人生がもっと充実するお金の使い方をしよう!

お金は自分のために使うべからず

「貯金は大事」、「将来のために蓄えが必要」。人生100年時代と言われ、年金制度もあてにならなくなってきた昨今では、こうした考え方はますます重要視されています。

しかし残念ながら、単にお金をコツコツと貯めていくだけで、人生が充実していくわけではありません。

もちろん「貯金するだけなんてナンセンス。好きなだけ、好きなことにお金を使えばいい」と何も考えずに浪費を続けていれば、人生の充実どころか生活が破綻してしまいます。

ですが、経営者として成功している人の多くが「経営者だけでなく会社員の人でも、もっとお金を使ったほうがいい」と言っているのも事実なのです。

ではどんなふうにお金を使えば、人生が充実するのでしょうか。それは「人に使う」です。

なぜお金を人に使うことが人生の充実につながっていくのか、具体的にどう使えばいいのかについて解説していきます。

「人生のボトルネック」は人間関係にある

アルフレッド・アドラーは「人間の悩みはすべて人間関係に関係するものだ」と言いました。彼の言葉が正しければ、人間関係を断って孤独になれば、悩みのすべては解決されます。

しかしインターネットが発達し、誰もがつながる現代において、厳密な意味で孤独になるのはほぼ不可能です。

人生をより楽しく、充実したものにするためには人間関係をより良いものにしていくほかないのです。方法は無数にあります。例えば、

・会う回数を増やす。
・相手の趣味に合わせる。
・相手の話を聞いてあげる、相談に乗る。
・助けてもらったら必ず「ありがとう」と言う。
・相手を別の人に自慢する。
・旅行などを通じて共通の思い出を作る。 など

なかでも高い効果を期待できる方法が「人のためにお金を使う」です。知人友人にお金を配って歩けという話ではありません。大切なのは「どう使うか」です。

人生がもっと充実するお金の使い方

『人生を変える、お金の使い方。』の著者千田琢哉氏は、経営コンサルタントとしてのべ3,300人のエグゼクティブ、10,000人以上のビジネスパーソンと対話をするなかで、長期的に成功する人のお金の使い方に共通点があることに気づきました。

そのうちの一つが

「たとえ魅力的であっても、人脈や人望が減るようなお金の使い方をしない」(引用:前掲書p37)です。

相手の足元を見たり執拗に値切ったりすれば、取引相手だけでなく周囲の人たちも「ああ、そういうお金の使い方をする人なんだ」と考えます。知人は去っていく一方でしょう。

お金は「このお金は人脈・人望を増やすか?」と考えたうえで使う。これが人生を充実させるお金の使い方をする際の大前提です。

「使う側」のマナーを知っておく

人間関係を良好にするためにお金を使うときには、守るべきマナーがあります。細かい内容は相手との関係性によっても変わりますが、基本は「相手を困らせない・気を遣わせない」です。

たとえば極端に高価なプレゼントをしたり、絵画や花瓶などの「もらったら飾らなくてはならないもの」を贈ったりすれば、相手は「代わりにいったいどんなお返しをすればいいのか」「自分の部屋の雰囲気と合わないんだけどなあ」と困ってしまうことでしょう。

あるいは対等な間柄にもかかわらず、何の理由もなく唐突に「今日はこの店の代金、俺が出すから」などと言われれば、普通は「いや、そんなわけにはいかない」「奢られる理由がない」と気をつかうものです。

・プレゼントをするときは数千円程度の小額のもの、食べ物や飲み物などのなくなってしまうものなど、相手がもらっても困らないものを贈る。

・奢る関係性にない相手にご馳走するときは、あらかじめ「臨時収入が入ったから」など、相手が気を遣わないですむような理由を伝える。

こうやって相手を思いやることが、人にお金を使う際の最低限のマナーです。

「人にお金を使う」には慣れが必要

お金を使って人脈や人望をうまく増やしていく人は、お金の使い方にいやらしさがありません。

プレゼントをするにしても、食事代や飲み代をおごったり、事業に出資したりするにしても、スマートにお金を使います。

なぜなら人にお金を使うことに慣れているからです。だから気負わずに、自然にお金を使うことができるのです。

そうなるためには、ともかく小さなことから始めるしかありません。人にお金を使った経験がないのなら、まずは「後輩や同僚に缶コーヒーを差し入れる」程度のことからでOKです。

慣れてきたらランチや飲み代をおごったりして、使う金額を上げていきます。

経済的に無理をする必要はありません。自分ができる範囲で、少しずつ人に使うお金を増やしていけばいいのです。

「情けは人のためならず」を実感しよう

人にお金を使うことに慣れてくると、使ったお金が大なり小なり、何らかの形で自分へ返ってきていることに徐々に気づけるようになります。

たとえば自分が疲れた顔をしていると後輩が黙って缶コーヒーをお返ししてくれるようになったとか、別部署の同僚が何かと無理を聞いてくれるようになったとか……

気にしていなければ見逃してしまうような小さなものもあるかもしれませんが、注意していればきっとわかるはずです。

「情けは人のためならず」とは「人に親切にすれば、その相手のためになるだけでなく、やがてはよい報いとなって自分にもどってくる」(デジタル大辞泉)という意味の言葉です。

人にお金を使うとなると、つい自分ばかりが損をするのではないかと不安になりがちですが、使ったお金が何らかの形で返ってくるということが実感できれば、「もっと使ってみよう」と気持ちになります。

ここまでくれば、もうためらいなく人にお金が使えるはずです。

「応援するお金」はプラスになって返ってきやすい

どんな場面で人にお金を使えばいいかわからないという人は、「応援するお金」を使ってみましょう。

・服屋さん、雑貨屋などでお気に入りの店員さんを見つけたら、必ずその人から買うようにする。
・興味のあるクラウドファンディングに対して、高額の支援をする。
・「応援したい国」を見つけて、その国の通貨で預金をしたり、実際に旅行したりする。 など

応援したい人というのは、得てして好きな人であり、信頼できる人であり、人間関係を築いていきたい人です。

お気に入りの店員さんに意識してお金を使うようにすれば、プラスαのサービスを受けられたり、個人的なことで相談に乗ってくれたりするかもしれません。高額な支援をすれば、それがきっかけで事業に参加できる可能性も出てきます。

国を応援しているうちに、その国の人を好きになって、新しい人間関係が生まれるかもしれません。

このように、応援するお金はプラスになる人脈や人望につながりやすくなるのです。

また裏に損得勘定があるお金の使い方をすると、想像以上に相手に伝わるものです。それが人脈・人望を増やすことにつながるはずがないのは、言うまでもありません。

応援のために使うお金は自分も使っていて気持ちが良いため、そうした思惑がそもそも生まれにくい、という点もメリットです。

お金を「正しく」使って人間関係を良好にする

「お金を使って人間関係を良好にする」と言うと、いやらしい話に聞こえるかもしれません。しかし問題は「どう使うか」です。

そのため、下心が見え見えの使い方をすればむしろ人間関係は悪化し、人脈や人望にはつながりません。

使う側のマナーをきちんと守ったうえで、少しずつ人にお金を使うことに慣れていき、そのなかで応援したいと思う人に使う。

それができれば自ずと人間関係が良好になり、人生全体が充実していくでしょう。

これを機に、手元のお金がもっと活きる使い方をスタートさせてみてはいかがでしょうか。

Career Supli
自分が使えるお金が限られているときこそ、人のために使うと喜びを実感できると思います!
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部