カプセルなのにシェア?今流行りの“テラハ風”エコノミーホテルを解説

リアルな交流を求める若者が急増

「台本がない」という演出のもと、シェアハウスをする複数の男女の人間模様をありのままに描いたリアリティバラエティ番組『テラスハウス』。2012年の放送開始から、深夜番組にも関わらず二桁台の高視聴率を獲得、その反響の大きさから映画化までされ、まさに社会現象を巻き起こした超人気番組です。

そんなテラスハウスの影響からか、シェアハウスに憧れる若者たちが急増。しかし、見ず知らずの他人と一緒に生活するとなるとさまざまな問題がどうしても出てきてしまうものです。

そこで今回ご紹介するのは、一緒に生活するというまでには至らずとも、シェアハウスのような出会いやコミュニケーションが気軽に楽しめる「テラハ風」エコノミーホテルです。シェアハウスの流行に外国人観光客が急増など、新しいトレンドと需要が拡大している最新のホテル事情に、スポットを当てていきます。

ホテルが足りない!インバウンド客が急増する宿泊施設

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「テラハ風」エコノミーホテルを紹介する前に、そうした宿泊施設の需要の増加の背景についてご説明しましょう。日本政府観光局の「年別訪日外客数、出国日本人数の推移調査」によると、2014年に日本を訪れた外国人観光客(インバウンド)の数は過去最高のおよそ1340万人でした。

政府は2020年のオリンピック、パラリンピック東京大会の開催に向けて、年間訪日インバウンド2000万人という目標を掲げています。さらにこの大きなイベントを追い風として、さらなる観光立国としての推進を図っています。

しかし、ここで浮上するのが受け入れ体制の問題です。日本はもともとアウトバウンド(海外旅行者)の割合が多かったのですが、昨年のアウトバウンドはおよそ1690万人と、インバウンドの人数と大差がなくなってしまいました。また、中国人をはじめとする多くの外国人観光客を受け入れる体制が未だに整っていません。

宿泊部屋よりも設備に注力!気軽にできる「テラハ風」異文化交流

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そうした現在の社会情勢を受けて、ここ最近古いオフィスビルや商業ビルがホテルに改装されているケースが目立ちます。

なんと築34年のビルを改装して、2015年4月にオープンした秋葉原にある外国人観光客向けのゲストハウス型ホテル「グリッズ(GRIDS)秋葉原」。あまり宿泊費用をかけずに長い間滞在したいという外国人観光客のニーズを抑えつつ、シンプルでモダンなデザインで最新の設備も取り揃えられています。

さらに注目なのは、バーラウンジ。ターミナルのデリカテッセンをイメージしたというだけあり、とても開放的な空間に仕上がっています。宿泊者はもちろん、近所の人も気軽に来て食事やお茶を楽しむことができます。

宿泊者同士で情報をシェアしたり、カウンター越しにスタッフとの会話を楽しんだりと、そこに集った人と出会い、コミュニケーションを築いていく様子はまさにテラスハウスさながら。

こうした設備が人気を博し、早くもシリーズ2号店が東日本橋に開業することが決まっています。人と人、日本と世界をつなぐラウンジに、リーズナブルな価格で気軽に行けるともあるので、外国人観光客ならずとも足を運んでみたくなります。

GRIDS HOSTEL + LOUNGE AKIHABARA

住所:東京都千代田区東神田二丁目 8-16
アクセス:東京メトロ日比谷線「秋葉原」駅 徒歩6分
JR各線、つくばエクスプレス「秋葉原」駅 徒歩9分
都営浅草線「浅草橋」駅 徒歩8分
羽田空港国際線ターミナル駅から都営浅草線浅草橋駅まで34分
TEL:+81 3 5822 6236
FAX:+81 3 5822 6239
公式サイト:http://grids-hostel.com/hostels/akihabara/jp/

GRIDS HOSTEL + LOUNGE NIHONBASHI EAST

住所:東京都中央区日本橋久松町4-7
アクセス:都営地下鉄 新宿線「馬喰横山」駅 徒歩2分
都営地下鉄 浅草線「東日本橋」駅 徒歩3分
JR「馬喰町」駅 徒歩6分
東京メトロ日比谷線・都営地下鉄
「人形町」駅 徒歩8分
東京メトロ日比谷線「小伝馬町」駅 徒歩 8 分
TEL:+ 81 3 6667 6236
FAX:+ 81 3 6667 6239
公式サイト:http://grids-hostel.com/hostels/nihonbashi-east/jp/

2015年11月中旬から予約開始予定、12月25日からグランドオープン!

日本の未来は地域(ローカル)にあり!観光客と地元民のシェアスペース

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外国人観光客が訪れ、宿泊するのは東京だけではありません。北陸新幹線が開通し一層の賑わいを見せている金沢でも外国人観光客は増加しています。来年、金沢市内でオープンするシェア型複合ホテル「HATCHI(ハッチ)」(リビタ・東京都渋谷区)では、「日本の未来が宿る場」をコンセプトに、外国人観光客の受け入れはもちろん、地域に根ざしたホテル事業を掲げています。

今年9月、現地である金沢で地元民や観光客、メディア関係者などさまざまな人を巻き込んでワークショップが執り行われ、ロビーでどんな仕掛けができるか、どんなイベントができるかなどが盛んに話し合われました。

地方都市の新たなブランディングの向上のためには、観光客や観光に関する有識者の声も大切ですが、それ以上にその場所に住んでいる地元の人の声やアドバイスは欠かせません。

こうした地元に根ざしたホテル作りを推進しているHATCHIでは、観光客や地元の人などの括りでももちろん、性別、出身地、国籍などを一切問わずに、新たな出会い、新たな仲間、新たな旅に巡り会えるかもしれません。

リビタでは、これまで培ったリノベーションのノウハウ、シェアの概念を活かして今後、東京・名古屋・大阪のほかに京都、函館、岡山などにも運営を計画しており、年間2〜3棟のペースで全国各地に出店を予定しています。

Career Supli
一期一会という言葉があるように、偶然同じ日に同じ宿に居合わせた性別も年齢も国籍も異なる人と交流するという体験は、その後のあなたの人生に大きな影響するかもしれません。幸い現代では、ネットやSNSが普及しその出会いを一期一会のままにしないで繋ぎとめておくことができます。そんなときにこそネットを上手に使って、その出会いを大切にしてみてはいかがでしょうか。
[文・編集] サムライト編集部