自分の市場価値を上げるためのオンラインサロンの使い方

個人の市場価値が物言う時代

企業をはじめ、組織が個人に対して責任を持たなくなった結果、今後は個人が市場においてどれだけの価値を持つかが生き残るためには重要になっていくと考えられます。

しかし現在の日本では、個人の市場価値を高めるという考え方がまだ浸透しておらず、具体的に何をすれば自分の市場価値を高められるのかがわからないという人も多いのではないでしょうか。

そういった疑問に対する回答の一つが「オンラインサロン」です。ここではオンラインサロン運営専門の会社「株式会社女子マネ」の代表を務める中里桃子さんの著書『副業・人脈・好きなこと人生が変わる「オンラインサロン」超活用術』をもとに、オンラインサロンへの参加がなぜ市場価値の向上につながるのか、どうやって自分に合ったオンラインサロンを見つければいいのかについて解説します。

自分の市場価値はどうすれば上げられるのか?

個人としての市場価値を上げる方法はいくつかあります。例えば現在進行形で成長している分野に転職し、その分野がコモディティ化する前に経験と実績を積んでおく方法もその一つです。あるいは今いる会社で大きなプロジェクトに参加して、業界内で名前が通用するような実績を収めたり、本業とは別に副業を始めて自らキャリアを切り拓いたりするのも有効です。

しかし今挙げたような方法に対して、「ちょっとハードルが高いな」と感じる人も多いはずです。能力や時間的な問題のほか、リスクを考えると勇気が出ないという人もいるでしょう。

「人間が変わる方法は3つしかない。1つ目は時間配分を変えること。2つ目は住む場所を変えること。3つ目は付き合う人を変えること。どれかひとつだけ選ぶとしたら、時間配分を変えることが最も効果的」

これは元マッキンゼー日本支社長の経営コンサルタント大前研一さんの言葉ですが、どれを実行するにしてもリスクやコストはネックになります。そこで候補に上がるのがオンラインサロンです。以下ではオンラインサロンが個人の市場価値を上げる理由について見ていきましょう。

オンラインサロンで市場価値を上げる

オンラインサロンが個人の市場価値を上げる理由は全部で3つです。

1.会社の外に出た時の自分の価値を知ることができるから
2.人脈=自分が貢献できる相手が増える(見える)から
3. キャリアのユニーク性が高まるから

以下で一つずつ具体的に解説していきましょう。

●1.会社の外に出た時の自分の価値を知ることができるから

ずっと一つの会社で働いていると、自分のスキルや実績が会社の外でどれだけ役に立つかを知るチャンスはあまりありません。しかしオンラインサロンで様々な会員と交流していると、会社の外で自分がどれだけ価値を持つのかを知ることができます。

例えばサロンでオフラインイベントを開催するとなった時に、人を集めたり、会場を押さえたり、当日のレポートを書いたりと、様々な仕事が発生します。そこには自分が普段やっている仕事とリンクするものもあるでしょう。

運営側として参加すれば、「普段の自分の仕事のやり方でも十分通用するんだ」と実感できたり、「○○さんに任せてよかった」という感謝の言葉をもらったりするかもしれません。そうした経験の中で、会社の外の自分の価値を知るのです。

このような経験を通じて「もっと上手くできるようになろう」「もっとたくさんの人から評価されるようになろう」とスキル磨きに力を注ぐのもありですし、「社外でも通用するんだったら、転職活動を始めてみよう」と思いきるのもありです。どちらにせよ、オンラインサロンが経験値を増やし、個人としての市場価値を高めるきっかけになるのです。

●2.人脈=自分が貢献できる相手が増えるから

「困った時に助けてくれる人」「頼れば手を差し伸べてくれる人」人脈をこのように定義づけている人もいるかもしれません。しかし中里さんは、人脈を「自分が相手に貢献できること(つながりのタネ)で、自分の貢献を喜んで受け取ってくれる相手」(前掲書p15)と定義づけています。

なぜなら助けてくれたり、手を差し伸べてくれたりするのは、相手にとってメリットがあるからです。そのメリットが何なのかといえば、自分が相手に対して貢献できることです。そのため人脈を広げるためには、自分が貢献できる相手を増やす必要があるのです。

一つの会社にしか勤めていなければ、自分が貢献できる相手には自ずと限界があります。内勤であれば、せいぜい関連部署の人間までで人脈は途絶えてしまいますし、比較的人脈が広がりやすい営業職でも取引先という縛りからは逃れられません。

しかしオンラインサロンであれば、住んでいる場所や所属する組織とは無関係に、普段は出会うことのない人たちに対して自分の能力を提供できます。始めはサロンのメンバーが指揮をとるプロジェクトに参加するだけでも、徐々に自分がその中核メンバーになっていけばさらに深い人脈になっていくでしょう。最終的にはサロンの外に出て、全く別のビジネスを一緒に始める人脈に育っていく可能性もあります。

●3. キャリアのユニーク性が高まるから

出版社メディアファクトリーを立ち上げ、リクルート社のフェローや東京都初の民間人校長などを歴任してきた藤原和博さんは、掛け算のキャリアでレアな人材になることが個人の価値を高めると言っています。

