結婚はコスパが悪い!?あなたのまわりにコスパ男子はいませんか?

コスパ男子って?

最近「コスパ男子」という言葉を耳にします。恋愛や結婚、仕事などすべてに対して「損得で考えるイマドキ男子」のことを指すそうです。こういった価値観を持つ人は徐々に増えてきているようです。背景には先の見えない将来に対する不安や、金銭的な事情がありそうですがどうなのでしょうか?コスパ男子について考えていきましょう。

結婚はコスパが悪い!?

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毎日新聞でも結婚に対してコスパで考える人のコメントが掲載されていました。

「結婚にはメリットがないと思うんです。だって、コスパが悪いですよね」。都内在住の公務員、佐々木健一さん(26)=仮名=は、コストパフォーマンス(費用対効果)の略語を使って、結婚しない理由を冗舌に解説する。「きれいでかわいい人といられるのはプラス。ただ、きれいというのは年々下がるし、特定の相手に一生縛られ続けるのはマイナス。2人分の生活費もかかる」毎日新聞 2015年05月06日より

若者の恋愛事情に詳しい「日本合コン協会」会長の絵音氏はこのように分析します。

「3組に1組が離婚する昨今、結婚への夢や憧れよりも、将来のためにリスクを少なくしようとした結果、コスパを重視するようになったのです。結婚しても、離婚してもお金はかかりますから。また、スマホやSNSの急速な普及が大きくて、特に恋愛においては自分の人生にリスクが高くなった。告白してフラれたり、別れた後も、SNSで“過去の汚点”が拡散されてしまう時代。しかも、ネットに出たら一生消えない。それなら、最初からしないというわけです」

引用元:日刊ゲンダイ

恋愛や結婚は何百年も前から、変わらず面倒くさいものだったはずなのに、なぜ今になってこういった価値観の人が増えてきているのでしょうか。おそらくこのコスパ至上主義の人たちが成長していく過程で「費用対効果」こそがもっとも重要な価値観なのだという強いメッセージを受けとるできごとがあったのではないでしょうか。

そしてこれは学校教育にも、その一因があるのではないかと思います。神戸女学院大学名誉教授で思想家の内田樹さんは今の教育の問題点についてこう語っています。

いかに少ない自宅学習時間で進級し、卒業し、あわよくば有名大学に入学し、学士号を手に入れるか、それが彼らの「知的価値」の賭け金である以上、「どうやってできるだけ勉強しないですませるか」ということが喫緊の課題となる。日本の子どもたちは日々死力を尽くして「勉強しないで競争に勝つ」ための工夫を凝らしている。そこにある限りの知的リソースを投じている。その前提には、「勉強をしないで競争に勝つ人間がいちばん賢い」という価値観が同学齢で共有されているということがある。

本来教育に持ち込まれるべきではない費用対効果という概念が持ち込まれたことで、お金にならないことに打ち込めるはずの学生期間がいつの間にか、最小の努力で有名大学に入学し、学士号をとるのかというゲームにすり変わってしまった。

この感覚で仕事や恋愛にもコスパという基準を持ち込んでしまう人がいるのだと思います。本人は賢く生きているつもりなのかもしれませんが、ちょっともったいないなと思います。

将来の予測は不可能

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コスパで判断する人は、自分は常に合理的な判断しているという部分がその価値観の拠り所なのだと思いますが、人間の人生で予想できるのはごく一部、予想できない部分がほとんどです。いろんな人の自伝を読んだり、先輩の話を聞いたりすればわかりますが、ほぼ99%の人が口をそろえて、10年前に今の自分は想像もつかなかったと言っています。

Microsoft日本法人の元社長、成毛眞さんは1社目に入った会社で転勤になった大阪があわなくて3年目で辞めて、アスキー出版に編集者として入社しました。ところが、すぐに、マイクロソフトという会社に出向してくれといわれ、インターネットも出てくる前だったのでかなり不本意だったそうです。

そこから最終的には日本法人の社長になってWindowsフィーバーが起こるわけですが、そんなこと新卒で入社するころにはまったく予想できません。医者や弁護士など資格が必要な職業を目指す人にはキャリアプランは必要だと思いますが、サラリーマンにはまったく意味がありません。成功者の8割は偶然で成功しています。

成功者の共通点

成功者の8割が偶然だとしたら、その人たちの共通点はあるのでしょうか?1つあげれるとすれば「楽しむ力」です。どんな環境でも、それなりに適応して目の前の仕事に取り組んで、そこで自分なりの面白さを発見していける人であるという点が共通しています。

コスパで何でも判断できると思っている人はこの「楽しむ」という部分を軽く見積すぎているので、将来後悔しないか心配になります。コスパを気にするよりも、どんな環境でも楽しむ力をつけることをおススメします。

[文]頼母木俊輔 [編集] サムライト編集部