一目置かれる趣味を持とう
履歴書や自己紹介のシートで趣味欄を適当に書きつづけてはや20年。筆者はそのときどきで「読書、映画鑑賞」を「映画鑑賞、ランニング」を使い分けてきました。
ただ空欄を埋めるだけの取り得のないわたしの趣味欄…。とはいえ、たいした趣味や特技がない私のような人って意外と多いのではないでしょうか。
そこで今回は、こんな趣味なら注目される、会社でも一目置かれる趣味についてご案内いたします。どんな趣味もそれがちょうじて秀でたものになれば一目置かれることに間違いはありません。
例えば、エアギターを趣味にしている人が毎年フィンランドで開かれる世界大会に出場できるレベルになれば周りに自慢できますし、ポテトチップス愛好家であれば趣味が高じて『マツコの知らない世界』に出演、ポテトチップのナビゲーターでもすれば放送翌日から職場の話題はそれでもちきりでしょう..。
しかしそれも他に秀でたレベルになればというもの。ただ趣味にしているというだけで一目置かれる趣味というのはどういった特徴があるのでしょうか。
ポイントは“オトナのたしなみ”。年長者も難しく感じているもの
社員が20代~30代ばかりみたいなベンチャー企業であれば話は別ですが、大抵の会社は社長以下役員クラスのエグゼクティブが40代~60代というのが一般的。
社会経験に富み、ビジネスをする上で多くの人たちとコミュニケーションしてきた彼らは、趣味やプライベートについてもハイクラスで上質なものが多いに違いありません。
ポイントは40代以上の年長者にとっても「完璧には理解できていないがオトナのたしなみとして」考えられているものです。人は自分の知らないことを知っている人に敬意を払うものです。
一見とっつきにくくて難しそう。でも昔から確実にファンが存在しいていて、(エグゼクティブや年長の人たちにとっても)自分たちより上の世代が嗜んできた、やや玄人臭のするものといえば…、いくつか候補が挙がってくるのではないでしょうか。
一つ目 「文楽」

文楽は江戸時代から続く人形浄瑠璃のこと。太夫の語りと三味線によって人形一体を三人の人形遣いが操り、劇中、表情や所作など細かく微妙な動きで登場人物の心情や感情を表現します。
2008年(平成20年)年にユネスコの無形文化遺産に登録されていますが、橋下徹大阪市長時代の2012に補助金カットが表明され、話題になりました。
昨年、筆者も国立劇場(小劇場)まで観に行ってきました。同期入社の女性が最近文楽にハマっていると聞き、はてどんな世界なのか気になりました。
劇場には年配の女性を中心にシニア世代が多く、若い男性は300人入る劇場で数える程度。若い女性やグループもちらほら見かけました。とりわけ着物で観劇している女性の多いことには感動し、なんとも粋で洒落たオトナの遊び場だなあとうれしくなりました。
観劇の内容も想像していたより分かりやすく、席があまり舞台から遠くなかったことも幸いし、人形の細かな動きやそれを操る人形使いの方々の熟練の技能も含めて目を見張るものがありました。
大の大人が3人がかりで人形を操って進行する劇ってなんとも不思議な空間だなあと、何度か感じましたが、クライマックスではやや感情移入もして、生身の人間が演じているのとは別の訴えかけるものを感じました。
二つ目 「歌舞伎」
歌舞伎といっても昔ながらの「仮名手本忠臣蔵」、「義経千本桜」とかばかりじゃありません。
市川海老蔵、中村獅堂、といった人気役者が「ワンピース」を原作としたスーパー歌舞伎Ⅱや「ナルト」、「名探偵コナン」など漫画原作を歌舞伎化した新作歌舞伎など、新規顧客のためのさまざまな取り組みにトライをしています。歌舞伎はまだという方にはとっかかりやすいんじゃないでしょうか。
また、歌舞伎座には4階に一幕見席(500円~2,000円)という、好きな幕だけ(※一般に歌舞伎は1回4幕~5幕で4時間程度の上演)を気軽に観られる当日券席があります。
かくいう筆者も大学生の頃、高学歴なハイソ女子と歌舞伎デートに行くことになり、予習のためにこの一幕見席を利用しました。通っぽい人たちの利用も多く、学生にも十分楽しめました。気軽に観てみたい、ビギナーの方にはおススメです。
真打ち 「落語」

画像出典:http://rakugo-kyokai.jp/
一つ目(前座)、二つ目とくりゃ、真打ちは落語でしょう。ほら、「自分の周りにも落語が好きな人はいるけど、どうにも面白いとは思わないんだよねえ」ってのが若者の感想の通り相場。どうにももったいないねえ。
そもそも、落語聴くのが初めてって人はどこで聴くもんなのか分からないっつうからとりあえず寄席に行きがちだ。新宿三丁目の末広亭、上野の鈴本あたりは兄さんも耳にしたことがあるかな。
他にも、浅草、池袋にも演芸場がありますが。たしかに寄席は気軽なんです。午前と午後で分かれて3000円もしないチケットでパッと入って落語家や色物(漫才やマジック、奇術に曲芸など)まで入れ替わり立ち代り出てくる。
15人で半日回すもんだから一人10分~長くても20分てとこです。ビールとかお菓子食べながら観ててもオッケー。つまらなければそこで出くればいい。
でもね、これが難しいとこなんです。寄席ってね、言わば日常なんです。演者にとっての日常。前座にとっては良い練習の場。基本的には一ヶ月を半分に分けて半月ずーっと同じ演者がやるんです(もちろん売れっ子になると半月のさらに半分とかありますが)。
寄席の芸にゃ緊張感がないなんて言ったら噺家さんたちから怒られちゃうけど、10分20分で出来るネタなので軽いものが多いし、やるのはだいたい毎日同じネタ。落語のネタにも色々あってね。
10分程度で出来ちゃう前座噺からはじまり60分以上かかるなんて大ネタもある。そんでこれが寄席ではない大きなホールでやるような落語(ホール落語と言ったりします)に行くとね、落語家にとっても腕試しだもんで大きなネタやるんですよ。
しかも自分一人でホール500人いっぱいにしなきゃならない責任と緊張感で本気も本気。人気の落語家の独演会なんかは大きな箱でもすぐにチケットが売り切れます。
ここ数年だと、立川志の輔、立川談春、柳家喬太郎、柳家三三、春風亭一之輔あたりは不動の超人気でなかなかチケットが取れません。
もちろん他にも人気の落語家は東西沢山います。円熟味って言うのかねえ、芸にコクと味の出てきた落語家さんの会なんかいくとね、いるんですよエグゼクティブらしき人たちが。
いかにもどっかの企業のお偉いさんってな気品があって身なりのいい紳士やご婦人たちが。げんに筆者は、自分の会社の専務や副社長をあるホールで見たことがあります。
さらには落語好きにはご贔屓にしている噺家なんてものが2、3人はいるもの。だから、初心者が落語に開眼するのに手っ取り早い方法といえばズバリ!落語好きに付いてホール落語を聴きにいくこと!これに尽きます。
実際に遊びに行こう

以上、会社で一目置かれる趣味3つ。文楽、歌舞伎、落語と和モノの伝統芸能全部のせみたいになっちまいましたが、うまくアピールするとこれほんっとうに効果的です。
思わぬところでこの手のファンはいるもので、こんな趣味でもなければおよそ仲良くはなれなそうな役員クラスのおじさんや客先の部長さんといったエグゼクティブ層にまでその輪は拡がってるんです。そうとくりゃものは試しに劇場へ、一度お試しあれ。
