就活や転職活動では自己分析が重要といわれるものの、どのように取り組めばよいのかわからない、といった方もいるかもしれません。自己分析にはさまざまなメリットがあり、就活を成功させるためには積極的に取り組むべきです。本記事では、自己分析のメリットややり方、できない場合の対処法などを解説します。
Contents
自己分析とは?社会人の就活・転職の前には必ず行おう!
自己分析とは、自分のことを深く知るために行う分析です。過去の経験や思考などを整理することで、長所や短所、特長などを理解でき、どのような強みがあるのかを把握できます。
社会人の就活や転職活動を成功させるには、自己分析の実施が必須です。分析によって自分の価値観やキャリアプラン、特長などが把握できれば就活の軸を明確にできます。自分のことをよく理解できるようになれば、面接でも自信をもってアピールができます。
自己分析を行うメリット
自己分析によって得られるメリットは、自分を客観的に見られるようになりどのような仕事が適しているのかを理解できることや、自分にマッチした社風や仕事とのミスマッチを回避できることなどがあげられます。
自分を客観視できるようになる
自分がどのような性格で、どういった長所や短所があるのかといったことがわかります。自分のことを一番理解できていると思っていても、実際にはそうでないケースが少なくありません。分析によって自分を客観的に見られるようになれば、クリアすべき問題も見えてきます。
たとえば、分析の結果自分には協調性が足りない、と理解できたとしましょう。問題点が具体的になれば、あとはどう解決するかを考えるだけです。自分には協調性が足りない、と自覚できただけでも今後の行動に変化が現れると考えられます。
自分に向いている仕事がわかる
自分に向いていると考え就職したものの、実際にはまったく向いていなかった、といった状況に陥るケースは珍しくありません。これは、自分のことをきちんと理解できていないため起こりうることです。
自己分析を行えば、どのような強みがあるのか把握できます。自覚はできていなくても、人との会話、コミュニケーションが得意であることがわかれば、自分に合うのは営業の仕事である、と判断できます。また、自分がどのようなことに関心を抱いているかを把握できるため、やりたい仕事が見つかりやすくなるメリットもあります。
社風や仕事とのミスマッチを防げる
自己分析によって、自分に合う社風の企業や仕事がわかります。性格や特長に合うかどうかを事前に把握できるため、ミスマッチの回避につながります。
就活におけるミスマッチは、就活生だけでなく企業にもよくない影響をもたらします。就活生が自分に合わない企業に就職してしまうと、環境や仕事になじめず早期離職につながるおそれがあります。こうなると、再度就活をやり直す必要があり、余計な時間を浪費します。
一方、企業にとってはせっかく確保した人材を失い、再度採用活動をしなくてはなりません。これまで費やしたコストが無駄になり、新たなコストが発生します。離職につながらずとも、周りや仕事になじめない従業員はモチベーションが低下している可能性があり、周りの従業員に悪影響を及ぼすおそれがあります。
自己分析の簡単なやり方! 役立つフレームワークを紹介
自己分析のやり方はいくつもあります。近年では、自己分析ができるツールもリリースされています。アナログな手法としては、なぜなぜ分析やモチベーショングラフ、マインドマップ、自分史などが有名です。
なぜなぜ分析
なぜなぜ分析は、質問に対してなぜを繰り返すことで根本的な原因や本質を把握するフレームワークです。なぜなぜ分析を行うときは、大きな分岐点となったときや印象深い出来事などを用いるのが一般的です。
たとえば、過去に部活を頑張った経験があるとしましょう。このケースであれば、「なぜ頑張れた?」→コーチの信頼を得ていた→「なぜ信頼を得ていた?」→陰で努力しているのを知られていたから→「なぜ陰で努力できた?」→結果を出したかった→「なぜ結果を出したかった?」→みんなに認めてもらいたかった、のような分析ができます。
この結果から、自分は陰で努力ができること、結果を大切にすることなどが見えてきます。このように、分析によって自分ではわからなかったことを知ることができます。
モチベーショングラフ
モチベーショングラフは、縦軸と横軸からなる表に過去の出来事やモチベーションの変化を書き込んでグラフ化したコンテンツです。縦軸はモチベーションの高さを示す点数を、横軸には中学校、高校など時間軸を設定します。
モチベーショングラフによって客観的に過去を振り返ることができ、どの時期、何の出来事でモチベーションに変化があったのかを把握できます。そこから、自分がどのようなことに熱中できるのか、何が楽しかったのか、なぜ哀しかったのかといったことがわかります。
マインドマップ
マインドマップは、頭のなかを整理するフレームワークとして知られています。メインとなるトピックを中心に配置し、そこから思考をどんどん枝わかれさせることで、考えていることの整理と可視化が可能です。
いろいろと考えているものの答えが出ない、頭のなかが整理できない、文章で表現できないといった方にマインドマップはおすすめの手法です。マインドマップにはさまざまなルールが存在しますが、気にしすぎるとかえって思考を整理しにくくなるかもしれません。基本的には最低限のルールさえ守れば問題はありません。
自分史
自分史とは、自分の歴史を整理したものを指します。過去から現在にいたるまでの歴史を整理することで、これまで成し遂げたことや考えていたこと、熱中できたことなどを整理でき視覚的に把握できます。
自分史の作成によって、自分を客観的に見ることができ、どのような強み、弱みがあるのかもわかります。また、自分の歴史を整理できるため過去のどのタイミングで何があったのかを必要なときに引き出せます。
自己分析をするときに使える質問項目

