サイバーエージェント藤田社長も実践している「運の法則」とは?

運のいい人とは?

20年間無敗の伝説の雀鬼、桜井章一さんと、東証一部上場企業のサイバーエージェントの代表、藤田 晋さんによる共著『運を支配する』(幻冬舎新書)が話題になっています。どうにかして自分も運がよくなりたいと考えている人が多いのでしょう。

あなたは自分が運のいい人間だと思いますか?『運のいい人の法則』の著者リチャード・ワイズマン博士は次のような実験を行っています。

「自分は運がいい」と思っているグループと、「自分は運が悪い」と思っているグループにわけて、両方に同じ新聞を渡して、「新聞の中に写真が全部で何枚あるか」を調べてくれと依頼をしました。

その渡された新聞の中ほどには『この文字を見つけたことを伝えると50ドルがもらえます』と大きな文字で書いてあったそうですが、運の良いグループはこの文字を見つける確率が高く、運の悪いグループは見つける確率が低かったそうです。

ワイズマン教授によれば、心配性でストレスを感じやすい人ほど、自分の目の前で行っている作業のみに夢中になる傾向がある。逆に言えば、幸運な人ほどのんきでチャンスに敏感になり、運の悪い人は神経質で心が閉ざされている
出典:『運のいい人の法則』

このように、どうやら運というのは天にすべてをお任せするものではなく、その人の意識や心持ちで大きく変わるようです。では、一流の人たちが「運の法則」についてどう考えているのかをご紹介していきます。

「自分のタイミング」で勝負しない 藤田 晋

Interview on press conference

経営者というと一見華やかに見えるが、毎日やっていることは極めて地味で、ただ淡々と仕事をしている、麻雀でいうと、耐えてる時間がほとんどだといいます。だけどそういうときに焦って勝負をしてしまうと、本当の勝負所で動けません。

“そのとき”がくるまで、仕事の質を落とさないようにしのいでいる人にしかツキはやってこないのだと藤田さんはいいます。ところが、功をあせって「自分のタイミング」で動いてしまう人がいて、そういう人は自滅してしまうそうです。

「自分のタイミングで勝負せず、“そのとき”を見極め、運に合わせること」が大切です。

違和感のあるものは外す 桜井章一

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自分がついてる時に気分が悪い人がいないように「その逆もまた真なり」で、「気分がいいと運がくる」という法則があると桜井さんはいいます。

そして「気分をよくする」には、違和感を覚えるものを外すことも大事だそうです。実は桜井さんは大学を卒業する際に、学長推薦である企業の内定をもらっていました。

ただどうしても、サラリーマン社会に対しての違和感が拭えず、就職を自ら辞退したそうです。もしそこで就職していたら、いまの伝説の雀鬼と呼ばれる桜井章一は存在していないでしょう。

運をつかむには言葉を磨け 萩本欽一

Senior African American man

桜井さんの「気分がいいと運がくる」と同じことをいっている超有名人がいます。それは欽ちゃんこと、萩本欽一さんです。

欽ちゃんは「僕は運だけで生きてきたんだ。だから運については一家言あるの」と語るほど、運を大切にしています。その欽ちゃんが「運をつかむには言葉を磨け」といっています。

常にいい気分でいるために、気持ちの良い会話をすることを人生のファースト・プライオリティーにおいているのです。

欽ちゃんは40歳を過ぎてから、ふっと「自分には大人になるための言葉が足りないや」と感じてわざわざ予備校に通って勉強したそうです。

欽ちゃんが出会ったいい人は、例外なくいい言葉をもっていた。いい人に出会うことは、いい言葉に出会うことでもある。そう考えて「いい言葉」での会話を真剣に考えているのです。

欽ちゃんの名言は何冊も本になるほどあるのですが、その中でも素敵なのは「だめなことは”薄目”でみてあげよう」という言葉です。

普通に見ると、いやだなとか、だめだなと思うことでも、目くじらをたてることなく、薄目で見逃してあげると、だめな人間も成長できて、場合によってはそこから新しいものが生まれてくるかもしれないという粋な発想です。

今の日本は少し、”薄目”でみてあげようという大らかさが、足りないのかもしれません。

運を貯金しろ 萩本欽一

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欽ちゃんは「すべてのものは最終的にプラマイゼロになる」という考え方を持っているようで、人生がうまくいってない、ダメなときほど運がたまるといいます。

かつて欽ちゃんが雇っていたパジャマ党という構成作家集団がありました。そこに入った新人には5年間、運をためさせるためにあえてつらい環境をつくっていたそうです。

月給は出さない、小遣いはマージャンで勝ったらあげるといった感じに厳しく接して、心の中で「がんばれ、辞めるな」と思っていたといいます。

そして5年たった時にようやく、
「5年たったか、おまえ大変だったろ、でも、今日から作家だからね」と、
晴れて作家デビューさせていたようです。

また自分自身も仕事が順調すぎる時は、あえてマイナスの要素を取り込んで、運を使い過ぎないように調整していたそうです。

そして欽ちゃんはこうもいってます。

きっと運って前からはこないんですよね。必ず後ろから来るんだ。俺がやりたいと思っている仕事はひとつもできてなかったし、全部、後ろからだったのに、気づいたらそれが大きな運だった。  出典:『負けるが勝ち、勝ち、勝ち!』

本当は自分が修行した芸を見せる仕事がしたかったらしいのですが、司会の仕事など、自分が意図していないような仕事ばかりがきて、それがことごとくヒットしたそうです。

これは藤田さんの「自分のタイミングで勝負せず、“そのとき”を見極め、運に合わせる」という内容に、とても近いエピソードです。

また、『運を支配する』の中で藤田さんは「貸しを増やせば運気はあがる」とも指摘しており、とくに見返りも求めず頼まれごとをいろいろやってあげるようです。これも欽ちゃんの「運を貯金しろ」の発想と考え方は同じだと思います。

このように、業界が違っても一流になる人が心がけている「運の法則」には共通する点が多くあります。

もっと知りたいという人はぜひ、話題の著書『運を支配する』を呼んでみてください。欽ちゃんの著書は『人生が楽しくなる気持ちのいい日本語 』(ゴマ文庫)、『欽言力』(日本文芸社)がおススメです。

[文]頼母木俊輔  [編集]サムライト編集部

参考サイト:ほぼ日 欽ちゃんのおもしろ魂
参考書籍:『運を支配する』、『人生が楽しくなる気持ちのいい日本語 』