銀行に預けたお金の行方
銀行に預けたお金がどこへいっているのか、あなたは知っていますか?環境団体350.org Japanが、ブルームバーグ及びトムソン・ロイター・アイコンが持つ金融データを元に、日本全国にある金融機関197社について、地球温暖化の原因となる化石燃料や、放射能汚染リスクを抱える原子力に関わる企業・事業に融資しているかどうかの調査を行い、見比べ表を作成しました。
こちらの団体では、気候変動に悪影響を及ぼす石炭・石油など化石燃料産業へ投融資している銀行に、ダイベストメント(投資撤退)をするよう求める 「My bank My future」という活動も行っています。
また、消費者に対し、これらの銀行から個人の預金を引き揚げるダイベストメントを行い、その資金を持続可能な社会の実現と発展に貢献している銀行へと移すこともすすめています。
世界的にも、こういったダイベストメント運動が活発化してきています。2015年9月にニューヨーク国連本部にて開催された「国連持続可能な開発サミット」や、12月にパリで開催された「パリ協定気候変動会議(COP21)」などの動きを受け、世界の5兆ドル以上を資産として保有する688もの組織が、ダイベストメントをすると表明しました。

画像出典:http://www.unic.or.jp
各国の取り組みでは、例えばフランスの公的年金基金FRRが、2016年12月にたばこ関連企業、石炭採掘/石炭火力発電事業が売上の20%以上を占める企業、両者の株式と再建を除外する方針を発表しました。また、2017年1月には、ドイツの銀行グループが石炭採掘・石炭火力発電からのダイベストメントを発表するなど、各国で様々な取り組みが始まっています。

※ダイベストメントを発表した国別機関数。残念ながら日本はここに入ってきません。
みなさんは、こちらの統計調査が開始された1891年以降、今がもっとも高い気温を記録してしまっていることをご存知でしょうか?

※世界の平均気温がここ数年で急速に上昇しています。
こういった気候変動は、海水温の上昇を招いたり、世界各地で自然破壊を起こしています。その一つに、オーストラリア・グレートバリアリーフにあるサンゴ礁のなんと93%が白化してしまいました。
また、昨年には、不安定な気候によって中国やパキスタンなどで大洪水が発生し、家が崩壊したり、作物が流されたりなど、人々の生活が追われてしまっている事態も起きています。さらに、干ばつと気温上昇が深刻化するアフリカ東部と南部では、3,600万人の人々が飢えに直面してしまっているのです。(350.org HPより)
日本は世界最大クラスの石炭投資国
石炭はエネルギーの形態として最も環境を汚染し、健康被害も大きいと言われています。日本の現状として、G7の中でもっとも多い石炭事業支援額を払っており、石炭輸入においても、中国に次いで多くの量を輸入してしまっています。そして、2010年から2016年まで、G7諸国の間では、165GWの火力発電所が廃止、67GWが計画停止になったにもかかわらず、日本は30GWの計画を進めているのです。

※未来の子ども達のために、石炭・石油の5分の4は埋蔵したままにしておかなければならないと言う科学者もいます。
日本の大手企業が関わっている石炭採掘場では、周辺の森林を伐採するといった環境破壊とともに、水源を汚染し、現地の人々の健康被害にも影響してしまっています。実は、私たちのお金が回りに回って、遠く離れた国の人々の人権を脅かしてしまっているのです。
”自分ができることはない”。
”私には関係ない”。
本当にそうでしょうか?こういった活動に参加すること、日々の生活の中でできることがあります。
先日都内某所で行われた「エシカル金融」イベントで、鎌倉投信ファンド・マネージャーの新井和宏さんはこう話しています。

※エシカル金融イベントの様子。およそ100人の人が参加しました。
「みなさん何らかの形で金融に関わっていますが、何に使われているか関心をもっている人はほとんどおらず、金利や利益にこだわる人が多いのではないでしょうか。
化石燃料や原発に融資・投資している企業にお金を使うことは、こういったことに加担していることになってしまいます。ですので、何よりも大切なのは、自分のお金に関心を持つこと。みなさんが働いて得たお金は、あなた自身の命です。そう考えたらもっと関心を持てるはず」
これを読んでいるあなたも、自分のお金がどういったところに使われているのか、意識を向けてみてはいかがでしょうか?350.org Japan が展開するmy bank my future キャンペーンについて詳しい情報は公式ウェブサイトをご覧ください。
