終戦70周年、太平洋戦争を学び直すのに役立つ本15選

今だからこそ知っておこう

2015年8月15日は、太平洋戦争が終戦を迎えてからちょうど70年になる日です。当時の状況を知る人たちが少なくなり、日本という国として「戦争の記憶」が薄れつつある今だからこそ、もう一度あの戦争について知っておく必要があるのではないでしょうか。

ここでは様々な視点から太平洋戦争を知るために読んでおきたい本を、15冊に厳選しました。1冊ではなく、ぜひ2冊3冊と読んで、自分なりの戦争観の糧としてください。

1. 決定版 日本のいちばん長い日

著者:半藤一利

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4167483157/ref=cm_sw_r_tw_dp_znFUvb011PF57

終戦が天皇によって宣言された昭和20年8月15日の正午から、24時間のうちに起きた出来事を、詳細な資料を基にして再現したノンフィクション。日本人全てがラジオの前で泣き伏したかのように習った「8月15日」とは違い、あがき、苦しみ、散っていった「戦争継続派」にも焦点を当てており、「国を守る」とはなんなのかを改めて考え直したくなります。

2. それでも、日本人は「戦争」を選んだ

著者:加藤陽子

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4255004854/ref=cm_sw_r_tw_dp_mpFUvb05P0FH6

著者が高校生に向かって語った、「日本人がなぜ「もう戦争しかない」と思ったのか?」をテーマに授業をした際の記録。新資料を含む、詳細な資料やデータを用いて政治経済的な状況から推測できる当時の日本人の思考を説明しています。

3. 太平洋戦争  上下巻 中公新書

著者:児島襄

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4121000846/ref=cm_sw_r_tw_dp_hrFUvb0PMSVB6

現版が1974年と40年以上も前の本でありながら太平洋戦争を知るにあたっては必読本の一つと言える名著。極力主観的な表現を交えることを避け、徹底して客観的事実の羅列に努めているため、まずは基礎的な情報を手に入れたいという人にオススメの本です。ただしその反面劇的な展開などは期待できないため、ドラマ的な面白さを求める人には向いていないとも言えます。

4. 日本の戦争―なぜ、戦いに踏み切ったか?

著者:田原総一郎

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4093892415/ref=cm_sw_r_tw_dp_QsFUvb0TQEW89

「情けない戦争はこうして始まり、情けない結果にまっしぐらに突入していった」。著者が本来の「ジャーナリスト」という仕事に徹し、太平洋戦争周辺の出来事を詳細な資料から当時の社会的・政治的な状況を常識を覆す形で捉え直していきます。「富国強兵」や「八紘一宇」など当時の日本のスローガンがどのように形を変えて日本人に受容されていくのかについての部分は、読み物としても面白く読めます。

5. よし、戦争について話をしよう。戦争の本質について話をしようじゃないか (オリバー・ストーンが語る日米史の真実)

著者:オリバー・ストーン、ピーター・カズニック、乗松聡子

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4906605966/ref=cm_sw_r_tw_dp_suFUvb1QN2V95

ベトナム戦争を描いた映画『プラトゥーン』の脚本・監督を務めたアメリカの映画人であるオリバー・ストーンが中心となって語る太平洋戦争や原爆についての視点について記された本。「広島編 なぜ原爆が落とされたのか」「長崎編 自分たちの歴史を知らない日本人」など日本人の本ではあまりない視点から、あの戦争を捉え直すことができる1冊となっています。

6. 秘録 東京裁判 (中公文庫BIBLIO20世紀)

著者:清瀬一郎

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4122040620/ref=cm_sw_r_tw_dp_JvFUvb0F309EN

東条英機の主任弁護士を務めた著者によって暴かれる、極東国際軍事裁判=東京裁判における米国による日本への不当な扱いを綴ったドキュメント。東京裁判はあたかもアメリカという「文明」が日本という「野蛮」を正義の名の下にさばいた事件として扱われていますが、それが本当にそうだったのかという視点を得るにはもってこいの1冊です。

7. 日本占領史1945-1952 – 東京・ワシントン・沖縄

著者:福永文夫

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4121022963/ref=cm_sw_r_tw_dp_8wFUvb17A02ZG

1945年の終戦から7年にわたって続いたGHQの占領体制、日本国憲法、日米安保体制など現在に渡るまで続く「戦後体制」の形成の歴史を追った本です。対共産主義国との戦いの中でアメリカが日本に対して行った「反共親米」政策の模様を、冷静な筆致で描いています。その良し悪しは別として、知っておかなくてはいけない史実を知ることができる1冊。

8. 大東亜戦争を知らない日本人へ

著者:田母神俊雄

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/484709364X/ref=cm_sw_r_tw_dp_VyFUvb03XD1CA

