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人間関係がうまくいかない理由はこれだ!
「思うように人脈が広げられない」
「職場やプライベートでの人間関係がうまくいかない」
もしかするとその原因は、自分が相手を「メリットになる人脈」「仕事上しかたなく付き合っている人」と考えていることにあるかもしれません。なぜなら人間関係というものは、相手のことを好きになれていないと、うまくいかないものだからです。
「そんな誰も彼も好きになんてなれない」と思う人もいるでしょう。確かに100%の人を好きになるのは難しいですが、90%、80%の人であれば工夫次第で好きになることは十分可能です。
ここでは「相手のことを好きになる」と「人間関係がうまくいかない」の関係性を説明するとともに、うまく人を好きになるための方法を3つ紹介します。
相手を好きになれば、全部うまくいく

たいていの人間関係の問題は、自分が相手を好きになることで解決できます。相手のことを好きになれば、まず相手についてもっと知りたくなります。興味が湧きますし、相手への質問にも熱が入るでしょう。
また、相手のことをよく見るようになり、何を考えているのか、どんなことで喜ぶのかといったことにも関心を持つようになります。
人間には「返報性」という、相手から何かを与えられるとお礼として相手にお返しをしたいと考える、心理的性質が備わっています。
つまり興味を持ってもらったり、話を聞いてもらったり、「好き」という気持ちを態度で伝えられたりすると、自分も同じように振舞おうとするのです。「好かれたから、好きになる」わけです。
恋愛関係でなくとも、お互いに好意を抱く者同士の人間関係が、うまくいかないはずがありません。だから相手を好きになれば、全部うまくいくのです。
「人を好きになる」ための3つの方法
そうは言っても「好きになるのが難しい人だってたくさんいる」というのが本音でしょう。しかしそれはもしかすると、好きになるための工夫が足りないだけかもしれません。
接し方や自分との関係性の見方を変えるだけで、好きになれる可能性が十分あるからです。
以下ではそのための方法を3つ紹介していきましょう。
相手の「好きなところ」と付き合う
ライフネット生命の創業者である出口治明氏は「人間ちょぼちょぼ主義」、すなわち人間なんてものは大したものではなく、誰しもがとくに賢くもなく、とくにアホでもない、「ちょぼちょぼ」であるという考えに基づいて生きていると、著書『僕が大切にしてきた仕事の超基本50』をはじめインタビューなどでも、繰り返しおっしゃっています。
これは人の「好きなところ」と「嫌いなところ」にも言えます。好きなところしかない人もいなければ、嫌いなところしかないという人もいません。今自分が「苦手だな」と思っている人にも、ちゃんと好きになれるところはあるものです。
そして相手の好きになれそうなところを見つけたら、できるだけその部分と付き合うようにします。そうすれば、相手の良いところに意識が向くようになるので、とくに努力をしなくても好きになっていけるはずです。
たとえばいつもしかめっ面ばかりしていて苦手な上司も、自分の子どもやペットの話をしているときはものすごく優しい顔で話す人で、「ずっとこの顔でいてくれたら好きになれるのに」と思ったとしましょう。
それならば、朝の挨拶のタイミングや昼休みなどの雑談のときには、積極的に上司の子どもやペットの話を聞くようにするのです。すると上司のイメージが「いつも怖い顔をしている」から「普段は子供やペットが大好きな優しい人」に変わっていきます。
すると仮に仕事のときにカリカリしていても「まあ仕方ないか」くらいに思えるようになります。これはもう、十分相手のことを好きになれていると言えるでしょう。
相手を好きになれれば、それまでツンケンいたり、ビクビクしたりしていた相手への態度も変わってきます。
その頃には相手のこちらへのイメージや態度もポジティブな方向に変わり始めているでしょう。そうなれば、もう二人の人間関係は、十分円滑になっているはずです。
「自分のことも好きになってほしい」を捨てる

