Contents
友人たちを引き合わせる
ある友人と別の友人を引き合わせて、少人数で話すような機会が、みなさんにも時々あるのではないかと思います。
単に「気が合いそうだから」と引き合わせることもあるでしょうし、恋人候補を探している友人に異性の友人を紹介する、といったこともあるでしょう。
しかし、初対面の人どうしで楽しく話すというのは、なかなか難しいものです。自分を介して知り合った人どうしが、気まずい関係のまま終わってしまうのは、なんとも悲しく、どちらの友人に対しても申し訳ない気持ちになるものです。
友人同士が楽しく話をしてくれるためには
私はこれまで、初対面の友人どうしを引き合わせて3人や4人で話をする機会を、数多く持ってきました。「人脈づくり」や「キューピッド」を目的としているわけではなく、「少人数で楽しく話のできる場を設けたい」と思って、そうしたことを行っています。
最近は、そうした趣味が高じて、『東京よばなし』という企画を立ち上げるに至りました。
会社の同僚や昔からの友人、インターネットで知り合った人たち、そうした友人の友人など、さまざまな関係性にある友人を3人集め、私を含む4人で飲み会をして、そのてんまつを小説のように描写していく、といった試みです。
基本的には、招く友人どうしは、その場で初めて出会ったという間柄にありますこのコンテンツの内容を読んでいただければ、初対面とはまるで思えない十年来の親友どうしのような会話が『よばなし』の中で繰り広げられているということが、おわかりになるかと思います。
今日は、そんな風に「友人どうしを引き合わせて話をする」機会の多い私が思う、「紹介した友人どうしが楽しく話をしてくれるコツ」について、書いてみたいと思います。
3つのコツ
「友人どうしが楽しく会話してくれるかどうか」は、序盤のコミュニケーションにかかっています。どうしたって、顔合わせの直後は微妙な空気が流れるものです。当然、自分がコミュニケーションをリードしていくことになるでしょう。
その後、自分が何も発言しなくとも、友人どうしが気楽に会話してくれるような状態をつくることが、この場をセッティングした仲介者の役割です。
どうすれば、友人どうしがリラックスしていろんなことを話してくれるような雰囲気をつくることができるのでしょうか?
私が思うに、そのコツは3つあります。
1, 絶対的な共通項「仲介者自身」について話をしてもらう
2, コミュニケーションの深度を自分で決めてしまう
3, 聞きにくい質問をする役割は、自分が引き受ける
ちなみに、この3つはパラレルではなく時系列になっており、上から順にステップを踏んでいくと、より円滑なコミュニケーションが期待できます。
具体的に、一つひとつ見ていきましょう。
1, 絶対的な共通項「仲介者自身」について話をしてもらう
『よばなし』をやっていると、毎回、開始直後には絶妙な緊張感がほとばしります。「何を話せばいいんだろう」というみんなの考えが伝わってきて、僕はいつも「今回はどうなるのかな」とハラハラしながら楽しんでいます。
人と人が仲良くなるには、共通の話題を話すのが一番です。しかし、共通の話題があまり見つからない場合や、そもそもそこまでその人のことを知らない浅い関係の人を招いている場合は、いったいどうすればよいのでしょうか?
