あなたの職場の「仕事のできる人」はどんな表情で働いていますか?今にも泣き出しそうな表情で不幸せそうに働いて成果をあげている人というのはあまり見かけませんよね。多くの仕事のできる人達は働くことを楽しんでいます。
彼らは今にもスキップしだしそうな足取りで出勤し、仕事が始まれば胸は高鳴り、あり余る幸せに打ち震え、万能感に包まれ、宇宙の意思を感じ取り、恍惚を味わい、頭の芯には心地よい痺れが広がり…
少しまずいんじゃないか?なにか非合法的なものに手を出しているのでは…と思いますか?安心してください。
仕事のできる人は全く法に触れることなく、「脳内麻薬」と呼ばれる物質でドーピングをして仕事のモチベーションを上げ、能率や潜在能力を最大限引き出しているのです。
「脳内麻薬」は特別な人にだけ与えられたものではなく、「仕事のできる人」になるために誰もが使えるものです。
Contents
脳内麻薬の正体

脳内ニューロンから放出される神経伝達物質は約20種が確認されており、それらは人間の心身の変化を支配しています。恋に落ちた時、ギャンブルに熱中している時、ピンチに陥った時などに放出され快感や鎮痛・能力アップをもたらす中毒性の高い神経伝達物質、それが脳内麻薬の正体です。
この脳内麻薬となる神経伝達物質は、主にアセチルコリン、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、の4つで、これらは日常生活を送る中でも放出されています。
脳内麻薬を上手にコントロールし、完全合法のドーピングをして仕事の能率をあげましょう!
記憶力を高めて能率アップ!仕事中のおやつでドーピング
なにかを効率化するためには記憶したものをいつでもすぐに取り出して利用できるようにすることが重要で、そのためには記憶と記憶の関連付けをすることが有効です。
脳内で記憶の関連付けを担う神経伝達物質が「アセチルコリン」です。このアセチルコリンが増えると集中力が増し、効率的に記憶ができるようになります。アセチルコリンを生成するためにはレシチンという栄養素が必要です。卵黄・チョコレート・大豆にはレシチンが多く含まれているため、仕事中のおやつにはチョコレートケーキと豆乳がオススメです。
集中が途切れてしまうのは、眠気を引き起こすアデノシンという神経伝達物質がアセチルコリンを抑制するためです。また、風邪薬やアレルギー薬に含まれる抗ヒスタミン剤もアセチルコリンを抑制してしまいます。集中力を継続させたいのであれば、コーヒーブレイクでアデノシンと結びついて眠気を感じさせなくさせるカフェインを摂り、少しくらいの風邪であれば薬以外の対処で症状を抑えましょう。
高い集中力や記憶力は仕事のクオリティやスピードを劇的に上げます。集中力は長く続くものではないため、ダレてきたら効果的なおやつやコーヒーブレイクで増やしたアセチルコリンでドーピングして、また新しい集中力のタームに入りましょう!
楽しい気持ちが原動力!自分へのご褒美でドーピング
なにをするにもやる気がなくては全力で取り組むことはできません。仕事を頑張れば良いことがあるのにと頭では分かっているのにどうしても「面倒臭い」という気持ちに負けてしまう時がありますよね。実はその状態は「頭では分かっているのに…」のではなく「頭の中でドーパミンが足りていない」状態なのです。
ドーパミンとは快楽を感じた時にそれを増幅させる神経伝達物質です。中毒性が高く、なにか行動を起こすことによりドーパミンが出る経験をすると、脳はまたその快感を求めるようになります。つまり、「仕事をして成果を出し、達成感や幸福を感じるとドーパミンが放出され快楽が増幅され、また頑張って仕事をするやる気が出る」という良い連鎖が生まれるのです。
ドーパミンを生成するためには乳製品に多く含まれるチロシンという成分が重要になります。神経細胞の生成に必要なビタミンB12はレバーに豊富です。楽しい飲酒もドーパミンを良く放出させるため、仕事終わりにはレバーとチーズをアテにお酒を飲みに行くと、ドーパミンが出やすい体質を作れるでしょう。
頑張った仕事の成功体験がドーパミンで増幅され、さらに仕事で成功したくなる原動力となる脳内麻薬は仕事を格段に楽しくしてくれますが、とても中毒性の強いものなのであまりに溺れすぎるとワーカホリックになってしまう危険性も孕んでいます。健康や私生活も大事にしながら、脳内麻薬ドーパミンと付き合っていきましょう!
