おすすめFire本10選! Fireを実現するためのステップも解説

従来では、定年まで働くという考え方が一般的でしたが、ここ最近では若者を中心にFireの考え方が浸透してきました。Fire関連の本は多数出版されており、そこからも注目度の高さをうかがえます。

本記事では、Fireの概要やメリット・デメリット、実現するためのステップの解説と併せて、おすすめのFire本を厳選してご紹介します。Fireについて理解を深めたい、自分もFire実現を目指したいという方は、ぜひ参考にしてください。

Fireとは?

Fire(ファイア)は、「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った言葉です。日本語に直訳すると、「経済的自立」と「早期退職」になります。簡単にいえば、経済的な自立を成し遂げることで早期退職を実現させ、自分だけの時間を過ごせるようにする新しい生活スタイルを意味します。

アメリカ発祥の概念で、欧米を中心に世界中で流行しています。日本でも20~30代を中心にFireの考え方に関心が集まるようになりました。以下では、Fireの目的について詳しく解説します。

経済的な自立実現を目標に行動すること

Fireで重要な考え方の一つが、経済的な自立の実現です。65歳になれば年金を受給できますが、受給前に仕事を辞めると収入源がなくなってしまいます。そうなれば生活をするために貯金を切り崩す必要があり、貯金がなくなれば生活が困窮するでしょう。

そんな事態を回避するためにも、資産運用で経済的な余裕が持てるようになったタイミングでリタイアすることがFireの基本です。では、具体的にリタイア後はどれだけの資金が必要となるのでしょうか。

リタイア後、安定した生活を送るために必要な資金は4,500万円程といわれています。また、生活費や運用益の目標金額の決定では、蓄えた資金を元に年4%で運用する4%ルールという考え方が用いられることが多いです。

4%ルールとは?

Fireの成功には4%ルールが欠かせません。4%ルールとは、貯蓄した資金を元に年利4%で運用し、さらに年間の生活費も4%以内に抑えるというアメリカ発の考え方です。4%ルールに則れば生活費を運用益分でまかなえるので、貯蓄を切り崩すことなく生活することができます。

4%という数字は、米国株式市場(S&P500株)の年間成長率7%とインフレ率3%の差がベースとなっています。S&P500株を中心に投資することで、年間約4%の利益を見込める考えから誕生しました。日本とアメリカではインフレ率が異なる部分もあるので、4%は適した目安といえるでしょう。

年間支出額から必要な資産額を計算

早期リタイア後に必要な資産額は年間の支出額から計算します。4%ルールで考える場合は「年間支出額×25倍」で必要な資産を算出できます。

総務省が発表する2020年度の単身世帯の年間平均支出額は180万円です。180万円を25倍すると、Fire後は4,500万円程必要という計算になります。

4,500万円もの大金を貯めることが難しい場合は、サイドFIREという考え方もあります。サイドFIREとは、資産運用と副業などの勤労収入の両方で生活を送るスタイルのことです。週数日は副業で収入を得ることを前提にすれば、Fire実現のために必要な目標金額を下げることができます。

例えば、副業で年間50万円稼げるのであれば、Fire後に必要となる運用益は180万円から50万円を引いた130万円となります。25倍の3,250万円程貯めればサイドFIREの実現が可能ということになります。

早期リタイア(早期退職)を目指すこと

日本では定年まで働くという考え方が主流となっています。しかし、Fireは従来の考え方を取り払う考え方になります。

Fireも従来の早期リタイアも、定年を迎えないうちに退職を目指すという点は同じです。しかし、実現するまでの資産構築や老後の資産の考え方が少し異なります。

従来の早期リタイアは、退職金や貯金、将来受け取る年金などを切り崩して生活していくのが基本です。一方、Fireはあらかじめ経済的自立のために貯金を行い、リタイア後は資産運用を通して元本を極力減らさない仕組みになっています。老後を迎えるまでの間、お金のことを気にせず自由な時間を過ごすことがFireの目的です。

Fireのメリット・デメリット

Fireにはメリットだけでなく、デメリットもあります。Fireの実現を目指すのであれば、特にデメリットとなる部分は理解しておくべきでしょう。ここからはFireのメリットとデメリットを解説します。

Fireのメリット

Fireのメリットには、以下の3点が挙げられます。

  • 働き方や働く時間を自由に設定できる
  • 場所や時間に縛られず自由に過ごせる
  • 資産運用やお金の正しい使い方が身につく

早期リタイアといっても、無理に仕事をしない生活に切り替える必要はありません。やりたいことが仕事であれば、起業や副業することも人生の楽しみ方の一つです。その場合、働き方や働く時間帯も自分で自由に決められます。

また、経済的自立ができる状態で会社を辞めれば、今後住む場所も時間の使い方も縛られることがなくなるでしょう。都会から田舎に引っ越す、思い切って海外に移住ということも可能で、仕事に割いていた時間を趣味やボランティアなど好きなことに回すこともできます。

