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人生をゲーム化せよ!
ダイエットや筋トレに挑戦するけれど、なかなか成功しない。いろいろな本を読んで仕事に活かそうとはするけれど、なかなか思い通りにならない。人生で目的や目標を設定することは数あれど、結果に結びつくことはあまりありません。
そんな問題を解決するのが「ゲーミフィケーション」というフレームワークです。これはすなわち様々な問題を「ゲームにする」思考術。ここでは深田浩嗣著『ゲームにすればうまくいく』を参考にゲーミフィケーションの基本を解説するとともに、それを生活や仕事に取り入れる方法を提案します。
ゲーミフィケーションの第一歩
ゲーミフィケーションは以下の9つの要素から成り立っています。
・可視化
・オンボーディング
・チューニング
・上級者向け
・世界観
・ソーシャル
・ゴール
・おもてなし
このうち最も取り入れやすいのが「目標」と「可視化」です。例えばゲームセンターなどに行くと全国のプレイヤーのゲームスコアが表示されています。これがゲームにおける可視化です。
自分の実力や立ち位置を数値で表現されると、それを高めたくなるのが人というもの。そしてその数値をどこに向かって伸ばせば良いのかを明示するのが「目標」です。
自分の数値を高めたい、目標をクリアしたいと思わせるのがゲーミフィケーションの第一歩となります。
「オンボーディング」と「チューニング」
しかしやたらと難易度の高いゲームにやる気がでないように、ある程度のとっつきやすさがなければゲーミフィケーションも失敗に終わります。
近年大きなブームとなっている課金型のソーシャルゲームは、ゲームを進めるのが非常に簡単でゲーム初心者でもすぐにプレイできる点に大きな強みがあります。プレイヤーが迷わないようにゲームを設計すること、これが「オンボーディング」という要素です。
対して「チューニング」はいわゆる「やり込み要素作り」を指します。ロールプレイングゲームはともすると一度クリアしただけでプレイしなくなる可能性があります。なぜならば「すでにストーリー展開はわかっているから」。
しかしここに「ゲームに登場するアイテムをすべて集めると新しいストーリーが見られる」「仲間にするキャラクターによってストーリー展開が変わる」などの要素があれば何度でもプレイできます。
こうしたやり込み要素を定期的に作り続けることがチューニングです。ソーシャルゲームではプレイヤーが飽きないように敵キャラの強さを微調整したり、新たなストーリーを追加するなどのチューニングが頻繁に行われています。
中でもコアなプレイヤーに対して行うチューニングが「上級者向け」です。上級者でも飽きずに楽しめるゲーム設計にすることで、彼らが初心者にとっての「目標」になってくれる可能性もあります。
ゲーム化を加速させる3つの要素

実力を数字などで可視化し、目標に向かってプレイさせる。初心者用にオンボーディングを施し、プレイヤーが飽きないようにチューニングを施す。
ここまでで随分ゲームらしくはなってきましたが、これをさらに加速させるのが「世界観」「ソーシャル」「ゴール」です。
世界観はストーリーを指します。ロールプレイングゲームはこの典型で、ストーリーの主人公となってゲームをプレイすることでプレイヤーはどんどんその世界観にのめり込んでいくのです。
ゲームの世界観にさらにハマるために必要なのがソーシャルです。インターネットが発達した今では、同じゲームをプレイヤー同士がコミュニケーションをとって「ゲームの中の人間関係」を作り上げるのは難しくありません。
ゲーミフィケーションではこのソーシャルを形成しやすくするためのイベントを企画したり、プラットフォームを整備することになります。
そしてゲーミフィケーションにおいて最も重要な要素が「ゴール」です。ゲーム設計者が設定する「目標」とは違い、ゴールはプレイヤーがゲームをプレイすることで得たいと思っている価値を指します。
これを把握するためにはプレイヤーの行動やリアクションを細かく観察・分析する必要があるため、取り入れるのが難しい要素と言えます。
9つ目の要素「おもてなし」は、他の8つの要素を「プレイヤーにゲームを楽しんでもらう」というコンセプトで貫くための姿勢です。
「ダイエット」をゲーミフィケーションで加速させる
ゲーミフィケーションの考え方を自分の生活に取り入れるのは非常に簡単です。なぜならプレイヤーとの対話が必要なゴールの設計が、自分の中だけで完結するからです。では誰もが志し、そして挫折する「ダイエット」のゲーム化をシミュレーションしてみましょう。
ダイエットの可視化にはいろいろな方法があります。体重や体脂肪率をグラフ化するなどして管理する方法もありますし、自分の半裸の写真を毎日撮り続けるのも1つです。
目標の設定も目標体重や「この服が着れるようになる」というもので十分。世の中にはありとあらゆるダイエット法が公開されているのでオンボーディングもすぐに設計できます。
問題はチューニング・世界観・ゴールです。例えばチューニングは「栄養学(食事改善)」や「スポーツ科学(脂肪燃焼のメカニズム)」などの学問的要素、あるいは「水泳」「ジョギング」「筋トレ」などの運動のバリエーションでもいいでしょう。
世界観は仮に「可愛い彼女を作る」などのゴールを設計した後で、自分がダイエットに成功して彼女と隣り合って歩くまでのストーリー仕立てにしてもいいかもしれません。
大切なのは自分が「ダイエットというゲーム」を楽しめるように設計することです。
「人材教育」をゲーミフィケーションで加速させる

得てして人材教育というものは漠然としています。しかしここにゲーミフィケーションを取り入れることで、プレイヤー=部下の成長を加速させることができます。コンビニのアルバイトを想定してシミュレーションをしてみましょう。
まず「レジ操作ができるようになる」「商品補充ができるようになる」などの実務に対してポイントを割り振ったり、紙に書き出してシールを貼るなどして可視化します。
10個の項目をクリアしたらアルバイトとして次のランクに上がり、新しい仕事ができるようになる仕組みにすれば目標の設計もできます。
ここでの「オンボーディング」は「新人研修」や「オン・ザ・ジョブトレーニング」などです。アルバイトというゲームのプレイヤーが、スムーズにゲームをプレイできるチュートリアルだと考えます。
ソーシャルはバイト仲間がいるので問題ありません。ゴールは先輩アルバイトのように時間帯責任者になったり、アップしたバイト代でやりたいことができる、などを設計します。
チューニングについては「品出しが早い」「接客レベルが高い」「事務機器のスペシャリスト」などのやり込み要素を提案するのがいいでしょう。世界観はアルバイトで言うと「職場の空気」と言い換えられます。
「ランクの高いアルバイトはかっこいい」「いつまでもできる仕事が少ないアルバイトはかっこ悪い」という世界観を、どのように職場に作れるかが勝負です。
これができなければアルバイトというゲームをプレイする意味がなくなってしまいます。そのためにもしっかりおもてなしの姿勢をもって、ゲーム設計をするべきなのです。
人生をゲームのように楽しむ
ゲームはプレイするのも楽しいですが、ゲーミフィケーションのようにゲーム化していく作業も楽しいものです。ダイエットや人材教育だけでなく、人生の様々な局面をゲームのように楽しめば、さらにいろいろなストーリーを生きることができるはず。
それらのゲームをクリアしていくうちに、あなたというゲームの主人公はどんどん成長していくでしょう。9つの要素を使ったゲーミフィケーションで、人生を加速させましょう!
参考文献『ゲームにすればうまくいく<ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク』
