『禅的ルーティン』が毎日を充実させる!もっとシンプルに生きるための6つのポイント

「習慣」がその人を作る

禅宗である曹洞宗の徳雄山建功寺住職・枡野俊明さんいわく、禅の基本は行動をすべてルーティン化し、頭で考えるのではなく体が自然に動く状態を作り出すことです。ルーティン化すれば余計なことを考えないため、生活がよりシンプルになります。

シンプルになれば毎日を丁寧に生きられるので、生活が充実してくるのです。ここでは生活をシンプルにするための「禅的ルーティン」を身につけるための6つのポイントを解説します。

ルーティンとは自分の定点観測

毎日欠かさず全く同じことをしていると、自分の心身のかすかな変化にも敏感に気づくことができます。禅僧である枡野さんは毎朝お経をあげるたびに自分のその日の体調がわかるのだそうです。

普通のサラリーマンでも毎朝全く同じコーヒーを飲んでいて、日によって苦く感じたり、美味しく感じたりする時があるはずです。

例えば前日お酒を飲みすぎたとか、よく眠れただとか、様々な要因で感じる味は変わります。また苦く感じた日は仕事でミスが多かった、美味しく感じた日は仕事がうまくいった、など1日の体調にも影響が出てきます。

生活にルーティンを作り、そうした定点観測を続けることで、自分のコンディションを把握することができるのです。

「お酒を飲む」などの健康を害するようなルーティンはNGですが、「起きてすぐ水を飲む」「帰宅後は筋トレをする」など良いルーティンを生活にぜひ取り入れてみましょう。

一食一食を丁寧に食べる

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禅宗では修行中、食事の前に必ず「五観の偈(ごかんのげ)」という文言を唱えます。5つの文章で構成されるこの文言は、すべて自分に命を捧げてくれる食べ物に対する感謝するためのものです。

禅にはお茶を飲むときはお茶を飲むことだけに、食事をするときは食事をすることだけに一所懸命になれという意味の「喫茶喫飯(きっさきっぱん)」という言葉もあります。

目の前の食事に感謝し、一食一食を丁寧に食べる。これが禅の基本中の基本です。一方私たちの食事はどうでしょうか。

テレビやスマホを見ながら食事をとったり、居酒屋でなんとなく注文した料理を残したり、「喫茶喫飯」や「食事への感謝」とは程遠い食事をしています。

禅的な食事習慣が身につくと、毎食を大切にするようになります。1日3回食事をとれば、それだけの回数充実した時間を過ごせるのです。

「一人で何かする」を習慣にする

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禅僧における最も理想的な生き方は、大自然の中たった一人で過ごす隠遁生活です。自分の生活一切を一人でする、その孤独こそが人生の最大の贅沢なのです。確かにSNSなどが発達し、人とつながることが当たり前の現代で完全に孤独になるのは難しいかもしれません。

しかしだからといって人とのつながりが過剰になれば、自分を見つめ直す時間がなくなり、「イイね!」や「like」などの数に惑わされるだけです。

人とのつながりに惑わされないためには、孤独になる必要があるのです。「夜9時以降はインターネットにつながらない」「毎週1回は電波の届かない山に登る」などのルーティンを身につければ「一人で何かする」習慣が身につき、毎日を充実させることができるでしょう。

他人の期待ではなく、「自分の期待」に応える

インターネットにつながったりしなくとも「他人の期待」に惑わされて生きている人は、人生をシンプルにすることができません。他人の期待は相手によって違うため、応えるためには自分の言動をその都度変えなければならないからです。これでは人生は複雑化する一方です。

枡野さんは「自分の評価なんて、他人にお任せしてしまえばいい」と言います。私たちが他人の期待に応えようとするとき、それは自分の評価を自分でなんとかしようとしているときなのです。

これを防ぐためには「自分の期待」に応えるルーティンを身につける必要があります。

慎重に他人の期待を排除し、「自分がなりたいと思う自分」や「自分がやりたいと思うこと」を明確にしておく。禅の世界ではこれを「露の自分でいること」と言います。

「最後にプラスの言葉を使う」を習慣化する

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禅には「愛語」と「同事」という言葉があります。愛語は相手を思いやり、慈しみを持った言葉を使いなさいということです。「事」とは礼儀作法、立ち居振る舞いのことで、同事とは相手の立場で礼を尽くし、振る舞うということです。

いくら「他人の期待に振り回されるな」といっても、生きるうえで人間関係の問題はどうしてもついて回ります。この問題をできるだけ円滑に解決するための禅的な考え方が、愛語と同事なのです。

確かにこの2つの考え方を徹底するのは難しいかもしれません。しかし例えば「最後にプラスの言葉を使う」という習慣をつけるだけでもいいのです。

精神科医であり、エッセイストでもあった斎藤茂太さんは「言葉はかけ算に似ている。最後にマイナスをかけたら、答えはマイナスになる」と書いています。まずは最後の言葉をプラスにすること、それから始めみましょう。

「〜でもいいじゃないか」を思考のルーティンにする

生きていれば何かと感情が揺さぶられるものですが、この振れ幅が大きくなりすぎると感情に振り回され、無駄に心身を疲弊させることになります。感情の揺さぶりは大なり小なり「〜でなければならない」「〜であるはずだ」という思い込みによって発生します。

「このやり方で処理されるべき」と思っている仕事を、部下が全く違うやり方で処理していれば怒りが湧き上がり、「自分は異性にモテるはずがない」という思い込みをしていて、合コンなどでチヤホヤされれば必要以上に舞い上がる。ポジティブな感情もネガティブな感情も、思い込みが原因なのです。

ポジティブな感情も度が過ぎれば周りに迷惑をかけたり、「はしゃぎすぎて疲れた」状態を招きます。感情の振れ幅をできるだけ小さくし、平常心を保つことが安定したパフォーマンスを発揮するために重要なのです。

このために身につけたいのが「〜でもいいじゃないか」という考え方。「そういう仕事の仕方があってもいいじゃないか」「自分がモテてもいいじゃないか」と考えることで、感情への揺さぶりを最小限に抑えられるのです。

同じ習慣は、同じ結果を生む

習慣が人を作るのだとすると、悪い習慣を続けていれば悪い結果=人しか生まれないことになります。逆に言えば良い結果を生む習慣を身につければ、あとは頭で考えなくても良い結果=人しか生まれないのです。

「禅即行動」という言葉の通り、禅では何よりもまず行動することを重んじています。つべこべ言わずにまず習慣を変えるために行動すること。それこそが毎日を充実させるために必要不可欠です。その第一歩として、ここで挙げたルーティンを生活にぜひ取り入れてみてください。

参考文献『考える前に動く習慣』
Career Supli
日常のルーティンを見直すことは幸せへの一番の近道かもしれません。ぜひ試してみてください。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部