キャリアアップや転職を考えたときに「自分の能力をどう伸ばせばいいか?」「自分の市場価値は?」「転職活動で具体的にアピールできるスキルは何か?」といったことが気になる方は多いことでしょう。ビジネスにおける自分の価値を高めたいと考えている方のために、本コラムでは「自己研鑽」についてわかりやすくまとめています。
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自己研鑽の意味とは
自己研鑽の読み方は、「じこけんさん」です。自己研鑽には、自分自身のスキルや能力などを上げ、ブラッシュアップさせるという意味があります。辞書には、自己研鑽という言葉はなく、自分自身を表す「自己」と、学問などを深くきわめることを表す「研鑽」とを掛け合わせた言葉です。
一般的に自己研鑽という言葉は、一時的なものではなく、継続的なものに対して用いられます。言葉の使い方としては、「自己研鑽に励む」「自己研鑽を深める」「自己研鑽を積む」などの言い方をします。ビジネスの場面では、自己研鑽はスキルアップやキャリアアップのために、自分の知識やスキルをブラッシュアップさせる行動を指します。
自己研鑽と自己啓発の違い
「自己研鑽」と同じか、それ以上によく耳にするのが「自己啓発」という言葉です。
自己啓発とは、ブリタニカ国際大百科事典によると、「仕事に関する知識、技能、経験などを他律的な形式に支配されずに自主的に向上していくこと」とあります。簡単に説明すると、自分自身をステップアップさせるための自主的な行為を言います。
どちらも自分自身のステップアップ、という意味では同じですが、自己啓発する上での方法の1つとして自己研鑽があるとイメージするとわかりやすいかもしれません。
【引用元】自己啓発とは – コトバンク
自己研鑽をするメリット

ビジネスにおいて自己研鑽をするメリットはたくさんあります。以下で見ていきましょう。
スキルが向上する
自己研鑽はスキル向上に大いに役立ちます。仕事に関するスキルは継続的な学習が欠かせません。それは特別な技術や専門知識だけでなく、コミュニケーションスキルといった日常的に必要になるスキルも同じです。自己研鑽により自身のスキルが向上すれば、業務に幅も出やすくなりますし、スキルの向上が新しい分野での活躍に結びつくこともあるでしょう。
またコミュニケーションスキルが向上すれば、円滑な人間関係を築きやすくなります。自分自身のすでに持っている知識や技術の向上を目指したり、特技を伸ばしたりするのはもちろん、必要だけれどいまだ得られていない知識や、苦手分野についても自己研鑽することによって、プラスの効果が生まれるでしょう。
視野が広がる
自己研鑽に励むことによって、視野も広がっていきます。
たとえば、知識が増えスキルがアップすると、それだけ仕事もスムーズに進みますし、それまで思いつかなかったアイデアも浮かびやすくなるでしょう。また、何かトラブルにあったときも、問題を探るプロセスが効率化され、多くの選択肢を取れるようになります。
転職の強い武器になる
自己研鑽に励むことは、転職を視野に入れている人にとっても強い武器となります。自己研鑽によってスキルが向上し、特別な技術や専門知識が身につけば転職時の強みになります。新たな職場ですぐに業務を進めていける、コミュニケーション力を持った人材も重宝されるでしょう。
また、自己向上に積極的に取り組む姿勢も評価されやすいので、転職においては有利になると言えます。自己研鑽の積み重ねは希望する転職をかなえ、結果的に年収やキャリアアップにもつながる可能性があるのです。
自己研鑽の具体例
それでは、どうやって自己研鑽を深めていけばいいのでしょうか。具体的な例を見ていきましょう。
書籍から学ぶ
スキルアップしたい分野を書籍から学ぶというのが1つの方法です。
専門書には値段が張るものもありますが、それでもスクールなどに通うよりは低コストですし、自宅でのスキマ時間に自分のペースで進められるのもよい点です。また、通勤時間なども有効に使えます。いろいろな書籍を参考にしたい場合は、図書館を利用してみるのも一つの手です。無料でたくさんの本に触れることができ、こういった本を探したいなどのリクエストにも応えてもらえます。気軽にレファレンスサービスで相談してみましょう。
新聞を読むのも知識を蓄える上では有効です。一見仕事とは関係のない記事でも、のちのち仕事をする上でつながってくることもあります。興味や関心のない紙面もできるだけ目を通すようにしましょう。
自己啓発本などは、すべてを取り込むというより、自分自身にとって有益なものを取捨選択していくと効率よく自己研鑽していけるでしょう。
インターネットの情報から学ぶ
インターネットの情報から学ぶというのも手軽に自己研鑽できる方法です。さまざまな記事を網羅的に閲覧できるので、多角的な考え方や情報から学ぶことができます。なかにはお金を払ってもいいと思えるような有益な情報が見つかることもあります。
知りたい情報をすぐに検索できるので、わからないことがそのままにならずにすむのも、インターネットを使って学習するメリットでしょう。
また、インターネット上の情報を見ることは市場リサーチにもつながります。ニュースサイトやアプリを定期的にチェックして、今何が起きているのか把握しておきましょう。今何が起き、どんなものが流行っているのか、何が好まれる傾向にあるのかといったことは、こうした日々の何気ない情報収集の中からこそ得られます。
