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今日からできる
あなたは今週どんなことにお金を使いましたか?色々な実験結果から、日常のお金の使い方が、様々な生物学的、感情的影響を引き起こすことが証明されてきています。使うお金が5ドルであっても、その日全体の幸福度まで変わってしまうのです。
幸せになるためにより多くのお金を稼ぐことは大変ですが、いまあるお金の使い方を変えるのは、今日からすぐに実践できます。ぜひ試してみてください。お金と幸せについてまとめた名著『HAPPY MONEY』から「幸せをお金で買う」5つの方法をご紹介します。
幸せをお金で買う方法その1. 「経験を買う」

物質的なものを買うこと(家、家具、洋服)は、経験を買うこと(旅行、コンサート、特別な食事をすること)ほど幸福をもたらさないことがわかってきました。
人生で一番大きな買い物といえばマイホームの購入ですが、最近の幸福の研究では、新しい家を購入することで幸福が増す証拠はほとんどないようです。ペンシルベニア大学で600人以上の女性を対象に行なわれた研究では、マイホーム所有者は、賃貸住宅に住む人々よりも幸福という結果にはならなかったそうです。
物質的な買い物による満足感は、時間の経過とともに減少する傾向がありますが、逆に経験的な買い物による幸福感は時間が経過すると増していきます。コロラド大学の調査によれば、アメリカ人の約57%が経験を買ったほうが、ものを買うよりもずっと幸せになると回答しており、一方でその逆であると答えた人は34%だけでした。
この差は、女性、若年層、都市圏内に住んでいる人の間ではより顕著になりました。そして、男性、年配者、田舎に住んでいる人でも、基本的には同じパターンが見られました。多くの研究では、人は経験的な買い物について思い出すとき、より良い気分になり、そうした買い物に対して「お金を上手につかった」という感覚をより強く持つそうです。
もちろんどんなことを経験するかによって、その幸福感は変わってきますが、どんなタイプの経験でも次の4つの基準を満たすものが、より大きな喜びを与えてくれるようです。
・この先何年にもわたって楽しい気持ちで繰り返し語ることができる思い出話につながる経験
・あなたが感じている自分という人間、あるいはあなたがなりたいと思っている自分像に密接に結びつく経験
・他の選択肢と簡単に比較することができないめったにないチャンスを与えてくれる経験
出典:「HAPPY MONEY」より
幸せをお金で買う方法その2. 「ご褒美にする」

人間は良くも悪くも環境に適応して慣れていきます。そうすると身近なものに対してはあまり価値を感じなくなる傾向があります。その習性を理解して、あえて大好きなものに制限をかけて「ご褒美的に楽しむ」ことで新鮮な喜びを味わうことができます。
消費を減らすことが、幸福を大きくする万能薬になるという確たる証拠はまだないようですが、消費パターンを変えると、少ないお金でより多くの幸福を得られるという研究結果は増えています。
もしあなたが何かしらの商売をしているとしたら、あえてサービスや商品に制限をかけることで顧客の満足度を高めることも可能です。カリフォルニア大学で行われた実験によれば、CMが入っていないTVドラマよりも、CMがはいって途中で中断されたドラマの満足度が高かったそうです。
人気のDJほどプレイ中に効果的に低音を絞り、効果的に音楽に中断をいれます。そうして踊っている人たちをギリギリまで焦らして、みんなが踊りたくて音が欲しくてたまらなくなったところで、低音を一気に出してフロアーを最高潮に盛り上げます。こういった焦らしを効果的に使うことで良い経験をしたという幸福感を高めることができます。
また倦怠期をむかえたカップルは地元の同じ場所で飲んだり食べたりするのではなく、新しいバンドのコンサートに行くなど、日常から離れたアクティビティをすることによって、2人の関係も新しく感じられるので、そのためにお金を使うことは幸福感を高めるようです。
幸せをお金で買う方法その3. 「時間を買う」