自分に対して質問を投げかけることによって分析が可能です。自己分析時には、過去と現在、未来の3つを軸にしましょう。たとえば、過去であれば学生時代に一番楽しかったこと、現在であれば今苦しいこと、といった具合です。
過去に対する質問
過去の出来事から自分の成り立ちがわかれば、自分でも気づかなかった本質や考え方、価値観などが見えてきます。整理する過程でどのような強みがあるのかわかれば、就活時のアピールに使えます。
たとえば、「高校時代に一番楽しかったこと・したくなかったこと」は自己分析として有効な質問です。したくなかったこと→グループでの取り組み、だとすれば自分にはチームで取り組む仕事は向いておらず、一人で黙々とこなすような作業が適していると判断できます。
ほかにも、「幼いころの夢は何?」や「休日はどうすごしていた?」、「力を入れていた教科は?」といった質問も自己分析に有効です。
現在に対する質問
現在における自分の考え方や価値観の把握に役立ちます。就職や転職活動を行うのは過去ではなく現在の自分です。そのため、現在の時点で自分がどのような価値観を抱いているのか、どういった考え方をもっているのかを知ることは就活を成功に導くうえで重要です。
質問としては、「一人のときは何をしている?」や「趣味は何?」などが考えられます。また、「誰に影響を受けている?」や「何が自慢できる?」、「友人とは何をして遊んでいる?」といった質問からもさまざまなことが見えてきます。
未来に対する質問
未来に関する質問によって、自分が将来的にどうなりたいのか、どのような人生を歩みたいのかといったことがわかります。それがわかれば、自分が進むべき道やキャリアが明確になり、就活の大きなヒントにもなると考えられます。
質問としては、「五年後にどうなっていたい?」といった質問が挙げられます。具体的な数値を用いて質問することで、よりイメージを明確にできます。また、「これから何にチャレンジしたい?」や「最近気になっていることは?」、「どのような職場が理想?」といった質問も有効です。
自己分析に役立つツール
自己分析に役立つツールを活用すれば、スムーズに自分のことを把握できます。よく知られている自己分析ツールとしては、mgramやストレングスファインダー、16 Personalitiesなどが挙げられます。
mgram(エムグラム)
mgram(エムグラム)は、世界のさまざまな国で1,100万人以上が利用している性格診断です。株式会社mgramが開発した診断テストであり、高精度な分析アルゴリズムを採用している点が特長です。
設定されている質問に答えていくだけで、自分がどのような性格なのかを把握できます。膨大な性格診断データを活用した分析を行っているため、結果の信憑性が高い点も特長です。
mgram(エムグラム)には無料版と有料版があり、前者は8つの性格と8つの才能を分析で導き出してもらえます。有料版になると、8つの適職、8つの恋愛観などを分析できます。
ストレングスファインダー
ストレングスファインダーは、177の質問に答えることで自分の才能を診断できるツールです。質問に答えていくと、34に分類された資質から自分に近いものを5つ選んで示してくれます。
ストレングスファインダーを活用すれば、自分にどのような才能、資質があるのかがわかります。気づかなかった資質や強みがわかれば、就活時のアピールポイントとして使えます。
診断はオンラインで受けられますが、基本的にツールの利用は有料です。ただ、結果が詳細に示されることを考えると、有料であっても使う価値はあります。
16 Personalities
16 Personalitiesは、心理学をベースに開発された性格診断テストです。MBTI性格検査とユング心理学の2つがベースとなっており、診断結果が16のパーソナリティに分類される点が特長です。
16のパーソナリティには、建築家や指揮官、仲介者、主人公、幹部、冒険家などがあります。これらのキャラクターから、自分がどのような性格の持ち主なのかを判断できます。
自己分析ツールや診断ツールには有料のものが多い一方で、こちらのツールは無料で利用できます。面倒な会員登録もないため、手軽に自己分析を行いたい方にも適しています。
自己分析におすすめの本

自己分析に関する書籍も数多く出版されています。自己分析ができるだけでなく、就活に役立つさまざまな情報を網羅した本もあるので、就活や転職活動をスムーズに進めたい方におすすめです。
『受かる!自己分析シート』

