後回し仕事もこれで解決! 仕事に追われなくなるタスク管理術とは?

TO DO リストばかりが増えていく

仕事をしていれば、毎日いろんな業務が突然発生してしまうもの。「今日は絶対これを終わらせよう」と思っていても、完了できず、「ああ、今日もできなかった」と言いながら、ため息をついている……なんてことも、よくありますよね。

一方で、仕事を効率よく行うために、TO DOリストを作って実行している人もいるでしょうし、優先順位を決めて仕事をこなしている人も多いでしょう。

今回ご紹介するマーク・フォースター氏による『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版』よれば、実はTO DOリストも優先順位も必要なし!
もっと効率的に仕事を片付けることができ、“仕事に追われなく”なります。

ステップ1 理性の脳で、衝動の脳をコントロールせよ

仕事をしていて一番やる気が出るのは、どんな時でしょうか。フォースター氏によれば、実は、「仕事が予定通り進んでいるとき」が一番やる気が出るときだと言います。

予定通りに仕事が進まないことで意気消沈してやる気がなくなり、計画が崩れ、仕事のバランスも壊れてしまいます。仕事のクオリティを管理するひとつの秘訣は、とにもかくにも「仕事を予定通りにこなすこと」です。

人間は仕事をするときに「理性の脳」と「衝動の脳」を働かせているとフォースター氏は述べています。しかし、衝動の脳のほうが理性の脳より強いため、つい、衝動の脳に流れされてしまいがちだと言います。

例えば、面倒な仕事を、つい後回しにすることってありませんか?「逃げれば逃げるほど抵抗感は大きくなる」(49ページ)とフォースター氏が述べているように、抵抗感のある仕事を後回しにするのは、理性の脳が負けてしまっているからです。

こういう仕事こそ、何よりまず先に行うことが大切です。また、それに気づき、「衝動の脳に流れされているな」と自分自身が気づくことが重要です。

実は、理性の脳には衝動の脳をコントロールする力があります。毎日の中で、理性の脳を活躍させるには、まずは自分自身を上手にだまし、衝動の脳による反射的な抵抗感を抑える必要があるのです。

今日のご自身のやるべき仕事を見てみてください。そのなかで、後回しにしている仕事はありませんか?

それは後回しにすればするほど、面倒になることが多いものです。気づいたときに処理するようにしましょう。そうすることで、手間がかかる前に仕事を処理することができ、全体的に仕事の効率化につながります。

ステップ2「TO DOリスト」「優先順位」も必要なし! 

フォースター氏によれば、多くの人が行っている「TO DOリスト」と「優先順位付け」は実はあまり効果がないとしています。以下のような理由があります。

①仕事の効率が悪くなるから
TO DOリストが長くなってしまうことで、「これもしなければ、あれもしなければ!」とタスクが逆に増え、クオリティが煩雑になってしまい、本来の結果を出せなくなります。

②結果的に仕事を抱えすぎることになるから
TO DOリストはどんどん書き込んでしまうので、システム的に“仕事が増える”ようになってします。雑用や急な仕事・依頼を受けてしまうと、本来の結果を出すべき案件をおろそかにしてしまい、仕事に追われてしまうのです。

③時間が足りなくなるから
日常業務(デスクワーク)の時間をTO DO リストに入れていない場合によく起こります。TO DOリストの内容が、一日中かかりきりなってもこなせないような量になっていませんか? 

