読書が苦手な人でも大丈夫!今度こそ読書習慣が身につく方法

「本を読まなきゃいけないのはわかっているけど、読む余裕がない」という悩みを抱えているビジネスパーソンは多いはず。

しかしこの悩み、そもそも「読書」へのイメージが問題かもしれません。というのも、「精読」「黙読」「一冊を読み続ける」「まとまった時間をとって読む」などのよくある読書のイメージは、あくまで読み方の1つにすぎないからです。

筆者はフリーライターという仕事柄、ビジネス書を読む機会が多いのですが、それだけではどうしても知見が偏ってしまいます。

そのため学術本や小説、ノンフィクションも読んでおきたいわけです。しかし幸か不幸か仕事が忙しく、前述のような読書をする余裕がありません。

そこでさまざまな読書方法を試行錯誤した結果、「これなら読書を習慣にできる」という方法を4つ見つけました。一般的な読書のイメージとは違ってどれも「ゆるい」ので、これまで読書を習慣づけようとして何度も挫折してきたという人は、ぜひ参考にしてください。

「15分1セット」の読書を積み重ねる

忙しいビジネスパーソンの最大の問題は「読書のためのまとまった時間がとれないこと」。しかしそれならまとまった時間を確保しようとするのをやめて、細切れの時間を活用すればいいのです。

しかし「電車の移動中」や「家事の合間に」といった漠然とした時間のとり方はおすすめしません。もちろんそれでも読み進めることはできますが、何か別のことが頭にある状態で読書をしても、内容がほとんど頭に入らないからです。

そこでおすすめしたいのが「15分1セット」の時間設定です。朝起きたとき、昼休み、夜寝る前などタイミングはいつでもかまいません。そのかわり、15分1セットの間は読書以外のことは何もしないようにするのです。確かに15分で読み切れるページ数には限りがありますが、その数ページの内容はしっかりと頭に入ってくるはずです。

スマホなどで15分のタイマーを設定すると、意外なほど集中できるので「長い時間読もうとすると、なぜかすぐに眠くなる」「長時間集中できない」という人にも効果的です(筆者が立証済みです)。

・15分を過ぎてしまったけど、キリのいいところまで読んじゃおう。
・まだ15分経ってないけど、キリのいいところで終わっておこう。

こういった微調整をしてもまったく問題なし。「ゆるい」読書習慣なので、そこまで厳密に決めてやる必要はありません。

15分で物足りなければもう1セットやってもかまいませんし、余裕が出てきたら「朝・昼・晩の3セット」を組んでもかまいません。

15分で学んだことだけをプラス5分で振り返る

1冊の本を長期間にわたって読み続けていると、どうしても最初の内容を忘れてしまいますよね。ノートをとれば覚えておけるかもしれませんが、ただでさえ時間がないのにそんなことをやっている余裕はありません。

それならば、いっそ開き直って「忘れてもいいや」と考えるようにしましょう。1冊の本からあまり多くを得ようとせず、「何か1つでも勉強になればいい」程度に考えれば、読書は一気に楽になります。

だからといって、ただ字面を追うだけでは本当に何1つ勉強せずに読み終わってしまいます。そこでおすすめしたいのが、「15分1セット」にプラス5分を足して、読んだ内容を振り返るという方法です。

振り返る方法はどんなものでもかまいません。できる人は要約してもいいでしょうし、それが難しければ気になる単語に線を引いたり、面白かったページに付箋を貼ったりするだけでもOKです。筆者は気になる単語や内容をスマホにメモしておいて、電車待ちや信号待ちの時間などにネットで調べたり、「なぜ気になったんだろう」とぼんやり考えたりしています。

このプラス5分の復習を続けていくと、意外なほど次読むときに前回読んだ内容を覚えていることに気づきます。もちろん読み進めていくにつれ忘れていくことも増えますが、本のなかで繰り返し語られる内容は不思議と覚えているものです。それだけでも十分読書をする価値はあるのではないでしょうか。