画像出典:Amazon
こちらの書籍には、就職活動でなぜ自己分析が必要なのか理由が明確に記されているため、必要性や重要性を再認識できます。41のワークシートを用いた分析で自分の強みを把握でき、応募書類の作成に役立ちます。また、第三章には他己分析シート、第四章には企業研究ができるシートが掲載されています。
著書は慶応義塾大学卒のキャリアコンサルタントで、自己分析に関する研究を重ねてきた方です。就職活動に関する勉強会を開催してきた経緯もあるため、本の内容にも信憑性があります。
『絶対内定2023 自己分析とキャリアデザインの描き方』

画像出典:Amazon
自己分析に関する基礎的な情報と、94枚のワークシートを掲載してある書籍です。大学生協では13年連続で売上ナンバーワンの実績があり、就活で成功するために何が必要なのかもわかりやすく記されています。
就活本のロングセラーとして高い人気を誇り、大学やキャリアセンターからの支持も得ている書籍です。就活に役立つさまざまな情報を網羅しているため、これから就活や転職活動をスタートさせたい方に適しています。
『あなたが「一番輝く」仕事を見つける 最強の自己分析』

画像出典:Amazon
自己分析のノウハウや考え方などを包括的に記した書籍です。2009年に刊行されたものを現在の就職市場にあわせてリニューアルしています。仕事に活かせる強みを把握するための方法を記しており、自分の強みが就職後どのように活かされるかイメージを明確にできます。
これまで4,000人の面接に対応してきた方が著書であり、採用活動をしている企業側がどのようなことを重視しているのか、といったこともわかります。
自己分析の活用ポイント
自己分析によって就職や転職活動を効率的に進められるほか、面接担当者に興味を抱いてもらえる志望動機も作成できます。また、自分の強みが明らかになることで、効果的な自己PRが可能です。
就職・転職活動
自己分析によって自分の強みや性格などを把握できたら、そこからマッチする企業を探せます。求人広告やコーポレートサイトなどで情報を収集し、照らし合わせつつ就職先を絞り込みましょう。
自分に適した職業も把握できます。どのような仕事が向いているのか把握できれば、無駄な回り道をすることなく効率的に就職や転職活動を進められます。
志望動機
志望動機は、企業の採用担当者がもっとも注意深くチェックするポイントです。少しでもよい印象を与えるためには、採用担当者が納得するような説得力がある志望動機を作成しなくてはなりません。
自己分析で導き出した結果を活用すれば、面接担当者が納得する志望動機を作成できます。自分にはこのような強みがあるため組織に貢献できる、と前向きなメッセージを志望動機として伝えることが可能になります。
自己PR
自己分析から自分の強みを正確に把握できるため、効果的な自己PRが可能です。自分にはこのような強みがある、過去にはその強みでこのようなことを成し遂げた、といった流れで伝えると説得力があります。自己分析で自分のことをしっかり理解できれば、何をアピールするべきかが自然と見えてきます。
自己分析ができない人におすすめの方法
自己分析ができないのなら、家族や友人などに聞いてみるのもひとつの手です。また、就活や転職活動のプロでもあるキャリアアドバイザーに相談すると、適切なサポートを受けられます。
家族・友人に聞いてみる
自分のことを客観的に見るのは意外と難しいです。そこで、家族や友人に自分のことを聞いてみましょう。どのような性格でどういった強み、弱みがあるのかなどは、普段から客観的に見ている家族や友人たちの意見を参考にできます。
家族や友人からの意見を聞きとることで、自分では把握しきれていなかった強みや弱みを理解できます。忖度されると意味がないため、感じていることを正直に伝えてもらいましょう。
キャリアアドバイザーに相談する
自分で分析が難しい、できないといった方は、就職や転職活動のプロでもあるキャリアアドバイザーに相談するのもひとつの手です。キャリアアドバイザーは、就職や転職を希望する方を対象にさまざまなアドバイスを行い、就活を成功に導いてくれる存在です。
たとえば、応募書類の書き方や面接対策などをサポートしてくれるケースが一般的です。相談者から得た情報をもとに分析を行い、どのような仕事が向いているのかも伝えてくれるため、就職や転職活動をよりスムーズに行えます。
まとめ
自己分析によって自分のことを客観視でき、強みや弱み、価値観などを正確に把握できます。これらの情報を把握できれば、面接担当者を納得させられる志望動機を作成できるほか、効果的な自己PRもできます。
自分で分析ができないのなら、キャリアアドバイザーのような就活のプロを頼るのもひとつの手です。プロならではの視点で適切なアドバイスをもらえるため、スムーズに就活や転職活動を進められます。
[文]CareerSupli編集部 [編集]CareerSupli編集部