相手に興味を持って、相手のことを知りたいとか、相手が喜ぶことをしてあげたいと思うようになると、つい「自分のことも好きになってほしい」「自分のことを顧みてほしい」と思うようになりがちです。
もちろん人から嫌われたくない、できれば好きになってほしいと思うのは自然な感情です。しかし人間関係を円滑にするという目的を実現するためには、その感情をいったん捨てる方が良いでしょう。
好かれたら好きな気持ちをお返ししなければならないという決まりはどこにもなく、「自分が相手のことを好きだから、自分のことも好きになってほしい」というのは、勝手な期待以外の何物でもないからです。
「この人とのつながりはお金になる」とか「この人に気に入られれば楽ができる」といったものも含め、相手に何かを期待する打算的な態度は、想像以上に気づかれやすいものです。
打算を考慮に入れても気持ちよく付き合ってくれる懐も深い人もいますが、そんな人は少数派。たいていの人は打算的な態度が見えると、敬遠したり、警戒したりします。そうなれば、それ以上人間関係が発展することはありません。
したがって「自分のことも好きになってほしい」という勝手な期待はいったん捨てた方がいいのです。
「嫌われるかもしれない」
「無視されるかもしれない」
「気持ちに応えてもらえないかもしれない」
こういった不安が原因で相手のことを好きになれないのだとしたら、それは単に自分で自分可愛がっているだけです。確かに自分は守れるかもしれませんが、殻に閉じこもっていては人間関係を広げたり、深めたりすることはできません。
打算は捨てて、「相手のことを知りたい」「相手に喜んでほしい」というシンプルな気持ちを言動に出すようにしましょう。
「映画的視点」で自分と相手を見る
ここまでの2つの方法でも好きになるのが難しそうな相手の場合は、もう少しドライな方法が適しているかもしれません。それが「映画的視点」を相手との関係に持ち込むやり方です。
ハッピーエンドの映画というのは、登場人物にしろ、エピソードにしろ、すべてその結末に向かうための伏線になります。主人公の夢に反対していた両親も、嫌がらせをしてきた恋敵も、反目し合っていたライバル会社の社長も、すべてハッピーエンドのための演出です。
現実の人間関係をこれと同じように考えられるようになれば、苦手な人や相手の気に入らない部分も、全てはハッピーエンドに向かうための演出だと思えるようになります。
例えば何かと自分の仕事のやり方にケチをつける上司がいたとしましょう。この上司を自分の目から見ている限りは、目の上のたんこぶにしか思えません。
しかしここで視点を映画のカメラに移し、「主人公(自分)の仕事が成果につながり、しぶしぶではあるものの嫌味な上司も主人公を認めるようになる」というハッピーエンドを設定してみます。
すると上司のダメ出しはすべて物語を盛り上げるための伏線でしかなくなり、「盛り上げてくれてありがとう。ここからは主人公である自分の見せ場だ」と考えられるようになります。
あるいは転職先の先輩社員で、初対面にも関わらずキツい物言いをする人がいたとしたら、「こういう登場人物にかぎって、あとから主人公と仲良くなるんだよなあ」と考えてみれば、こちらから相手を嫌うことはなくなります。
攻撃的な態度は出さないものの、なかなか本心を見せてくれない同僚や後輩に対しては、「こういう登場人物が、主人公の地道なコミュニケーションや誠実な言動にちょっとずつ心を許していくと、映画の後半が一気に面白くなるよな」と考えてみてもいいでしょう。
こうやって主観的に相手との関係を見るのではなく、カメラの視点から冷静に見ることができれば、相手を「登場人物として」好きになれるのです。
人を好きになれば、自分も好きになる

「人を好きになるためには、まず自分を好きになりなさい」とはよく言われる言葉ですが、日本人は若年層を中心として基本的に自己肯定感が低い傾向にあります。
それならば一旦自分を好きになろうとするのは置いておいて、人を好きになることから始めてみてはいかがでしょうか。
なぜなら「自分を好きになれば、人も好きになる」が真であるように、「人を好きになれば、自分も好きになる」もまた真だから。人を好きになれば、人から好かれることも増えます。
そうして人に好かれている自分になって、自分で自分を肯定しやすくなるのは、自然な流れでしょう。
自分を肯定できるようになれば、今よりもっと楽に人を好きになれますから、相乗効果でさらに自分のことも好きになれるはず。まさに正のループです。
もし人間関係での悩みを抱えているのなら、まずは目の前の相手を好きになるためにここで紹介した方法を試してみてください。きっと今の何倍も、人間関係が円滑になるはずです。