元航空幕僚長の著者が描く、「大東亜戦争」の真実を訴えた1冊。「大東亜戦争の知られざる真実20」「世界の偉人はあの戦争をどう評価したのか」「教科書に載っていない5人の軍人」といった章立てで、著者があの戦争の意義を問い直しています。このような意見を持っている人もいるのだと再認識できる本になっています。

9. 戦争中の暮しの記録―保存版

著者:暮しの手帖編集部

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4766001036/ref=cm_sw_r_tw_dp_bAFUvb1H0ZE9Y

雑誌『暮しの手帖』が1968年に特集した「戦争中の暮しの記録」を書籍化したもので、出版社に寄せられた素人の読者たちの原稿を、なるべくそのまま使うことで生々しい「戦争中の暮し」を活写した1冊です。他の本では知ることのできない、戦争を生きた庶民の生活が庶民の声で書かれた貴重な本。

10. きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記ー

著者:日本戦没学生記念会

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4003315715/ref=cm_sw_r_tw_dp_IBFUvb096D16Z

言わずと知れた学徒兵たちの手記を編纂・収録した1949年初版の古典。祖国を愛しながら気丈にも戦った兵士、あるいは戦争に心から悲しみと憎しみを持ち、戸惑いながら死地に向かった兵士……様々な学徒兵たちの思いに胸が切り裂かれそうになります。しかしそれでも目をそらしてはいけない、必読の書。「『きけわだつみのこえ』の戦後史」を併せて読めば、戦争とは何か、戦後とは何かを再考するのにもってこいです。

11. モリソンの太平洋海戦史

著者:サミュエル・エリオット・モリソン

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4769810989/ref=cm_sw_r_tw_dp_POFUvb0WRHX2K

米国の歴史家・海軍少将である著者が冷静な筆致で、アメリカ側から見た太平洋戦争を概観した本。太平洋戦争という戦争全体をアメリカから見るとどうなるのか、を知りたい人にオススメです。個々の海戦などの細かな分析や解説について知りたい場合は、『太平洋戦争アメリカ海軍作戦史』シリーズを読みましょう。

12. アメリカの中のヒロシマ  上下巻

著者R・J・リフトン、G・ミッチェル 訳:大塚 隆

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4000000675/ref=cm_sw_r_tw_dp_2QFUvb0J5T3Q3

ヒロシマ・ナガサキの原爆投下をアメリカ人はどう受容してきたのか?「より多くの犠牲を出さないためにも必要だった」と正当化する意見ばかりが吹聴されますが、実際はどのようにアメリカ人の心は揺れてきたのでしょうか。アメリカにおける「原爆の傷痕」を知るのに最適な1冊。

13. 決定版 東京空襲写真集

監修:早乙女勝元 編:東京大空襲・戦災資料センター

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4585270191/ref=cm_sw_r_tw_dp_GSFUvb1C730BN

1400枚を超える写真を集め、戦争の悲惨さを圧倒的なビジュアルで伝える弁誠出版渾身の1冊。東京空襲の全貌を、原則日付ごとに配列し、その日に何が起きていたのかがわかるようになっています。図表や地図などのデータベースも収録し、理解しやすい工夫もされています。文章だけではわからない生々しさを視覚的に感じられる貴重な本です。

14. トランクの中の日本―米従軍カメラマンの非公式記録

著者;ジョー・オダネル

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4095630132/ref=cm_sw_r_tw_dp_bWFUvb11WDW31

米従軍カメラマンの著者が、長年にわたって隠し通してきた57点の写真を全て収録した写真集。すでに息を引き取った幼子の弟をおぶりながら、涙をこらえて虚空を眺める兄の姿を収めた「焼き場に立つ少年」など、数多くのショッキングな写真を見ることができます。

15. 太平洋戦争の肉声 第3巻―文藝春秋戦後70年企画 特攻と原爆 (文春MOOK)

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画像出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4160086233/ref=cm_sw_r_tw_dp_zXFUvb1205CH8

1923年に設立された文藝春秋だからこそできる、当時の将軍や兵士たちが同誌に寄せた原稿を記録写真とともに集成した「太平洋戦争の肉声」シリーズ第3巻。特攻隊や、レイテ沖海戦、原爆投下など太平洋戦争が絶望へと向かっていく中で現場にいた人々は何を見、何を思ったのかを知るのにこの上ない一冊です。そのほか1巻「開戦百日の栄光」2巻「悲風の大決戦」4巻「テロと陰謀の昭和史」までが刊行されています。

「戦争とは何か」を学び直す

戦争の記録やその是非を問う本などは、はっきり言って読んでいて楽しいものではありません。そこにはたくさんの思惑と悲しみと絶望と、そして死がつきものだからです。

しかしかといっていつまでも見て見ぬ振りをしていていいわけでもありません。終戦70周年の今年こそは、改めて「あの戦争はなんだったのか」「戦争とは何か」を学び直しましょう。

[文・編集] サムライト編集部