が業界全体の大きな問題になっています。そのような業界にありながら驚異の離職率の低さを誇るのが同社です。創業から2年たった現在、会社を辞めた人はなんと一人もいないと言います。なぜ社員たちは辞めようとしないのか?その理由は大きく3つあります。
まず一つ目は、自社株を所有できること。これにより会社を成長させるインセンティブになります。
二つ目に、モチベーションの高い人材を採用していること。「何かを成し遂げたい」と考えている人を積極的に採用しています。
三つ目に、そのようなモチベーションの高い人材を魅了する場を提供していること。どんなプロジェクトをやるか決めてから人材を補充するのではなく、社員に合わせてプロジェクトを展開し、クライアントが決まる前に人材を集めるのが同社のポリシーとなっています。
このように社員のやる気をうまく刺激することで、厳しいエージェンシー業界でも安心して働ける環境を整備しているのです。
3. 株式会社サイバーエージェント

画像出典:http://livedoor.blogimg.jp/
メガベンチャーとして知られるサイバーエージェント社。同社では2003年の本格的な制度改革に乗り出す以前、離職率はなんと30%を超えていました。その理由は徹底的な成果主義。個人の成果にこだわるあまり、チームプレーは失われ職場の雰囲気は芳しいものではなかったと言われています。
また大量の中途組が入社し、新卒との軋轢も生じていました。社長自身はことの重大性を認識していましたが、それが具体的制度になっていないという不満が現場にはあったようです。
そこで取り組んだのが、社員同士の信頼関係を築くための支援制度の導入です。「懇親会費用支援制度」では、チームで食事に行くことを条件に、一人当たり月5000円を支給します。他にも「部活動支援制度」などもあり、多くの社員がサッカーやテニスなどいずれかの部活に所属しています。
このように、共通の体験をすることで社員同士のつながりを強化することに成功したサイバーエージェント社は、2012年度に「働きがいのある会社」第4位にランクインしています。
4. ヤフー株式会社

画像出典:http://livedoor.blogimg.jp/
1996年創業のヤフー株式会社。現在では誰もが知る元祖ITベンチャーです。離職率の高いIT業界でありながら、新卒離職率は2.5%にとどまっています。この数字を実現できる背景には、採用の際に学生のヤフーで働きたいという気持ちを大切にしている同社のポリシーがあります。
採用面接に来る学生に「ヤフーで働くことに必然性があるか」を掘り下げてスクリーニングし、そこで学生のやりたいことがヤフーでは叶えられないと判断すれば、採用しないといいます。
また離職率が低い理由として、社内流動性が高いことも要因となっています。100を超えるサービスを運営しているヤフーには、違うことに興味がわいたときに、手を上げれば柔軟に社内異動ができる自己申告型異動制度「ジョブチェン」があります。本人が楽しいと思って働ける環境づくりをすることで、より大きな成果を期待できるようになるのです。
