インターネットを駆使した“独学”で、効率的に学ぶ!

独学の可能性

社会人になって新しく勉強を始めようと思ったとき、学校(専門機関)で受講するか、独学で勉強するか、迷ってしまうこと、多いですよね。学校に通えば強制的に学べそうだけれど、費用が気になる……そういう声も多いと思います。

『「超」独学法 AI時代の新しい働き方』(野口悠紀雄著)では、独学のやり方がわからないという人へ向けて書かれた本です。そこで今回は、この本で挙げられている実際の具体例も挙げながら、独学の良さ、独学の可能性、そして効果的に独学する方法について紹介します。

1.独学のメリット・デメリットとは

まずは、独学とその対極である学校(専門機関)での受講パターンと、それぞれのメリット・デメリットについて考えてみます。

【キャプション】『「超」独学法 AI時代の新しい働き方』より抜粋

主なポイントをまとめると、下記のようになります。

学校(専門機関)で受講するメリット(=独学のデメリット)

・強制力が働く
・カリキュラムが用意されている
・勉強仲間の人的ネットワークを作れる

独学で学ぶメリット(=学校のデメリット)

・知るべきことに焦点を絞って学ぶことができる
・自分の都合のよい時間に勉強ができる
・事情が変化したときに柔軟に対応できる

「強制力」「カリキュラム」という点では、確かに半強制的に学べるシステムになっていることが分かりますが、しかし受講型は、「本当に自分が学びたいこと」が効率よく学べない可能性があったり、一度選択したコースを変更したりするのが困難です。

一方、独学は、事情が変化しても対処できる柔軟性があり、やり直しも可能です。そのうえ、勉強する時間、スキマ時間を活かすことも十分できるので、自分の生活スタイルを崩すことなく、それに合わせた計画を立てることができます。

例えば、英会話。あらゆる英会話教室が開かれていますが、ビジネスで本当に必要な英語は、英会話で教わらないことが多いです。

日常的な英語は学べるにしても、それだけでビジネスの場で英語が役立つことは難しく、自分の専門分野の単語を知っているほうがはるかに役に立つ、と言うのが筆者の経験談。

その場合は、英会話教室よりも、自分なりに情報を駆使して、より自分の専門分野での英語教室を探すほうがはるかに効果的です。

そもそも、学校(専門機関)での受講は、受動的(プッシュ)ですが、独学は能動的(プル=自ら引く)な勉強法。能動的に活動をしたほうが、脳の記憶に残りやすいというのは、脳科学の世界でもすでに知られていることです。

「費用がかからないから独学にしよう」ではなく、もっと積極的に独学を選択すべきだと、筆者は言っています。さらに、現代ならではの方法を駆使することで、学校(専門機関)よりはるかに容易に、より深く学ぶことができることができる。

そう考えると、独学には、無限の可能性があることがわかります。

2.なぜ今、独学が優位なのか?

インターネットが普及した今、ウェブや検索を利用することによって、20年前には想像もつかなかったほど効率的に独学を進めることができるようになりました。このチャンスをうまく活かすことができるかどうかで、その人の将来は大きく違うものになる、と筆者は述べています。

専門的な内容も、忘れてしまった英単語も、インターネットを開けば今やすぐにわかる時代です。それを最大限に駆使すれば、自分のほしいと思える情報をゲットでき、より効率的に身に着けることができます。

先ほど例に挙げた英会話なども、より自分の専門分野に近いような英語レッスンを受けたいのであれば、そのような内容のものをweb(特にyoutubeがよい)で探せば、その多くがあります。それを見るだけでも通常の英会話よりもまったく変わってきます。

3.独学を始めるための3つの方法

では、具体的に独学をどのように始めればよいのかを、紹介します。

最初のポイントは以下の3つです。

①新聞で第3面までの見出しを毎日チェックする
②わからない言葉が出てきたら、調べる
③SNSで検索する(発信する)

①新聞で第3面までの見出しを毎日チェックする

独学においては、1つのキーワードが、新しい世界を切り開くためのきっかけになることもあります。自分から情報を集めていく一歩として、新聞をきっかけに自分で習慣化することが大切です。

そこからより深く追求することによって、学びの幅が広がります。その一歩として、まずは気になるキーワードを見つける習慣をつけましょう。

②わからない言葉が出てきたら、調べる

「毎日最低1つは、新しい言葉を調べること。これを習慣にしよう。」と筆者は述べています。これこそが独学の第一歩。これが、疑問に思っていることを放置せず、「調べよう」と習慣づけることにポイントがあります。そして、すぐに調べること。もしすぐにできなければ、調べるべき言葉を、忘れないようにメモするようにしましょう。

次第に、ただやみくもに調べるのではなく、系統立って調べられるようになると言います。

③SNSで検索する(発信する)

インターネットやスマートフォンでの情報収集に習熟してきたら、自分でブログやホームページを開設したり、あるいはSNSで発信したりということをやってみるのもひとつの方法です。

「“人に教えること”は、勉強の強力な牽引力になる」と筆者は述べています。

ドイツの考古学者シュリーマンは、独学でさまざまな言語を習得しました。その方法のひとつが、外国語の勉強のために金を払って人を雇ったこと。それは、雇った人に外言語の教えを受けたのではなく、その人に外国語を話し教えることによって自分が外国語を身に着けた、ということです。

その雇った人はまったくその言語が話せず、ただ聞いているだけ。でも、そのように教えることが外国語を続けるインセンティブになったと言います。

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最近では「教師と学生の差は3日間」だと言われています。自分で習ったこと・学んだことを、第三者に伝えることによって、自らも学んでいく。そういう独学の方法もあります。

通勤時間を使って勉強する、youtubeなどの動画を使って勉強する、検索ワードを駆使して、最新の論文を読むなど、現代では様々な勉強法があります。

もちろん、信憑性などを考えると書物のほうがはるかに高く、書物での勉学も必須だと筆者は述べていますが、より幅広く学ぶ方法としてインターネットを駆使した独学法を推奨しています。

大切なのは、ただやみくもにインターネットに頼るのではなく、自分なりに組み立て、体系化することで、より深く学ぶこと。ぜひ実践してみてください。

参考文献:『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』(野口悠紀雄、角川新書)
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[文]遠野蒼 [編集] サムライト編集部