脳内合気道!ストレスを利用するドーピング
仕事を楽しむことも重要ですが、適度な緊張感をもって望むことでより精度の高い仕事ができます。緊張感を保つために作用するのが神経伝達物質ノルアドレナリンです。ノルアドレナリンはドーパミンとは逆に、不快な刺激を受けた際に放出される、不安や恐怖を司るものです。
不安や恐怖に関係する神経伝達物質と聞くととてもマイナスなイメージを受けますが、このノルアドレナリンは困難に立ち向かうために、覚醒・集中力・記憶力・積極性を高め、痛みを感じにくくする働きがあります。
プロスポーツチームでのスタメンの入れ替えや、企業の新人教育で檄を飛ばす事にはノルアドレナリンの作用で急速にパフォーマンスやモチベーションを伸ばす意味があるのです。
日常的に仕事をするにおいても、過酷な仕事状況や苦手な取引先とのやりとりなどでノルアドレナリンは放出され、受けたストレスを合気道のように「火事場の馬鹿力」に変えてくれます。
しかし、こういったノルアドレナリンの作用は繰り返すことで恐怖に慣れてしまい、次第に効果は薄れていってしまうため、恐怖感ゆえに出るパフォーマンスや集中力は長続きしません。ノルアドレナリンによるパフォーマンス向上は日常的に期待するのではなく、緊急事態のカンフル剤として期待しましょう!
ここぞ!という場面でノルアドレナリンの放出を増やしたいと思っても、タイミングよく困難や恐怖が訪れることは滅多にないでしょう。ノルアドレナリンは交感神経から副腎髄質への刺激によって放出されるため、ノルアドレナリンをカンフル剤的に使いたいここぞの時には階段をダッシュしてみる・スクワットをしてみるなどをして交感神経を優位にすると良いでしょう。
ノルアドレナリンは放出しすぎると怒りっぽくなり不安感が強くなってしまいますが、放出量が少ないと無気力になってしまうバランスの難しい神経伝達物質です。次の項ではノルアドレナリンのバランスを調整してくれる成分「セロトニン」を紹介します。
癒し系脳内麻薬!カレーとお日様でドーピング
前項までに紹介したドーパミン・ノルアドレナリンはアッパー系の脳内麻薬でしたが、良い仕事をする上では緊張と緩和を操ることも重要になります。神経伝達物質の中でその調整をする役目を持つのが「セロトニン」です。
ドーパミンの放出量が多すぎると、ドーパミンを放出させる行動に依存してしまい逆にストレスを溜めてしまいます。また前項でも書いたようにノルアドレナリンのバランスがとれていないと怒りっぽくなる・無気力になるといった症状が出ます。セロトニンは多すぎるドーパミンやノルアドレナリンを抑制し、過度な興奮を鎮めます。
セロトニンはアッパー系の神経伝達物質の抑制の他にも精神をリラックスさせるため「しあわせホルモン」とも呼ばれています。商談や営業などで緊張しすぎて全力が出せない…という人はセロトニンの放出が十分ではないのかもしれません。
副腎髄質から放出されるドーパミン・ノルアドレナリンに対してセロトニンは小腸から放出されています。セロトニンを放出するには腸に刺激を与えてくれるカレーが適していると言われています。太陽光も有効とされているため、ランチタイムにはカレーを食べて太陽の下を散歩するのがオススメです。
セロトニンが不足すると、気分が落ち込み、うつ病を発症してしまうこともあります。またビジネスマンに多い、緊張すると腹痛が起きるIBSはセロトニンの放出を増やすことで症状が軽減するという調査もあります。いつも幸せな気持ちで仕事をするためにセロトニンを不足させないよう気をつけましょう!
脳内麻薬ドーピングは本能の力
「ドーピング」や「麻薬」と聞けば社会的にも体にも悪そうですが、脳内麻薬は古来から人間が困難に立ち向かったり、何かを築き上げるために放出されてきた本能的な力なのです。
経験やスキルが同じでも仕事ができる・できないに差が出ますが、その差を決めるのは本能の力かもしれません。
あなたも脳内麻薬で上手にドーピングをして、効率的に仕事をしましょう。もっとやる気を出して仕事をしたい人には、脳科学者がおススメする、やる気が出ない時にやる気を出す「スゴイ方法」もあわせて読むことをおすすめします。
[文・編集] サムライト編集部