コミュニケーションは医学だ!「自律神経に効く」伝え方

コミュニケーションの大前提は「自律神経」

私たちの言葉遣いや機嫌、感情などの多くが自律神経によって左右されていることをご存知でしょうか。自律神経は睡眠時の呼吸や体温調節や反射的な動作など、様々な体の機能の中枢です。実はこの自律神経のパフォーマンスが崩れるほど私たちはイライラし、誰かに厳しい言葉をぶつけてしまったりするのです。

ここではどのようなメカニズムで自律神経が私たちのコミュニケーションを変化させるのかを始め、どうすれば自律神経のパフォーマンスを維持しながら自分の考えを伝えられるのかを解説します。

自律神経は伝え方にどう影響するのか?

自律神経の最も重要な役割の1つに、全身の血流のコントロール機能があります。すべての血管に沿うように張り巡らされており、必要に応じて血管を収縮・弛緩させる機能です。

しかし自分がネガティブな言葉を使ったり、他人から不快なことを言われたりするとこの機能は簡単にバランスを崩してしまいます。必要以上に血管を収縮させて血圧を上げたり、逆に血管を必要以上に緩めて血圧を下げすぎてしまうのです。

例えば上司に理不尽に怒鳴られてイラっとすると、たちまち自律神経は興奮状態(血管を収縮し、血圧を上げる)になります。

その状態が続くといずれ頭の血流が悪くなり、酸素が行き渡らなくなるため、頭がぼーっとしたり、呼吸が浅くなっていきます。すると余計に感情的になり、怒りや悲しみがエスカレートしていくのです。

自律神経を機能不全にさせる8つの要素

She'll find the solution soon...she always does

「感情的になる→自律神経のパフォーマンス低下→血流が悪くなる→余計イライラする」というこの悪循環は、感情的な発言や行動によってさらに加速してしまいます。これを防ぐには、まずどんなことが自律神経の機能不全を起こすのかを知っておかなくてはなりません。それが以下の8つの要素です。

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自分の状況を客観的に把握すると、急に冷静になれるものです。これは低下していた自律神経のパフォーマンスが状況を把握することで回復するからです。

普段の生活から言葉を発する前に、8つの要素のうちどれかの悪影響を受けていないかを考える習慣をつくりましょう。そうすれば感情的な発言によって自律神経が作り出す悪循環を加速させないで済みます。

自律神経は「ゆっくり話す」で整える!

Young woman talking on a date with mature man - sitting outdoors

8つの要素のうち、いずれかの悪影響で自律神経が機能不全を起こしてしまったら、真っ先に意識するべきは「ゆっくり話す」こと。これは最も効果的で、かつ取り入れやすい「自律神経に効く伝え方」です。

感情的になると人は早口になります。すると呼吸が早く、浅くなり、脳に酸素が行き届かなくなります。正常な判断ができなくなった脳で話せば、言い間違いや無意識の誇張などもしてしまうでしょう。話してしまった後でそれに気づけば「やってしまった!」という焦りで自律神経の機能不全に拍車がかかります。

早口の悪影響は話す側に対してだけではありません。早口で話されると聴く側も話を聴き取るために緊張状態になり、自律神経のパフォーマンスを低下させます。

はじめのうちは集中できますが、すぐに脳の酸素が足りなくなり、結局話の内容をうまく理解できなくなるのです。感情的な伝え方で伝えられるのは「自分が感情的になっている」という事実だけです。

しかしゆっくり話すとこれらの問題は一挙に解決できます。第一にゆっくり話すと呼吸が早くならず、第二に言葉を選べるので言い間違いなどの失敗も防げます。第三に聴く側もリラックスして話を聴くため、警戒心が解け、信頼感が生まれます。ゆっくり話すだけで双方の自律神経を整えられ、感情的になるよりも正確に多くの情報を伝えることができるのです。

自律神経を整える10の方法

一度低下した自律神経のパフォーマンスをできるだけ早く元どおりにする方法は「ゆっくり話す」以外にも9つあります。

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参考『自律神経を整える 人生で一番役に立つ「言い方」』 CHAPTER3

この中で最も取り入れやすいのはゆっくり話すことですが、「これならできそう」というものがあれば日常的に取り入れてみましょう。

ここで重要なのは、ちょっとした出来事から練習することです。練習を積んでいない状態で大きく感情が揺さぶられれば、あっという間に悪循環に陥ってしまいます。「信号が変わらない」「コーヒーで火傷した」程度のトラブルから練習を積んでいるからこそ、とっさの対応ができるのです。

自律神経を制するものは伝え方を制す

コミュニケーションの技術をいくら磨いたところで、それを左右している自律神経をコントロールできなければ効果は半減です。しかし自律神経をコントロールできていれば、頭の中で「どうやって伝えようかな」と判断する余裕が生まれます。

そうなれば交渉ごとや人間関係がいかにスムーズになるか、想像するのは難しくないはずです。まずは「いつもよりゆっくり話す」から取り入れてみましょう。

参考文献『自律神経を整える 人生で一番役に立つ「言い方」』
Career Supli
不規則な生活やハードワークで自律神経が乱れている人も多いと思いますが、ゆっくり話すことはいますぐ実践できるので、是非試してみてください。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部