ランチを抜かないと無理、というような量になっていませんか? 忙しいから仕方ないとするのではなく、システムを変えることで改善することができます。

大切なのは、無駄な仕事を減らし、本当に請け負うべき仕事=コミットメントするべき仕事のみにすることです。
それではその解決策をご紹介します。

ステップ3 「NOT TO DOリスト」と「バッファーゾーン」を作る

では、TO DOリストではなく、何をすれば良いのでしょうか。フォースター氏によれば、まず「NOT TO DOリスト」を作ることが必要だと言います。

NOT TO DOリストとは、例えば以下のような、「これはしない」というルールを決めることです。

・23時〜11時までは電話にでない
・18時以降は仕事をしない
・メールは当日には返信しない
・メールの処理に30分以上かけない など

次に、「バッファー・ゾーン」を設けてみましょう。バッファーゾーンとは、仕事がきたらすぐに反応・返答するのではなく、一旦整理をするゾーンのことです。

フォースター氏は「自分と仕事の間に距離をとること」の重要性について繰り返し述べています。

ついつい、次々やって来る仕事を入れてしまいがちですが、すぐ「明日中には提出します」と返事をするのではなく、一度整理をして、自分がその仕事をとりかかることのできる日時を決め、(翌日に)返答をするようにします。その余白のことを「バッファー・ゾーン」と言います。

まずは、仕事の整理をすることが、効率化への近道。いつ頃着手できるのか、いつ頃完了させることができるのか、きちんと整理した上で仕事の返答をする、というのが基本です。

ステップ4 「今抱えている仕事の仕分け」をする

バッファーゾーンで、仕事の全体の整理ができるようになったら、今度は今抱えている仕事について、以下の3つに仕分けをしてみましょう。

①今すぐする仕事
②今日中にする仕事
③明日する仕事

大切なのは「②今日中にする仕事」をできるだけ減らすことです。「①今すぐする仕事」が多い人は、主に接客業や、来客の対応が多い職業の人が多くなりがちです。その場合は特に問題ありません。

「②今日中にする仕事」が多い人は、仕事の効率が良いとは言えない状況です。システムや理由を徹底的に考える必要があります。

「③明日する仕事」が多い人は、仕事のシステムがうまくいっていると考えて良いでしょう。

ここで大切なのは「今日する仕事」をできるだけ減らすようにすること。今日中にしなければいけない仕事が終わらせることができず、翌日に繰り越しになっている、という状況こそが危機的なのです。

ステップ5 「クローズリスト」を作る

では「今日中に終わらせる仕事」を減らす方法を紹介します。
ここで「クローズリスト」を使用します。

クローズリストとは、オープンリストの反意語(オープンリストはTO DOリストなどのことを指します)で、この特徴は、「仕事に制限を設けて、効率を上げる方法」のことです。

例えば、来週休暇がある場合、全ての仕事を終わらせようとするのではなく、「休暇前までにすること」と「休暇後にすること」を明確にわける、という方法です。その方が、休暇前の仕事がスムーズに進みます。

あるいは、今日おこなうと決めたタスクに関しては、それ以上増やすことは決してせず、それを終わらせることだけに集中するというものです。追加タスクはNG。もし追加でタスクが生まれそうな場合は、翌日に回せるよう調整をします。

この制限を設けるクローズリストこそが、仕事の効率化(集中化)を生み、仕事に追われなくなるのです。

ステップ6 タスクを“分割”する〜タスク・ダイアリーを使用する

もちろん、オープンリストとクローズリストを併用し、日々のタスク管理をすることもできます。
そのときにポイントとなるのが、大きなタスクにするのではなく、できるだけ細かいリストに分割することです。

以下は、一つの例となるリストです(139ページ)。
とあるプロジェクトがタスクに上がっていますが、ずっと手付かずになっている場合、以下のように分割することができます。

ステップ1 「いつかやろう」と思っていたプロジェクトをあげる
ステップ2 まず「今日から取り掛かる」と決断する
ステップ3 そのプロジェクトを成功させる「行動リスト」をつくる
ステップ4 リストを見て、今日できることを探す。
(今日やるのは無理だと感じるなら、項目をさらに分解する)
ステップ5 最低でも1つ、完了する

このように細かくわけることで、具体的に少しでもプロジェクトを進めることができます。またタスクがいつまでやっても終わらない場合、それはタスクではなくプロジェクトだと気づくこともできます。