3〜4冊の本を細切れに読んで「飽き」を防止する

小難しい本の場合は特に、1冊の本をずっと読み続けるのは苦痛です。なぜなら内容がわからないからです。昨日読んだところも理解できないし、今日読んだところも理解できない。そんなことが続けば「やっぱり読書を習慣にするなんて、俺には無理だな」と思ってしまってもしかたありません。

しかし1冊の本を読み続けるのが難しいなら、いろんな本をちょっとずつ読み進めればいいのです。たとえば筆者は今、『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』『恋文の技術』『幻獣ムベンベを追え』の4冊を並行して読んでいます。

『サピエンス全史』は文化人類学の本で、『人体600万年史』は進化学の本、『恋文の技術』は森見登美彦氏の書簡体小説で、『幻獣ムベンベ』はノンフィクションライター高野秀行氏がコンゴにいるとされた「ムベンベ」を探しに行ったときのルポ本です。

『サピエンス全史』と『人体600万年史』は近い分野の本なので、必ずリンクする内容が見つかりますし、『恋文の技術』や『幻獣ムベンベ』も一見無関係に見えて、意外なところで他の本と関連する内容に出くわすとがあります。

もちろんすべて「15分1セット」の原則にしたがって読んでいるので、読み進むスピードはとても遅いですし、内容も断片的にしか覚えていません。それでもなんとなく知識と知識がつながってくるので勉強になりますし、読書も楽しく続けられます。

眉間にしわを寄せて読むばかりが読書ではありません。まだ楽しいと思えるうちに、「もう飽きた」と思わないうちに、別の本に移ってしまえばいいのです。

黙読・音読・筆写を組み合わせて読む

「黙読をしていると眠くなる」という人におすすめしたいのが、黙読以外に音読や筆写を取り入れる方法です。筆者は『サピエンス全史』と『恋文の技術』を音読し、『人類600万年史』を黙読し、『幻獣ムベンベ』を筆写して読んでいます。

3つの読み方のなかではやはり黙読が一番眠気を誘います。しかし『人類600万年史』は書きぶりが面白いので、そこまで眠くならずに読み進められています。なので、黙読をする本を選ぶ際は、自分がエキサイトして読める本にするようにしましょう。

音読は「情報としてはインプットしたいけど、内容が少し難しい」という本におすすめです。声に出して読むためにしっかり字を追うだけでなく、口や耳も使って読むので、よりインプットしやすいというメリットがあるからです。また小説の場合も、感情を込めて読めば登場人物の心情理解がより深まります。

筆写は文章力を磨きたいという人におすすめの方法なので、「この文章を書けるようになりたいな」と思う著者の本を選ぶといいでしょう。

毎日続けていれば、ただ書き写しているだけでも、言葉の選び方や運び方、接続詞の使い方や論理の組み立て方などが少しずつ自分のものになっていきます。

黙読・音読と比べると時間はかかりますが、気長に続けてみましょう。もちろん書いていて「先が気になるな……」と思ったら、黙読や音読に切り替えてしまっても問題なしです。ゆるく、楽しく、とにかく続けることが大切です。

読まないより100倍マシ

まったく考えていなくても行動に移す人は、多少深く考えていても行動に移さない人より、大きな成果を手に入れることができます。これはダイエットでも、筋トレでも、ビジネスでも、そして読書でも同じです。

ここで紹介したような本の読み方をしていると「そんな読み方じゃ身にならないぞ」と言われることもあるかもしれません。しかしそれを真に受けて、「15分1セット」さえやめてしまったら、その15分に学べるはずのことも学べません。

それならば、少しでも読んだほうが読まないより何倍もマシです。内容をしっかり説明できなくても、細切れでしか読めていなくてもかまわないのです。まずは15分1セット(難しければ10分1セットでもOK)から始めてみてはどうでしょうか。

Career Supli
1冊の本で、腹落ちする1行が見つけられたら、読んだ価値があると思います!気楽に楽しみましょう。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部