大人も読みたい思春期向け自己啓発書「よりみちパン!セ」養老孟司からみうらじゅんまで!

大人も読みたい、思春期のために書かれた自己啓発書

平坦で、仕事に忙しいだけの日々がなんだかつらいような、でもそんなことを考えている暇もないような気がして、結局息をつく間も無い毎日。そんな時には読書をしてみましょう。

小説は面白いものに巡りあえるか不安だし、ビジネス書や自己啓発書も堅苦しくて、疲れた状態では読む気になれない…というビジネスパーソンにオススメなのが、「よりみちパン!セ」シリーズの本です。

「よりみちパン!セ」は、思春期の少年少女向けの自己啓発書や、生きるため、新しい考え方を得るためのヒントになる本として、重松清さんや養老孟司さん、みうらじゅんさんに叶恭子さんなどジャンルを問わない魅力的な執筆陣が書き下ろしたシリーズです。

世の中の分かりづらいことを、十代にも分かるように優しく取り扱っている「よりみちパン!セ」。今回はその数ある中から、大人も読みたい名書を10冊、ご紹介したいと思います。

人生に迷ったら読みたい「よりみちパン!セ」シリーズ10選

1. 15歳から、社長になれる。 ぼくらの時代の起業入門

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著者:家入一真

中学2年から高校3年生まで引きこもりを経験し、その後深夜アルバイトや新聞配達を経て起業した家入一真さん。国内最大手のレンタルサーバー「ロリポップ!」を始め、「ブクログ」「BASE」「CAMPFIRE」など数々の有名サービスを作り上げた起業家です。

会社法の変更で、1円から起業ができる現在では、インターネットを利用すれば少ないリスクで企業を立ち上げることが可能です。

この本には、起業をするに当たっての単なるノウハウだけでなく、若くして独立、起業をした人のインタビューも掲載されています。何かを始めるために必要なエネルギーを呼び起こさせ、ばんっと背中を押してくれる。そんな一冊です。

2. この世でいちばん大事な「カネ」の話

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著者:西原理恵子

なんとなく、「カネ」の話をしすぎることは「下品」とされるような風潮が今の世の中にはあります。お金がなければ生きていけないことは誰もが分かりきっていることなのに、どうして皆、お金の話を避けるのでしょうか?そんなお金の話に漫画家・西原理恵子さんが切り込み、自身の「カネの地獄を見た」体験を交えて、お金や労働について哲学する一冊です。

働くことの目的は、お金のためだけではないでしょうが、切っても切り離せないことでもあります。働くモチベーションを向上させるためにも、金銭感覚を研ぎ澄ますためにも、ビジネスパーソンにオススメできる一冊です。

3. 「美しい」ってなんだろう? 美術のすすめ

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著者:森村 泰昌

「美しさ」という抽象的な概念を分かりやすく、噛み砕いて説明してある本書。著者の森村泰昌さん自身も現代芸術家です。美しさに心が動くこと、知識ではなく、感覚で美術を楽しむことを教えてくれます。日常でなかなか美術に触れる機会がないと思っている人も、この本を読めば、世界は「美」であふれていることに気づくでしょう。

休日の趣味に、優雅に美術鑑賞でもしてみたい、と思っている方は、本書を読んでこれまでよりもっと美術を楽しんでみてはいかがでしょうか?

4. 恋と股間

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著者:杉作J太郎

タレントや映画監督として知られる杉作J太郎さんの、童貞中高生を対象とした恋愛マニュアル書。ふざけたような文体とは裏腹に、内容は至極真面目なものです。

「友達で、と言われたら“友達って何かね!?”と返そう」など、男女のコミュニケーションの取り方を、著者特有の言い回しで面白おかしく教えてくれる、男の子のための恋愛哲学とでも言いましょうか。

気になる女性とどうにも上手くお近づきになれない、なんて大人は、ご一読をおすすめいたします。

5. ふたりのママから、きみたちへ

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著者:東小雪、増原裕子

2013年3月、東京ディズニーリゾートにて、日本のディズニーでは史上初となる同性結婚式を挙げ、国内外のメディアで大きく報じられた二人の、いつか迎える子どもに向けた純愛についての一冊です。

アメリカで同性婚法案が可決されたこともあり、現在同性婚が話題を集めています。自分らしく生きることの難しさと向き合い、社会の未熟さに気付いた上で、「家族とは何か」「愛するとは何か」という最も大切な問いへと読み手を導きます。

6. だれか、ふつうを教えてくれ!

