オトナになって数学を学び直したい人にお薦めの本10冊

いつかは数学を学び直したい・・・

負の整数、方程式に二次関数……中学の数学でつまづいて、そのまま数学アレルギーへまっしぐら。そんな人はきっと多いのではないでしょうか。しかしその後の人生、なんとかここまで数学なしにやってこれたとしても、大人になりきった今になって「数学はできた方が便利だ」と思うようになっている人もまた、多いと思います。

そんな時にこれまで習ったはずの忘れてしまった数学を、簡単にしかも「楽しく」学べる本があったら、助かりますよね。ここではそんな数学の良書を10冊厳選して紹介します。勉強のための本には向き不向きがあるので、自分に合いそうなものを探してみてください。

1. 中学3年間の数学を10時間で復習する本

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出典:http://u111u.info/mrjX

「中学3年間の数学を10時間で」というなんとも頼もしいタイトルのこちらの本は、「数学に興味はあるが一歩間違えると中学時代の悪夢が蘇る!」という人のための一冊です。著者の塾の生徒たちの「わからない」を集めた内容なので、数学ができなかった人でも十分理解できる内容になっています。

構成は「1時間目 数と計算」からはじまって、因数分解や2次方程式、確率文章題、図形など網羅的に立てられています。数式だけ、言葉だけではどうしても眠くなるという人にも読みやすいよう、色分けや図、グラフに表などいろいろな角度から「数学」を理解できる工夫が満載です。

数学のテクニック的な内容ではなく、「どうして分数の割り算では逆数をかけるのか」といった考え方の部分の解説に多くが割かれているので、現役中学生の頃は「分数の割り算では逆数をかけるものなんだ」という漠然とした理解よりも一歩踏み込んで数学を考えられるようになっています。

2. 中学総合的研究 数学 三訂版

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出典:http://u111u.info/mrjT

学参に強い旺文社から出ている「中学3年間使える」をコンセプトにした現役生の学習にも十分通用する、充実した内容の1冊です。価格が定価で3,000円を超え、かつページ数も528ページと本に親しみのない人の場合は怯んでしまう価格とサイズ感ですが、西村圭一氏や松本新一郎氏をはじめとする一流の講師陣が数学を楽しめるようにと作った本なので、やりがいは抜群です。

使いやすさにこだわっており、目次、総合さくいん、章ごとの「ダイジェスト」、重要語句の「リンクアイコン」などで知りたい内容や一緒に学ぶべき内容へのアクセス性の高さが特徴です。

単に学校の内容をなぞっているのではなく、学校では習わないような雑学的知識も含まれているので、大人でも楽しめる内容になっています。

3. 沖田の数学1Aをはじめからていねいにシリーズ

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出典:http://u111u.info/mrjP

予備校講師であり、歯科医師であり、催眠心理療法師でもある沖田一希氏が手がける「はじめからていねいに」シリーズ。内容としては高校数学ですが、数学に対して苦手意識や嫌悪感を持つ学生向けに書かれた本なので、「中学時代の記憶がない」という人でなければかなり楽しめる内容になっています。

数学1・Aのシリーズは全部で3冊で、「数と式 集合と論証」「図形と計量 図形の性質編」「場合の数と確率 データの解析 整数の性質編」となっています。どれも良書ですが、ビジネスのシーンでの活用を考えるのであれば「場合の数と確率 データの解析 整数の性質編」がオススメです。

特筆すべきはその文体とページ構成で、沖田氏の講義を書き起こしたような口語調なので理解しやすい上に、手書きの文字や図が多く収録されており、まるで講義さながらの気分が味わえます。

4. 坂田アキラの理系シリーズ

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出典:http://u111u.info/mrjN

全部で16冊出ている人気講師・坂田アキラ氏が高校数学をわかりやすくまとめたシリーズです。確率の他には数列や2時間数、三角関数の他、化学や物理といったものまであります。興味のある一冊を選んで、まずは一冊読みきってみましょう。

構成としては図やイラスト、表などを使いながらの解説と、演習問題というオーソドックスなもの。しかしとにかくその説明が詳細なので、読者をして「知識がゼロから始めても大丈夫」と言わしめるほどのわかりやすさが売りです。

また「よ〜し!! ここからが本番やで〜っ!!」「え〜っ!! そんなんありえねぇ〜!!」といった軽妙な文が入るのも楽しく読める工夫の一つです。

5. 大人のための算数練習帳―論理思考を育てる文章題の傑作選

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出典:http://u111u.info/mrjI

理系書籍の多いブルーバックスから出版されている本で、小中学校で数学の得意な友人たちがこぞって解いていた「鶴亀算」「植木算」「旅人算」「仕事算」などの算数の文章題を集めた本です。タイトルの通り良問ばかりを集めているので、一冊を読み切るだけでかなりの数学的思考が養えます。