例えば、「レポートを書く」ということををプロジェクトにする場合、タスクを以下のように分けることができます。(※もちろん、レポートを簡単に書けるのなら、プロジェクトにする必要はありません)

①現状を分析する
②アウトラインを設計する
③文章を書く 

タスクにすることで、どの段階で効率が悪いかが、わかるようになってきます。

フォースター氏は、タスクをどんどん半分にして分解していく「二等分法」を推奨しています。二等分法にすることで、どんなプロジェクトも毎日少しずつ進めていくことができます。これは仕事以外でも、習い事や勉強などにも非常に有効な手段です。

また、タスク管理は、「タスクダイアリー」を使うのが有効です。タスクに関して、1日1ページ割くようにします。翌日のタスクは次のページに書いてあり、その日のタスクは決して増えません。

もし仕事の依頼がきた場合、そのタスクダイアリーをめくって、どのあたりで着手できるか、タスクをいくつに分けて、何日にわたって行えば、依頼が完了するか、目安がつきやすくなります。

いつものタスクだと、ずらっとリストが連なっているだけで、それをこなすことに精一杯になってしまいますが、タスクダイアリーは、その日のタスクをこなせば、全ての仕事が完了していくシステムなので、仕事に追われることなく確実に終わらせることができるというわけです。

また、毎日発生するような仕事は、タスクダイアリーにいちいちメモする必要はなく、「デイリー・タスク・リスト」で管理します。
いわゆる「毎日行うことリスト」ですが、このリストで大切なのが、きちんと分割されたタスクであるか否か、ということです。

例えば、毎日1時間語学の勉強をする、というデイリータスクを設けても達成できないのであれば、自分の体力のなさや仕事管理能力を嘆くのではなく、そのタスクを分割してみてください。

語学番組を5分見る、単語帳を昼休みにめくる、など、さまざまな方法があります。そのような小さなタスクでも進めることで効果が必ず表れてきます。

“本当の仕事”を行うために

最初のほうでも紹介したように、毎日の仕事に追われてしまっていると、本当の仕事に着手することができなくなってしまいます。
大切なのは、「本当の仕事」と「忙しいだけの仕事」を区別すること。

忙しいだけの仕事に追われて満足していると、「本当の仕事」ができないまま、なんとなくの満足感を得るだけにとどまってしまいます。

フォースター氏は、「本当の仕事」について次のように述べています。

「本当の仕事」とは、目標に近づくための仕事です。(中略)そして「本当に仕事」には、綿密な計画と入念な思考の時間が必要です。しかし、そのせいで「忙しいだけの仕事」の方が仕事らしく見えるのです。(中略)「忙しいだけの仕事」は「本当の仕事」をしない口実に過ぎません(90ページ)

その状態から抜け出すためには、「仕事を片付けるのではなく、仕事と向き合う時間をつくることです。
例えば、毎日15分でもよいですし、週に1回でもよいでしょう。仕事のアイディアを考える習慣を作ったり、現状の仕事の状態を把握して、今後のプランを練る時間を捻出したりするようにしましょう。

仕事に“向き合う”というのは、仕事について考えることです。仕事の目的・意味を考える、構想を練る、目標を設定する、新しい企画を考える、計画を立案する、といったことが含まれます(251ページ)

このようにフォースター氏が述べているように、本来ではない仕事に追われるのではなく、本当に仕事に向き合う時間を作ること、それが何より大切なのではないでしょうか。

今回は、『仕事に追われない仕事術』より、仕事のタスク管理についてご紹介しました。日々仕事に追われていると感じている方、ぜひ実践してみてください。

参考文献:マーク・フォースター著、青木高夫訳『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版』ディスカバヴァー・トゥエンティワン、2016年

Career Supli
これはしないリストはすごく重要です。社内で話し合ってみてください。
[文]遠野蒼 [編集] サムライト編集部