SNSの影響で“イケてる”の基準が変わった!新しい価値観3Aとは?

5年間発信し続けた短パン社長

先日アップした短パン社長のインタビュー記事はご覧になりましたでしょうか。まったく無名のところからSNSで5年間発信し続けたことがキッカケで、フジテレビの「人生のパイセンTV」で特集を組まれるまで注目されるようになりました。今後もどんどん露出が増えていくことでしょう。

「ただSNSで発信しているだけでしょう?」と思っている人は認識をあらためた方がいいかもしれません。誰もが表現可能な時代には、日々の行動や暮らしぶりがネットを通じて可視化されます。SNSがインフラになった今、SNSは私たちの思考や価値感にどんな影響を与えているのでしょうか。

テクノロジーの本質

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メタップス代表の佐藤さんの著書『未来に先回りする思考法』でテクノロジーの本質の1つとして、「テクノロジーは人間の教育をする」という指摘があります。はじめはただの便利な機能だったものが、時間の経過と共に、今度は人間がその機能に合わせて変化していくのです。

例えば貨幣は、物々交換に替わる便利なテクノロジーとしてスタートしましたが、しだいに人間の価値感や生き方に、大きな影響を与えるようになりました。このように新たなテクノロジーが人間に与える影響を考えると、SNSによって我々の価値感は大きく変化していくと考えたほうが自然でしょう。

「SNSにそこまでの影響力はないよ!言い過ぎでしょw」と思う人もいるかもしれませんが、「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」という言葉も出てきており、メディアでの評価が、貨幣よりも重要な社会になると指摘する評価経済社会説なども出てきています。

貨幣というテクノロジーにおもいっきり影響を受けてきたのですから、SNSの登場によって価値観が変わっていくのは、むしろ当然の流れです。それでは具体的にどのような価値観の変化がおこっているか見ていきましょう。

イケてる基準の変化

SNSの影響によって“イケてる”の基準が変わってきています。つまりは「SNS以前の価値観」と「SNS定着以後の価値観」です。その変化を示す単語は3つのAではじまる下記のワードに集約されます。

1. Attitude (アティチュード)態度

2. Action (アクション)体験

3. Attention (アテンション)注目

それでは1つずつ解説していきます。

1. Attitude (アティチュード)態度

SNS定着以後は、匿名で発言するよりも、実名で自分の態度や意思表明をする人、自分の意見を主張する人が高く評価されるようになってきました。特に匿名で悪口を言ったり、何かを批判する人は、自分だけ安全なところにいて他人に石を投げる、超ダサい行為として認識されはじめています。

匿名ということはつまり個人がない=個性がない、取るに足らないつまらない存在となりつつあります。もちろん必ずしも匿名が悪いわけではありませんが、周りから認めてもらうための難易度は、かなり高くなるでしょう。自分の立ち位置を明確にして、リスクを持って発言をしている人は、批判されてアンチも発生しますが、その矢面に立つ覚悟がまさにAttitude (アティチュード)です。

所属している企業によっては自分のAttitude (アティチュード)を示しづらい場合もあると思いますが、あまりにもその縛りが強い企業は、自由度の低い企業として徐々に敬遠され、人気が落ちていくでしょう。

特にクリエイターやメディア関連などの表現に携わる仕事をしている人でAttitude (アティチュード)を表明しない人は、それだけで大したことがない人と、見られる時代になっていくでしょう。これは企業も同じです。モノが売れない時代にはAttitude (アティチュード)に共感してもらえないと、商品やサービスを購入してもらえなくなっていきます。

2. Action (アクション)行動

ネットで簡単に検索できるようになり、誰でもアクセスできるような知識の価値は低くなりました。そのため相対的にAction(アクション)によって得られる体験や、経験に基づく知識の価値があがりました。積極的にAction(アクション)をおこす人に価値がある、イケているという価値観が広がっていると思います。フェスやイベント、アウトドア、デモなどがこれだけ盛りあがっているのも、この意識の変化の現れだと思います。

またSNSによってAction(アクション)の過程が可視化されやすくなりました。それによりAction(アクション)が関係する人を刺激したり、勇気づけたり、笑わせたり、感動させたりと、影響を及ぼす範囲が一気に広くなりました。世界の観光地や企業のブランディングなどを手掛ける高城剛氏は「アイデアは移動距離に比例する」とも言っており、フットワーク軽く動いて「アクション」する人が評価される時代になっているのです。

3. Attention (アテンション)注目

態度、行動が可視化される時代にもう一つ重要なのがAttention (アテンション)です。これからの時代には好むと好まざると、矢面に立たなければいけない場面が増えていきます。そんな時にも恐れず「矢面に立つ覚悟」をもって、自分の言うべきことを言い、やるべきことをやり、世の中をより良いものにしていく、そんなAttention (アテンション)の有効な使い方をしている人が、センスのいい人、カッコいい人として評価される時代になってきているのではないでしょうか。

例えば、病児保育のNPO法人フローレンス代表、駒崎弘樹さんなどはそのAttention (アテンション)を活かして待機児童問題、休眠口座の活用など、様々な問題を広く世に広め、社会問題の改善に取り組んでいます。

政治家でなくとも、社会を変えるられる事を自ら実践している素晴らしい方だと思います。津田大介さんは著書『情報の呼吸法』の中で次のように語っています。

これからはソーシャルキャピタルの時代になると思います。(中略)そのような環境下で求められるのは『自分自身も他人の資本である』という認識を持つことです。

つまり自分が他人のリソースを使うだけではなく、自分も他人のリソースになれるような動き方ができる人は評価されて、結果的にそれがその人にまた戻っていくのです。

新しい時代の価値観3Aを地で行く坂口恭平さんに注目しよう

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Attitude 、Action、Attentionの新しい時代の価値観である3Aを完璧に自分のモノにしているのは、坂口恭平さんです。坂口さんは建築家であり、作家であり、絵描き、踊り手、歌い手です。代表作には『TOKYO 0円ハウス』、『独立国家のつくりかた』などがあります。2011年5月には1人で0円で新政府を立ちあげ、自分の携帯番号を公開して、死にたくなった人の話を聞く命のホットライン「いのっちの電話」を立ちあげ、いまも電話を受け続けています。

坂口さんの実践する経済活動は「態度経済」です。「態度経済」とはお金の代わりに、態度を交換するという考え方。たとえば、坂口さんは福島の子どもたちを熊本に無料で招待する、サマーキャンプを実施しています。そこにかかるお金の必要経費の半額150万円は自前で負担し、残りの半額はこの計画を知った新政府の国民(フォロワー)や自治体が負担しました。この坂口さんの表明した態度に共感する人が自分の態度を示す、これが態度経済です。

態度経済で生きる坂口さんの周りでは、日常的にこんな感じのことがよく起こります。つい最近もフォロワーから200万円が振り込まれたとつぶやいていました(笑)坂口さんはアートと経済と生活が地続きなのです。レディー・ガガの10倍ぐらいメディアの使い方がうまくて、クリエイティブなのでまだご存じない方は是非twitterをチェックしてください。この人と同時代に生まれて、その活動をリアルタイムに見ることができるのは本当にラッキーだと思います。

ただしツイートの量が半端ではなく多い時があるので、坂口さん専用のリストをつくって、見るのをおススメします。このようにいま新しい価値観が広まりつつありますので、自分の行動と照らしあわせてみてください。

Career Supli
坂口恭平さんと宮台真司さんの対談動画は、超面白いので是非ご覧ください。小説もいいです。
[文]頼母木俊輔 [編集] サムライト編集部