自分の時間を増やすようなお金の使い方を心がけると幸福度は増す傾向があります。「タイム イズ マネー」とよく言いますがこれは正確ではありません。「タイム イズ ライフ」です。
その買い物が自分の明日の生活をどのように変えるのかを考えましょう。「時間を買う」ことは誰にでもできることではないかもしれません。その場合は時間の妨げになっていることを見直しましょう。通勤、家事、TV、人間関係など見直すことで、お金の使い方も変わり、幸福感を増すことができます。ただし何でもかんでも時短が良い影響を与えるわけではありません。
トロント大学の研究によれば、ファーストフードのロゴを見るだけで人々はよりせっつかれた気分になるという結果もでており、何が自分に時間的な豊かさを与えてくれるかを考えましょう。
時短製品が余計に時間がたりない気分にさせるならその逆はどうなるのでしょうか。びっしり詰まったスケジュールの中であえて余計な活動を取ると、忙しい中の貴重なリソースを手放すことで、時間が豊かにあるという感覚を高めることにつながります。実際にたとえ15分でもボランティア活動に従事すると人は自分の生活により多くの時間があると感じます。
ペンシルベニア大学で行われた実験では、学生たちに1時間の課題を出した後、1方のグループはそのまま帰し、もう1方のグループには、落第しそうな地元の高校生を助けるために、その生徒の大学入試のための作文を15分かけて添削させました。
そうすると早く帰って余分な自由時間を得た学生よりも、添削をした学生の方が、より多くの自由な時間があると回答したそうです。誰かを助けることに時間を使うと、自分は効率的に動いていると感じるのです。
幸せをお金で買う方法その4. 「先に支払ってあとで消費する」

クレジットカードなどで先に購入して、後で支払いをするという消費の仕方の逆をやることで、幸福感が高まります。お金を先に支払っておいて、消費を先延ばしすることで、現実に落胆することなく、ワクワク感を持ち続けることができるのです。方法その2.の「ご褒美にする」と同じように「おあずけ」を課すことですぐに手に入れるよりもずっと楽しむことができます。
特にその体験についてのポジティブな詳細情報が得れるときや、消費経験自体はかなり短時間で終わってしまう時などは、消費を先送りすることで、経験そのものよりももっと多くの喜びを引き出すことができます。
幸せをお金で買う方法その5. 「他人に投資する」

最新の研究では、少ない金額でも他人のために使うと私たち自身の幸福感が増すことがわかっています。この原則は自分の家族にプレゼントを購入した大学生から、友人の子どもを救うためにマラリアの診察代を支払ったウガンダの女性まで、とてつもなく広い範囲の状況で成立します。人に与えるこのような恩恵は唾液の検査によっても確証されています。
寄付が義務であっても、チャリティーに寄付すると報酬に関連する脳領域が活発になるそうです。それぐらいこの原則は協力のようです。1回につき数百円でもいいので、ときどきコンビニで募金箱に寄付をするだけで一日の幸福度が変わってきます。
まとめ
「幸せをお金で買う」5つの方法をまとめると以下になります。
1. 「経験を買う」
2. 「ご褒美にする」
3. 「時間を買う」
4. 「先に支払ってあとで消費する」
5. 「他人に投資する」
繰り返しになりますが、稼ぐお金を増やすのは大変ですが、お金を使う配分を変えるのは今すぐにできます。これらの事例からもわかるように、人間というのは極めて主観的な生き物でどう感じるかで、幸福度が大きく変わってきます。いまあるものに注目してより楽しく生きられるように、こういった知恵を活用していきましょう。この内容に興味をもった人は「HAPPY MONEY」を是非読んでみてください。
お金の使い方、生き方が変わるスゴ本です。あと「幸せをお金で買う方法」で個人的におススメなのは、先日紹介した南の島に行くことです。旅行の計画をたてるだけで脳内物質がでてハッピーな気分になることができます。
[文]頼母木俊輔 [編集]サムライト編集部