さらに、資産運用のやり方や一定の支出に抑えるための節約術、節税など、時間に余裕のある生活のなかでお金の上手な使い方も身につけられます。お金の正しい使い方がわかれば無駄使いを抑えながら、満足のいく生活を実現できるでしょう。

Fireのデメリット

Fireの主なデメリットは、次の2点です。

  • 資金が足りないと計画が突然破綻してしまうリスクがある
  • 仕事を生きがいにしている人にとってはメリットが少ない

Fireは資産運用で利益を得ながら生活することですが、資金が不足すると計画が破綻する恐れがあります。株式や投資信託などの資産運用では、予想外の結果になってしまうこともあるでしょう。損失がでることで資産が目減りしてしまい、損失が長期的に続けば生活が苦しくなります。

また、突発的な病気やケガなどが原因で支出が増える可能性もあります。そうなると、運用益では年間の支出がまかなえなくなる可能性もあるでしょう。

また、仕事が生きがいという人にとってFireはメリットが少ないといえます。特に趣味や、やりたいことがない人は、ただ時間を持て余すだけになってしまうかもしれません。再就職したいと思っても、退職によりキャリア形成が止まってしまうことで再就職が難しくなる可能性もあります。

Fireを実現するための3ステップ

Fireを実現するためにはどうすればよいのでしょうか。Fireのデメリットで挙げたリスクに対して、失敗しないための3ステップを解説します。

毎月支出する金額を洗い出す

まずは、毎月どれだけの支出があるのか金額を洗い出しましょう。支出額を求めることで、Fire後にどれだけの生活費が必要なのか想定でき、準備すべき金額を計算できるようになります。毎月何に対して支出があるのか、メモに書き出してみてください。

また、会社を辞めると社会保険から国民健康保険や国民年金に切り替わるので、保険料の負担が増えます。リタイア後の保険料についても確認しておきましょう。

ほかにも出産や子どもの学費など家族のライフイベントに関する資金についても考えておく必要があります。生活費同様に資産運用でまかなうのか、別に資金を準備するのかなども事前に決めておきましょう。

投資に関する情報収集

Fire成功のために、投資に関する情報収集もしっかり行いましょう。投資には株式、投資信託、不動産などさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。Fire実現に近づくためにどのような投資を行えばよいのか、本やSNSなどから情報を集めるようにしましょう。また、投資をするうえで必要な専門知識も身につけることも大切です。

投資では投資先を一つに限定した場合、損失が出れば運用資産全体がマイナスとなってしまう可能性があるため、リスクを加味したうえで投資先を分散させることも重要といえます。複数の投資先に投資しておけば、万が一に価値が暴落しても損失は最小限に抑えることが可能です。分散投資の必要性や理解も深めておきましょう。

自分にあった投資を始める

本やSNSなどから集めた情報を基に、自分にあった投資を始めていきましょう。投資は毎回安定した利益を得られるわけではなく、資金を失うリスクもあります。そのことを理解したうえで投資を始めることが大切です。

分散投資だけではなく、できる限り投資期間は長く取るようにしてください。長期的に運用することで効率よく資産を増やすことが可能です。積立投資であれば、毎月一定金額を積み立てて長期運用していく投資方法であるため、運用期間が長いほど複利効果が発揮されます。少額から投資できるため、投資初心者も比較的気軽に資産運用を始められるでしょう。

おすすめのFire本10選

Fireについて詳しく知りたい、成功するコツを知りたいという方はFire関連の本を参考にしましょう。ここからは編集部おすすめのFire本を10冊ご紹介します。

普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門

著:山崎俊輔

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ファイナンシャルプランナー・消費生活アドバイザーとして活躍する山崎俊輔さんが執筆したFire本です。
この本では、日本の社会保障制度や税制優遇、退職金、高齢者雇用制度を基に、日本に通ずるFireについてまとめられています。

ファイナンシャルプランナーならではの視点で、老後のお金の問題について解説されているため、老後に不安がある方におすすめです。また、誰にでも年4%程度の運用利回りを獲得できる投資方法も紹介されています。Fire成功後のメンテナンス術までまとめられており、読み応えのある本です。

本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法

著:穂高 唯希 イラスト:あべ たみお

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三菱系企業の元会社員で、30歳でFireを成功させた人気ブロガー・穂高唯希さんが執筆したFire本です。こちらの本には、日本でFireを実践するうえで何から始めればよいのかを豊富な資料や理論的な説明で解説しており、初心者にもわかりやすい内容といえるでしょう。

穂高唯希さんがセミリタイアを目指した理由や高配当株・増配株に集中投資する理由などがまとめられています。再現度が高く誰もが真似できる手法や投資戦略についても紹介されており、資産形成に悩んでいる方におすすめです。