1つの分野で1万分の1の人材になろうすると、9,999人の上に立つ必要があります。しかしある分野で100分の1の人材になり、隣り合う別の分野で100分の1の人材になれば、たった198人(99+99)に勝つだけで1万分の1の人材になれるというわけです。この場合の隣り合う分野とは営業とマーケティング、経理と財務などを指します。

こうして営業だけどマーケティングもわかる、経理だけど財務もわかるという人材になっていけば、それだけ人材としてのレア度が上がっていくため、自然と市場価値も高まるというわけです。

会社組織には人事計画などもありますから、隣り合う分野の経験を積もうにもそう簡単に別分野の仕事を担当することはできません。

一方でオンラインサロンなら、プロジェクトの経済的規模も人員的規模も小さいものが多いため、スピード感を持って様々な分野の経験を積むことができます。そうして経験を積めば、もっと大きなオンラインサロンのプロジェクトの担当もできるようになるでしょうし、いざ会社で別分野の仕事を任されたり、ポストが空いたりした時も、自信を持って手を挙げられるでしょう。そうしてキャリアの掛け算が生まれていくことで、自ずと市場価値も高まっていくのです。

「自分に合ったオンラインサロン」の見つけ方

オンラインサロンをうまく活用できれば、個人としての市場価値は高まります。しかしそれは自分に合ったオンラインサロンを見つけられればの話です。

ブロガーで作家のはあちゅうさんの「はあちゅうサロン」や、堀江貴文さんの「堀江貴文イノベーション大学校」、編集者の箕輪厚介さんの「箕輪編集室」など、確かに会員として経験を積めば市場価値の上がりそうなサロンはたくさんあります。

しかし里中さんは著書の中で、「自分にできることは何か」と主催者側視点でサロンに参加できる人は自分自身や人生を変えられるが、受け身で参加している人は何も変えられないと書いています。

すなわち有名なオンラインサロンの会員になったとしても、物怖じしてしまったり、参加するための時間・労力が自分のキャパシティを超えていたりして主催者側視点で参加できないのであれば、何の意味もないということです。

そのためオンラインサロンに参加する際は、自分に合ったサロンはどこかをしっかり見極める必要があるのです。そのためにはまず自分がオンラインサロンに参加して何をしたいかを知らなければなりません。里中さんは、その方法として「HOW・WHO・WHATのステップ」と「スキル・自信・信頼のステップ」の2ステップを紹介しています。

●HOW・WHO・WHATのステップ

HOW:どんな方法でやりたいか?対面か、ネットか?継続か、単発か?
WHO:誰を助けたいか?助けるために必要なスキルは何か?
WHAT:自分が好きなことは何か?それで誰かを喜ばせられるか?

このステップでは自分がやりたいことを探すための自問自答を行います。やりたいことが漠然としていればしているほど、オンラインサロン選びでも苦労することになります。なるべく失敗したくないという人は、この段階で3つの問いかけに対してできるだけ具体的な回答を用意するようにしましょう。

●スキル・自信・信頼のステップ

スキル:やりたいことを実現する能力が自分にあるか?
自信:やりたいことを実現する実績が自分にあるか?
信頼:やりたいことに対する他人からの信頼が自分にあるか?

やりたいことが固まったら、次はそれを実現するために何が必要かを考える段階に入ります。もし現時点でスキルが足りないようなら、自分がスキルを磨けるようなカリキュラムのあるオンラインサロンに参加して、仲間と一緒に学ぶ必要があります。あるいは自信が足りないようなら、スキルを活かして実績を積めるようなオンラインサロンに参加します。

信頼が足りない場合は「人としての信頼」が足りないのか、「プロとしての信頼」が足りないのかを考える必要があります。前者であればオンラインサロンの中でコミュニケーションを深め、人として好かれる努力をしなければなりません。後者であれば過去の実績を公開したり、サロン内で実績を残したりして、プロとしての能力を可視化していきます。

●トライアンドエラーができるのもオンラインサロンの魅力

ここまでいわばオンラインサロン選びに失敗しないための方法を紹介してきましたが、オンラインサロンの魅力の一つは比較的気軽にトライアンドエラーができるという点です。

転職するとなれば給料が下がったり、住む場所が変わったりしますが、オンラインサロンにはそういった問題がありません。そのため常識の範囲内でなら深く考えずに参加してみて、合わないと感じたら退会するというやり方もOKなのです。

大切なのはまず始めてみることですから、くれぐれもオンラインサロン選びで悩みすぎた結果、そもそもオンラインサロンへの入会を諦めてしまうことのないようにしましょう。

「キャリアアップのためのオンラインサロン」という視点

趣味を深めたい人や、一緒にスポーツを楽しむ人を見つけたい人、美容やトレーニングの情報が欲しい人など、オンラインサロンに参加する人には様々な目的があります。

しかし個人の市場価値が物を言う時代において、「キャリアアップのためのオンラインサロン」という視点もあってしかるべきでしょう。市場価値を高める方法として転職や副業といった選択肢を選べない人は、オンラインサロンという選択肢を一度検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献『副業・人脈・好きなこと 人生が変わる「オンラインサロン」超活用術』
Career Supli
オンラインサロンでの出会いや学びはあなたの財産になります。ぜひ参加してみてくさい。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部