Contents
あなたのポジティブ思考は「ホンモノ」ですか?
「ネガティブになっちゃダメだ。もっとポジティブにいこう!」ここまで露骨でなくとも、よく似た発言をしたり、されたことがある人は多いはずです。しかしこうした「ネガティブ=ダメ、ポジティブ=正しい」という考え方は実はニセモノのポジティブ思考だということをご存知でしょうか。
ここでは茂木健一郎さんの著書『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」の使い方』を参考に、ホンモノのポジティブ(ホンモノ・ポジティブ)とニセモノのポジティブ(ニセモノ・ポジティブ)の違いを明確にし、ホンモノ・ポジティブを身につける方法を提案します。
こちらの記事もおすすめ
自信がない人が自信をつけるための15の方法
「辛いけど前向きに頑張ろう!」はニセモノ・ポジティブ
茂木さんがニセモノ・ポジティブの典型として挙げるのは次のような言動です。
・根性論が好き
・評論家的な言動
・口ぐせに「たら」「れば」が多い
・いうことのスケールが、とにかく大きい
・結局、行動に移せていない
・「他人の評価」がとにかく大切!
・良い・悪い・高い・低いなど、「世間の基準」で判断する引用:『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」の使い方』
日本で「ポジティブ思考」というとき、そこには根性論が見え隠れします。「ネガティブになったってしょうがない!前向き!前向き!」といった具合です。しかしポジティブ思考について科学的に分析するアメリカ発の「ポジティブ心理学」において、このような考え方は間違いとされています。
ポジティブ心理学によればポジティブ思考とネガティブ思考は表裏一体のもので、どちらがダメでどちらが正しいというものではありません。
むしろ人間の脳は「ネガティブになっちゃダメだ」と否定すればするほど、よりネガティブになってしまうという性質があります。結果として「たら」「れば」という行動しない理由を並べたり、「他人の評価」「世間の基準」を言い訳にしたりするというわけです。
大切なのはネガティブを押さえ込んでニセモノ・ポジティブでいるのではなく、ネガティブを受け入れて分解することです。自分は今落ち込んでいる、怒っている、妬んでいる……そうした感情を客観的に認識し(メタ認知)、その感情の大元を冷静に分析する。
そして行動に移す。「ポジティブな人=熱血系」というイメージからは遠いかもしれませんが、これがホンモノ・ポジティブなのです。
ホンモノ・ポジティブは「発想の転換」で身につける

ではホンモノ・ポジティブを身につけるためには具体的に何をすれば良いのでしょうか。そのカギとなるのは「発想の転換」です。以下ではネガティブをポジティブに反転させる3つの方法を紹介します。
●弱点を長所として捉える。
自分では「自分のこういうところが嫌だ」と思っていたことが、別の視点から見るとこの上ない長所になるケースはたくさんあります。日本ではお世辞にも美人とは言い難い女性が、海外に行くと途端にイケメンからモテまくるという話はこのことを端的に示しています。
逆に自分が長所だと思っていたところが弱点になる場合もあります。結局のところ、どのように捉えるかで見え方は変わってくるということです。
●常識を覆したケースに触れる。
違った視点から自分や物事を見る力をつけるには、常識を覆したケースに触れるのが一番です。
アトランタ五輪のメダリストである有森裕子さんが活躍する前、実は日本では「女子にマラソンは無理」という説がまかり通っていました。
しかも有森さんはマラソンでは不利とされるほど体に柔軟性がなく、あぐらもかけないほどだったのです。しかし彼女は「足が硬いということは、逆に言えば故障しにくいということ」と弱点を長所として捉えて、メダリストにまで上り詰めました。
こうしたケースに触れれば触れるほど、自分の中の常識が単なる思い込みにすぎないという自覚ができるようになっていきます。自分の中の常識を覆す方法としてキャリアサプリでは「柔軟な発想力を手に入れろ!頭のネジを一瞬で外す5つの方法」を紹介しているので、こちらもぜひ参照してください。
こちらの記事もおすすめ
能力開発に興味がある人にオススメ!2017年の良書ベスト10
●世間と自分との「ズレ」をチャンスにする。
「なんだか周りと自分が違う気がする」と思うと、日本人はそれを押さえ込んで周りと同化しようとします。しかしこれではホンモノ・ポジティブは身につきません。そのズレを自分の中で肯定し、個性として大切にすることがホンモノ・ポジティブには重要です。
例えばそれが人生の伴侶を見つけるきっかけになるかもしれませんし、今の会社を飛び出して個性を生かした仕事に就くチャンスになるかもしれません。ニセモノ・ポジティブで自分を押し殺していると、こうしたチャンスもみすみす逃してしまうのです。
ネガティブはロジカルでぶち破る

ここまでの内容を読まれた人の中には「なんだ、結局理屈をこね回しているだけじゃないか」と思った人もいるかもしれません。しかし自分の中のネガティブな思考や感情の大半は、理屈=ロジカルで突き崩すことができるのもまた事実です。
例えばある政党の支持率が5%だったとします。この政党が政権を獲得しようという時に「たった5%しかないんじゃ無理だ」と考えるのか、「まだ95%も自分たちを支持する可能性のある人たちがいるんだ」と捉えるのかは、論理の問題です。
ホンモノ・ポジティブな人はもちろん後者の捉え方をします。そしてそのあと「どうすれば支持率を上げられるのか」という具体的な行動に移るでしょう。
一方ネガティブな人は「どうせ無理だよ」と言い、ニセモノ・ポジティブな人は「わが政党には抜本的な改革が必要だ」などと評論家のようなことだけ言って行動に移しません。どちらが人生を豊かにするかは、火を見るよりも明らかです。
ホンモノ・ポジティブは人生を楽しくしてくれる
何も考えずにただただ「ポジティブ思考が大事!」と叫び続けるだけのニセモノ・ポジティブは、自分のネガティブな感情をエスカレートさせ、ストレスを増大させます。
一方で、論理的に自分の感情や物事を捉え、ネガティブな状況をどのように打開するかを考えるホンモノ・ポジティブは自分の個性を肯定したり、弱点を長所と捉えることができるので、人生を楽しくしてくれます。一刻も早くホンモノ・ポジティブを身につけて、不要なストレスから抜け出しましょう。
参考文献『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」の使い方』