ただ、信憑性の低いものや間違った情報が事実として流用され、多くのサイトに掲載されているというケースもあるので、きちんと見極めなければなりません。論文や公的機関のデータなど、確かなソースに当たることで、情報を精査する能力の向上も見込めます。こちらも書籍同様、通勤時間を利用できるのもポイントです。
ビジネススクールに通う
「明確にキャリアアップしたい分野がある」「しっかりと勉強したい」「何か資格を取りたい」という方は、ビジネススクールに通うのもよいでしょう。ビジネススクールなら、講師から専門的な知識を吸収できるので、独学で勉強するよりも効率的と言えます。
スクールの中には、オンライン受講できるものもありますので、通う時間がなかなか取れないという人は、こちらも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
セミナーや交流会へ参加する
男女年代問わず、さまざまな社会人の集まるセミナーや交流会に参加するのも自己研鑽に役立ちます。情報交換ができるだけでなく、知らなかった分野などを知る機会にもなり視野が広がります。また、自身がキャリアアップするための指針がそこで見つかることもあるかもしれません。
オンラインで開催されているものもありますので、そういったものから気軽に参加してみるのもオススメです。まずは、気になる企業がセミナーを開催しているか調べてみてはいかがでしょうか。
資格を取得する
資格取得を目指すのも自己研鑽につながります。目標が明確になりますし、資格を取得することによってスキルアップはもちろん、キャリアアップにも役立つでしょう。また、転職時の面接では、資格をアピールすることによって、自分が持つ知識や技術力を面接官に明示できます。
何より、資格を取得することによって、スコアや賞状などの目に見える結果が手元に残り、自信につながります。独学でもよいですし、スクールで勉強するのもよいでしょう。通信で受けられる講座などもありますので、自分の希望やスタイルに合うものを探してみてください。
自己研鑽を行うときのステップ

ここでは自己研鑽を行うときのステップについてご紹介します。具体的に何をすればよいのかわからないという方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
①自分を分析する
まずは、自己分析することが大切です。就職活動や転職活動で何度かやった覚えのある方も多いかもしれませんが、あらためて自分を分析してみましょう。自分の得意分野・苦手分野、長所・短所、好きな業務・嫌いな業務などを細かく分析していくことで、自分が何に興味があって、どのような業務を得意としているのかが見えてきます。
信頼のおける上司や同僚、後輩、また家族、友人などに客観的な意見を求めてみてもいいかもしれません。そうすることによって、今まで自分が気づいていなかった長所が見えてくることもあります。
自己分析を通して、どのようにスキルアップしていけばよいのかが明確化されるので、目標の指針も立てやすくなります。得意な分野は伸ばして、苦手分野はできるようになるのが理想です。
②目標を明確にする
自己研鑽を重ねて自分がどうなりたいのか、目標を明確にすることも大切です。
目標が明確にできたら、それを達成できたときの自分の姿をイメージすることによって、モチベーションの向上を見込めます。目標に向けてやるべきことやその手段を考え、リストアップするのも有効です。
目標は、段階別にできるだけ細分化して、小さい目標と大きい目標を据えておくと、達成感につながります。また、目標を達成してから、何をしていきたいのかも考えておくとよいでしょう。
③行動と改善を繰り返す
書籍やインターネットなどで情報を収集するのも大切ですが、それと同様に行動することも大切です。インプットした知識が使えるものかどうか、必ず行動に移してみましょう。実際に蓄えた知識を活かして行動すれば、はじめてそれが自分の糧となります。
行動してたとえ失敗したとしても、なぜ失敗したのか、今後失敗しないようにするにはどうしたらよいのかを考えることが、自分自身の成長に寄与します。失敗は成功のもと。失敗を恐れずに積極的に行動していきましょう。
インプットとアウトプット、どちらも欠かさずに行っていきたいものです。
自己研鑽に励むことで、転職してキャリアチェンジも可能
自己研鑽を積むことで、転職もしやすくなります。自己研鑽することによって、スキルや知識が身につけば、転職時の書類作成や面接時に自己PRすることが可能となります。また、その際は、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談するのもオススメです。
自己分析や目標設定など、転職のプロにアドバイスをしてもらいながら自己研鑽することで、独力で行うよりも効率的なスキルアップが見込めます。また、転職先の企業に合わせたアピール方法を教えてもらうことも可能です。積極的にこういったエージェントも活用していきましょう。
まとめ
自己研鑽は、一度にたくさんのことを学ぶのではなく、コツコツと積み重ね常に自分を高めていくことです。漫然と日々の仕事をこなすだけでなくビジネススキルを高めていきたいなら、地道な努力はもちろんのこと、自己分析や着実な目標設定が欠かせません。目標に向けて日々の自己研鑽でスキルを磨いたり、新たな資格を取得してみたりするのもいいでしょう。
さらなるキャリア向上を目指し、転職を考えるなら転職エージェントを活用してみるのもオススメです。積み上げた努力や、ハイレベルな知識を活かせる自分に合った職場を提案してもらえます。客観的な視点から相談に乗ってもらえるので、自己研鑽をさらに深めることもできるかもしれません。
ぜひキャリアアップや転職の成功につなげてください。