FIRE 最速で経済的自立を実現する方法

著:グラント・サバティエ 翻訳:岩本正明

画像出典:Amazon

経済的自立を決めてからわずか5年で純資産を2.26ドルから125万ドル増やした実績のあるグラント・サバティエさんが執筆したFire本です。こちらの本には、グラント・サバティエさんの実体験から、Fireの導入・出口戦略まで細かく書かれています。

この本を読むことでFireの考え方から目標設定、節約、副業、投資などFire実現のステップが理解できます。成功するために必要な内容が具体的に書かれているので、Fireの入門本に最適です。

父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え

著:ジェイエル・コリンズ 翻訳:小野 一郎

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個人投資家でブロガーのジェイエル・コリンズさんが執筆した本です。娘に宛てた「お金と投資」に関する手紙(ブログ)の内容を書籍にまとめています。

こちらの本は、「会社に縛られないお金」を形成するために投資の秘訣をわかりやすく解説しています。この本を読むことで投資方法やお金の正しい使い方が理解できるようになり、少ない出費での生活の実現や詐欺に引っ掛かる心配がなくなるなど、賢く生活するヒントを得られます。

FIRE 最強の早期リタイア術――最速でお金から自由になれる究極メソッド

著:クリスティー・シェン,ブライス・リャン 翻訳:岩本 正明

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Fireムーブメントの第一人者であるクリスティー・シェンさんとブライス・リャンさんが共作したFire本です。早期退職を実現するためには、どうすればよいのかという疑問に対してさまざまな視点から答える内容になっています。

Fire後の生活は持ち家か賃貸か、4%ルールの詳細、旅行でお金を貯まる理由、早期退職と子育てを両立させる方法など、経済的自立を実現するための技術を多数まとめています。

お金か人生か――給料がなくても豊かになれる9ステップ

著:ヴィッキー・ロビン,ジョー・ドミンゲス 翻訳:岩本 正明

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シンプルなライフスタイルと経済的自立で注目を集めるヴィッキー・ロビンさんと、セミリタイア後はボランティアや講演に取り組んでいたジョー・ドミンゲスが共作したFire本です。こちらの本は、1日のほとんどを仕事に使い、稼いだお金で散財する若いアメリカ人の価値観を大きく変えたと評されています。

経済的自立の実現を目標に、達成するために必要なプロセスを9ステップに分けて解説しています。従来の生活や働き方に疑問があり、生活を変えたいという方に最適な本です。

めざせFIRE! 知識ゼロから経済的自由を勝ちとる

著:ぽんちよ

画像出典:Amazon

投資系YouTuberとして人気のぽんちよさんが執筆したFire本です。ぽんちよさんがFireを目指すようになったきっかけに触れながら、Fireの意味や経済的自立を達成する方法について解説しています。

また、Fire後の生活についての考え方や著者からFireを目指す人へのエールも書かれています。YouTubeの動画では伝わらない部分まで細かく書かれているので、動画の補足として読むのもおすすめです。

今日からFIRE! おけいどん式 40代でも遅くない退職準備&資産形成術

著:桶井 道

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貯金と投資で資産1億円を貯め、47歳でFireを実現したブロガーの桶井道(おけいどん)さんが執筆したFire本です。Fire実現で得た知識や情報を本にまとめています。

桶井道さんのリアル体験や定年前に仕事を辞めるアーリーリタイアを実現するための心構え、早期達成のための貯金・投資プラン、株の選び方を紹介しています。また、Fireを成功させるために必要な「捨てる」極意についても紹介しています。

経済的自由をこの手に! 米国株で始める 100万円からのセミリタイア投資術

著:たぱぞう

画像出典:Amazon

米国株を中心に投資する投資家でブロガーのたぱぞうさんが執筆したFire本です。40代で1億円以上の資産を形成し、セミリタイア生活を実現した経験や知識を書籍にまとめています。

こちらの本では、資産額別の運用方法や100万円から5,000万円の資産を作る方法などを解説しています。また、米国株への投資がおすすめの理由もまとめられているので、納得したうえで米国株への投資を検討できるでしょう。

FIREを目指せ 最強の人生向上術 経済的自由を達成する方法

著:スコット・リーケンズ 翻訳:富永 晶子

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起業家で作家、そして自身もFireを果たしたスコット・リーケンズさんが執筆した本です。こちらの本はスコット・リーケンズの体験談を元に、過度な浪費を続けていた一家がFireを達成するまでの道のりを紹介しています。

妻のテイラーさんの視点も加えられており、小説感覚で読むことができます。Fireとは何か、達成にはどんな手法があるかなど、Fireの理解を深めたい方におすすめです。

まとめ

昨今では、労働環境や働き方が変化しており、定年まで働くことという考え方は、一般的ではなくなっています。資産を構築したうえで早期リタイアするFireも、日本で広まっていくと考えられます。

今からFireについて理解を深めたい、実現のために準備を始めたい方はFire本を読んでみましょう。経験者や専門家によるFire実現の秘訣を知ることができるはずです。

[文]CareerSupli編集部 [編集]CareerSupli編集部