本書が優れているのは数学を通じて「読解力」「分析力」「翻訳力」「目標設定力」「遂行力」を培うというコンセプトのもと解説を作っている点です。この5つのスキルは言うまでもなく、そのまま「仕事力」と言い換えることもできます。理系思考ができずに仕事で困っている人には必携。新書サイズというのも持ち歩きやすくて○です。

6. 大人のための中学数学勉強法

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出典:http://u111u.info/mrjG

数学的な物事の見方・考え方の基本を学ぶのには欠かせない一冊。全344ページで中学数学の全単元を網羅しているので、手っ取り早く中学数学を復習するという意味でも良書ですが、前掲の『大人のための算数練習帳』と同様数学を問題解決のための思考方法の一つとして捉えている点が最も大きな魅力です。

また各単元では日常生活と数学をリンクさせる例を数多く挙げており、「数学なんて将来役に立たない」なんてうそぶいていた中学の頃の自分が恥ずかしくなる内容が盛りだくさんです。自分のために数学を学び直す人にも、あるいはお子さんがいる人にもオススメできる良書です。

7. 増補改訂版 語りかける中学数学

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出典:http://u111u.info/mrjC

現役の中学生やその両親のみならず、社会人になってから数学を勉強しなおしたい人にも向けて書かれた、語りかけるような口語文が特徴の数学参考書です。同じシリーズで問題集版もあるので、この本を読んでしっくりきたという人は問題集にも当たってみて、より理解を深めることもできます。

本書がおすすめのポイントは活字が苦手な人にも随分とっつきやすいように書かれてある点です。文中の言葉にはほとんど難しい語句や漢字もなく、「でも、大丈夫!! こんな問題ができなくても数学の勉強にはまったく(?)影響なんかはありません!!」といった具合の文章は、まるで子供向けの絵本を読んでいるかのようです。

難点を挙げるとすれば、とにかく大きい本だということです。全831ページにもなるため、さすがに持ち歩きは厳しいでしょう。ただ平易な文とは裏腹に、内容はしっかりと充実しているのは増補改訂版まで出すほど読者に支持されている証拠です。

8. この算数、できる?

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出典:http://u111u.info/mrGi

「もうそもそも数字を見るだけでパニックになる」という人は、まずは小学校の算数からやり直しましょう。この本は「小学校の算数を楽しむ会」が書いたもので、小学1年〜6年の算数の教科書のエッセンスを編集し直して、「楽しむ算数」「考える楽しさ」に重点を置いて作られています。「数学的思考」「理系思考」なんて難しいことを考えずに、数字になれることから始めたい人にオススメの1冊です。

平易な説明の後には必ず項目ごとに練習問題が設けられており、確実に算数の基礎が学べるようになっています。「計算編」と「図形編」に分かれているので、どちらか1冊を買ってしっくりくればもう一冊にも挑戦してみましょう。

9. とんでもなく役に立つ数学

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出典:http://u111u.info/mrju

2011年3月19日、東日本大震災からまだ1週間ほどしかたっていない時期に発売されたにもかかわらず、発売2週間で重版となった一冊です。「渋滞学」で知られる東大教授・西成活裕氏が書いた本で、「数学の力で世の中の問題を解決しよう」というスタンスで書かれています。

「東京マラソンで3万人をスムーズにスタートさせる方法」「人間関係のトラブル」など世の中に転がっている問題を数学的な見地からわかりやすく解説してくれるので、読後には「あの苦しかった中学3年間はなんだったんだ」となること間違い無し。

細かな数式や演習問題は用意されていないので、実際に問題が解けるようになるわけではありませんが、数学的思考の楽しさを知るには最善の良書と言えます。

10. 『とある科学の超電磁砲』とやり直す中学数学

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出典:http://u111u.info/mrjq

「なんかもうそもそも参考書とか、字が多い本が無理」という人や、アニメファンにオススメしたいのがこちらの一冊。アニメ『とある科学の超電磁砲』のキャラクターの挿絵と一緒に、中学数学をやり直すという趣向の「復習本」です。

中学数学の「全範囲」を3章90テーマに網羅的に組み込んであり、キャラクターがその都度解説を加えてくれるという構成。問題演習は比較的少なめで、また解説もどちらかというと教科書的な部分が多く、その点では他の良書に見劣りはするかもしれません。

この本を10冊のうちの1冊にあげたのは、「数学は復習したいけど、今更数学の勉強にお金を使うのもなあ」とついつい思ってしまう人のためです。アニメや『電磁砲』が好きな人は、まずはこの一冊から「大人の数学」を始めてみましょう。

今だから楽しく学びたい

「数学なんて生きていくうえで必要無い」と豪語していた青春時代をいたく後悔している今だからこそ、もう一度数学を学びなおす絶好のチャンスです。ラッキーなことに今の時代はここで紹介したような、学び直しにぴったりの良書があふれています。

とはいえ冒頭で述べたように、参考書や問題集には向き不向きがあります。ここで紹介したもののうち一冊が合わなくても、そこで諦めずに何冊か試してみてください。きっとあなたにぴったりの一冊が見つかるはずです。

[文・編集] サムライト編集部