どんな場合でも、こうした場に来ている人たちどうしが必ず持ち合せている、共通の話題があります。それは、「仲介者自身」についての話題、『よばなし』で言えばプロモーターである私自身についてのエピソードです。
仲介者が「今日は来てくれてありがとう。僕と出会ったのって何がきっかけなんだっけ」と水を向ければ、その人は「高校の頃の部活で~」とか、「大学の時、就職活動をしていて~」とか、そうしたエピソードを語ってくれることでしょう。
そうすれば、反対側の人から「彼、〇〇部っぽいよね」とか、「就活の面接とか得意そう」とか、そうした反応が返ってきて、少し座の緊張が取れ、盛り上がるはずです。
もちろん、出会ったきっかけでなくても、普段どういった関係なのか、踏み込める相手なのであれば自分のことをどんな人だと思っているのか、そういったことを話してもらってもかまいません。
自分という、絶対的に共通する話題を通じて、自分の頭ごしに直接友人どうしが会話をする機会をつくりだす。これが、人を紹介する際の重要な一手目です。
2, コミュニケーションの深度を自分で決めてしまう
正直、初対面の人を相手に自分のことをどこまで語っていいか、見当のつかない人は多いでしょう。
仲介者が会話を膨らませようと思って「□□さんって△△が好きなんだよね?」とパスを出しても、しっかりと中身のある「語り」をしてくれる人は多くはありません。
なぜなら、「こんなに自分を語っちゃったら迷惑だし、KYなヤツって思われそう」と遠慮する気持ちが働くからです。
知らない人どうしを引き合わせたコミュニケーションの場で、お互いのことをあまり知らない序盤の段階からそれぞれに語ってもらおうとするのは、悪手です。
まずは、「自分たちがこの場でどこまで語っていいのか」を仲介者自身が決めてしまいましょう。そのためには、人間関係は負けるが勝ち!コミュニケーションに効く「自己開示」の威力で書いた「自己開示」が有効です。
ステップ1で「仲介者自身」について話してもらったら、そのエピソードに紐づいた自分の気持ちを語ります。
私の場合、就職活動についての話が出たのであれば、「大学の時、自分が何をやりたいのかまったくわからなくて、すごく辛かったなぁ」とか、そういったことを話すでしょう。
ここで、どこまで深く自分のことを話すかは、その場の目的や性質に合わせて決めるのがよいと思います。
ちなみに、『よばなし』のような「語ってもらうことが目的となっている場」においては、かなり踏み込んだ自分語りをするべきだと思います。
「こんなに語っていいのかな?自分の話はおもしろいかな?」などとメタに自分を眺めることなく、話したいことを話したいように話すことです。
そうやって好き勝手に語っている自分の姿が、それぞれの友人たちに「我々もここまで話していいんだ」と思わせ、後々のコミュニケーションのロールモデルになるのです。
3, 聞きにくい質問をする役割は、自分が引き受ける
ステップ1と2で、かなり場はゆるまっていると思います。ここで初めて、友人たち自身の話をしてもらうとよいでしょう。とっかかりとしてやりやすく、また話が弾みやすいのは、「その人の持つ雰囲気について話してもらう」ということです。
「休みの日に何をしているんですか?」といった「情報」にフォーカスした話よりも、「ネイルがすごくきれいですね。こだわりがあるんですか?」といった「感情」にフォーカスした話の方が、間違いなく盛り上がるためです(参照:200人以上とサシ飲みした男が教える、楽しく会話をする方法)。
理想を言えば、友人どうしが直接会話をしてくれればよいのですが、おそらくまだ、「初対面の人にこんなこと質問していいのかな……?」という遠慮が残っているかと思います。ですので、こういった場では「初対面の人に聞きにくいであろう質問を仲介者が引き受ける」ことが大切です。
『よばなし』で一度あったエピソードですが、土曜日の夜にもかかわらず、シチサンの髪形とスーツというピシッとした格好で現れた男性がいました。
たぶん他の参加者は「この人は何者なんだ」と疑問を抱いたことでしょうが、初対面のしょっぱなから「なんでそんな格好をしているんですか」と聞くのはちょっと失礼かも……と思ったのか、誰もそのことについて質問しませんでした。
その時は、私が「なんでそんなコワモテな感じで来たの?」とツッコミを入れて「今日ちょっと急な仕事がありまして。営業なので形が大事です」という回答を引き出し、その後はその人の仕事についての話に繋がっていったのでした。
自分だけがそれぞれの友人と知り合いという間柄なのであれば、「この人になら聞かれてもいいか」と思ってもらえる自分の立ち位置を、存分に利用すべきです。そうすることで、それぞれの人が気楽にお互いについて質問できる雰囲気ができあがるのです。
場の雰囲気が重要
ステップ1、2、3どれについても共通することですが、人と人とが仲良くなるために必要なのは、話の内容ではなく場の雰囲気です。
そうするためには、序盤のうちは仲立ちをする人が率先して、自らを起点としてコミュニケーションが展開されるような流れをつくることです。
そうすれば、「引き合わせてくれてありがとう!」と言ってもらえるような時間を、友人たちに提供することができるはずです。
この記事が、あなたとあなたの周りの人たちにとって、楽しいコミュニケーションの時間を過ごすヒントになったなら、嬉しいです。
[文]クヌルプ [編集] サムライト編集部