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著者:倉本智明

普通って何だろう? 目が見えれば普通。自分で歩くことができれば普通。弱視から全盲になり、軽度障害者としての経験も、重度障害者としての経験もある倉本智明さんによる、健常者と障害者の「共生」を考えるための手引きです。

大切なことは、「自分は相手のことを分かっていないんだ」ということをきちんと「分かる」ということである、と著者は述べています。街に溢れているバリアフリーという「普通」は、本当に障害者たちによって有難いものなのでしょうか?

毎日「普通」を疑うことなく生活を送る私たちに、必要な視点を教えてくれる一冊です。

7. 生きのびるための犯罪

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著者:上岡陽江、ダルク女性ハウス

薬物やアルコール等、女性に依存症が多いのはなぜなのでしょうか。社会に存在する数々の暴力の多くは、弱い女性(特に少女)に向けられることが多いものです。そんな世界で生きのびるために、最終的に彼女達が選択したものは、犯罪という「みち」であったと著者は述べます。

それを個人の意思の問題、だらしの無い人間だと言い、目を背け続けてきた社会。必要なのは「治療」と「サポート」なのです。生きるために犯罪に手を染めなくてはならなくなるような人を生んでしまった、その社会はいったい誰が作ったものなのでしょうか。

これは、犯罪を犯した特別な人のためだけの本ではなく、社会に生きる全員が考えるべき問題について書かれた一冊です。

8. 世界を信じるためのメソッド ぼくらの時代のメディア・リテラシー

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著者:森達也

メディアは、間違える。そんな当たり前のようで、私たちが忘れがちなことを中高生に向けた分かりやすい文章で教えてくれます。

メディアは公正などではなく、主観的な報道であり、人間が作っている以上中立になることはありえません。また、報道会社は利潤を求める必要があるため、視聴者がより会社にとって都合の良い一面を捉えるように編集するという性質があります。

メディアの仕組みを正しく知り、使えるようになれば、私たちはもっと正しく世界を知ることができる、ということを丁寧に教えてくれる一冊です。

9. 人間の条件 そんなものない

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著者:立石真也

「できる」「できない」で人の価値が決まるという能力主義に疑問を投げかけ、人間の価値はどこにあるのか、生きているだけで価値ではないのか、ということを考えさせられる本です。

「できる人」が多くを得、「できない人」は最低限の価値や地位さえ得ることができない。そんな社会の作りを根本から考え、現在の資本主義のあり方を見直そうという気概のある一冊です。内容がラジカルで少々読みにくいところもありますが、人間の価値の根源を考えるきっかけを与えてくれます。

10. バカなおとなにならない脳

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著者:養老孟司

「バカの壁」で一躍話題になった養老孟司氏。今回は、「どうやったらバカな大人にならずに済みますか?」という子どもたちの疑問に驚きと笑いと、少しのため息で答えた一冊です。

子どもならではの、想定外で面白おかしい悩みに、「養老節」とも言える切って捨てるような厳しい答えで返したり、かと思えば、その背景にいる大人達に向けてじっくり言い聞かせるように話したり。

「当たり前のことだけれど、誰も言わない」そんなことをはっきりと言ってくれる養老氏の言葉は、この本を大人にこそ読んでほしい一冊へと仕上げています。

ただ生きるだけの人生には、よりみちを

ここに紹介された著者の多くは、人生の困難を乗り越え、ぐにゃぐにゃと曲がりくねった道を、時にひたすら進み、時に立ち止まって休みながらも道を切り開いてきた人たちばかりです。

そんな執筆陣たちが伝えたいことは、人生の寄り道で得た賜物。もしかしたら、時に迷っている私たちの道しるべとして、大切なヒントを与えてくれるかもしれません。

[文・編集] サムライト編集部