全てのものがインターネットに繋がる。IoTが進むとビジネスマンの生活はどう変わる?

IoT元年である、2015年

「IoT」という言葉をご存知でしょうか。最近ではAppleWatchが発売開始になったことにより、耳にすることが多くなったかもしれません。実は1990年頃から議論されてきた概念であり、そう新しい言葉という訳でもないのです。

2015年は技術の進歩と共にIoTが日常に入り込んでくることが予想されており、「IoT元年」といわれています。IoTは今後、私たちの生活やビジネスにおいて、いったいどんな変化をもたらすのでしょうか?

人類の進歩の象徴 IoTってなに?

IoTとは「Internet of Things」の略称で、日本語に訳して「モノのインターネット」とよく言われ、Wikipediaによると、「一意に識別可能な『もの』がインターネット/クラウドに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みである」と記載されています。

つまり、私たちの身の回りにある、今までインターネットとは縁のなかった腕時計や鍵、冷蔵庫などの「モノ」が対象にあたるのです。

一言に「モノのインターネット」と言ってもなかなかピンと来ない人も多いかと思います。「サービスのモノ化」「サービスがモノの形をとっている」と言うと少しは分かりやすいでしょうか。サービスは人から提供される、というだけの時代ではなくなってきているのです。

IT時代の先駆け、私たちの生活に入り込むIoT


画像出典:flickr LWYang

IoTということばが生まれて、25年ほど経った2015年。4月に発売開始となったAppleWatchは早くも、現時点でもっとも普及・認知されているIoTかもしれません。

ITの進化、スマートフォンの普及で、ビジネスパーソンはこれまでよりも仕事を持ち歩けるようになりました。電車内でスマホで仕事のメールをチェック・返信する人、カフェでノートパソコンを広げて仕事をしている人というのは、いまやありふれた光景です。

そんな日常にAppleWatchをはじめとした、スマートウォッチが加わることは決して想像に難しいことではありません

AppleWatchのアプリケーションはまだ数や質の面で充実しているとはいえませんが、すぐにビジネスシーンやプライベートシーンを大きく変えるようなアプリケーションが数多く出てくることでしょう。

ビジネスパーソンはスマートウォッチの普及により、これまで以上に気軽に仕事を持ち運び、場所を選ばなくなるかもしれません。

私たちの生活に入り込むIoTはAppleWatchだけなのでしょうか?実はもっと以前から私たちの生活に馴染んでいるIoTもあれば、これから普及が予想される生活に密接したIoTも存在しているのです。

IoTの先駆け? みまもりほっとラインi-Pot

IoTの先駆けとも言われている、2001年3月に発売された象印の「みまもりほっとラインi-Pot」。CMなどでご存知の方も多いのではないでしょうか。

遠く離れた実家で一人暮らしをしている母親が心配。しかし、日常的に実家に帰り安否を確認するというのはお互いにとっても大きな負担です。

このみまもりほっとラインi-Potは、電気ポットの使用状況を一日に2回、家族のもとへメールで送信し、安否を確認できるというものです。見た目は普通のポットと全く同じなので、監視されているという感覚もありません。

日常で必ず行われる動作を、生活者のステータスとして観測する。一見単純なことのようにも思えますが、とても画期的なアイデアです。IoTには何よりも「生活に違和感なく馴染む」ということが重要なのです。

市場規模拡大中!今注目のスマートロック

施錠、開錠の歴史は4000年以上にも遡ります。時代の進歩と共に、指紋認証や顔認証、パスワードなどで開錠するという技術も開発されましたが、コストパフォーマンスという問題も有り、一般的な住宅に使用される日はまだ遠いと考えられています。

そんな状況に現れたのが「スマートロック」。工事を必要とせず、スマートロックをドアに取り付けるだけで簡単に使用することができるという優れものです。

スマホのアプリで開錠でき、アプリで第三者に鍵を貸すこともできます。LEDディスプレイがついており、利用者の名前が表示されるもの、ゲストブック機能があり、写真やメッセージを残すことができるものもあります。3万円以下で取り付けられるものが多く、コスト面でも非常に優秀です。

4000年もの間、人類と共にあった鍵の概念を大掛かりな装置を必要とせず、既に生活に馴染んだスマホで変えようとしているスマートロック。こういったイノベーションが私たちの生活を変えていくのでしょう。

日々のストレスをなくすための情熱、技術の進歩

以上で挙げた例の他にも、薬にセンサーをつけることで体内状況が分かるもの、気温や湿度、気圧、騒音、照明などの環境を計測するもの、エアコンの使用状況をアプリで確認でき、遠隔操作で帰宅前に稼働させておくものが可能なものなど、生活をより便利に、豊かにしてくれる技術がまだまだたくさんあります。

ビジネスの面では、ビッグデータと組み合わせて利用されるIoTが目立ち、ビッグデータの蓄積や分析の技術の進歩に伴ってIoTも進化していくことが予想されます。

ビッグデータを駆使!大手航空会社の大規模IoT

既にIoTを大規模に導入している企業にアメリカの大手航空会社「VirginAtlantic」があります。VirginAtlanticではジェット旅客機ボーイング787や貨物輸送デバイスによるIoTを利用しています。

各飛行機にはインターネットに接続された部品を搭載しており、飛行機の状況をその都度確認、追跡できるなどの機能を持っています。また、収集されたデータを元に、いつメンテナンスが必要になるかを予想し、フライトや燃料の向上に役立てているのです。

複雑な管理が必要だった飛行機の整備をビッグデータとIoTを駆使して解決しているVirginAtlanticのような企業は今後も増えていくことでしょう。

多くのモノと繋がり、見えるものが広がる未来

アイデア次第で無限の可能性を持つIoT。身の回りの多くのモノがインターネットに繋がることで、今までは捉えることのできなかった情報を可視化し、より効率的に、安心かつ無駄のない日々を過ごすことも可能だということが、想像できるでしょう。

業務上把握しておきたいことが一目でわかる、仕事をしながらも子供の様子が分かる、帰宅前に家をくつろぎやすい環境に整えておく。そういった、今まで私たちの発想になかったような日常の効率化が、IoTの普及により今後私たちの生活にごく自然に入り込んでくる日はそう遠くはありません。

[文・編集] サムライト編集部