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バッシングを受け続けてもなお自由でいる方法
マスコミからは叩かれ続け、インターネットで炎上を起こし続けても、なお「大放言」を止めない作家・百田尚樹さん。普通の人間なら発言を控えたり、下手をすれば心を病みかねない状況にもかかわらず、なぜ彼はどこまでも自分を貫けるのでしょうか。ここでは著書『鋼のメンタル』から、百田さんが実践している最強のメンタルコントロール術を紹介します。
凹むときは凹み切れ
百田さん曰く「自分は精神的に強いとは思っていません」。というのも百田さんは失敗すればくよくよし、嫌なことがあればやる気をなくし、我慢することを知らない性格なのだそうです。
本が売れなければ落ち込んでしまい、家の中ではただ無気力にソファーの上に倒れ込んでしまうこともしばしば。少し元気が出てくれば家族に愚痴や弱音を言いまくっています。
しかしこの一連の流れが、百田さんのメンタルがぽっきり折れてしまわない秘訣なのです。心が弱っている時に無理に頑張ろうとしたり、愚痴や弱音がたまっているのにそれを吐き出さずにいると、どんなに強靭なメンタルでも耐え切れません。
これは強靭な金属が負荷をかけられ続けてあっけなく折れてしまうのに似ています。そうならないために百田さんは、耐え切れないようなストレスが加わったとき、あっさりと凹んだり、愚痴や弱音として吐き出す、というわけ。
このやり方においては愚痴や弱音が吐けるようになることはネガティブな現象ではなく、むしろ回復期に入っているサインとなります。それに気づいたら、これでもかというほど吐きまくりましょう。
運が悪いのか?それとも良いのか?
「ついてないなあ」そう思うことは誰しも日常的にあるはずです。自称「特に精神力が強いわけではない」百田さんも、同じような心境になったことがあります。それは黄斑円孔という病気にかかったときのことです。これは近年になってようやく手術法が確立した、失明の危険もある病気です。
百田さんはこの黄斑円孔の手術前に、知人の女医さんに病気の悩みを例のごとく愚痴りました。悩みに同調して欲しかったのです。しかし女医さんが返してきた言葉はこんなものでした。
「ふーん、まあ失明しなければいいね」
女医さんがこんな風にそっけなくあしらったのには彼女なりの哲学がありました。それはつまり「黄斑円孔になったことが不幸なこと、不運なことだと思うかもしれない。
でも黄斑円孔を筋ジストロフィーや肺がんと取り替えられると言われたらそうするのか?病気になった原因の半分は運みたいなもの。受け入れるしかないんだよ」というわけです。
この出来事以来百田さんは仕事や人間関係だけでなく、病気でさえも運次第であり、受け取り方しだいで幸運も不運も決められるのだと悟ったのだとか。悩みの多くはこのように「悩んでもしょうがない、受け入れるしかない」ものです。それをどう捉えるかでメンタルにかかる負荷は大きく変わってくるのです。
「他人の目」を受け流す技術

橋下徹元大阪市長は百田さんに負けず劣らずのバッシングを受けながら、これといったスキャンダルもなく前線を退いたツワモノです。そんな橋下元市長は百田さんから「どうしてそんなにバッシングを受けているのに、相変わらず発言をオブラートに包まないのですか?」と尋ねられて、こう答えたのだそうです。
「周囲を気にして言いたいことを言えない人は、もしかして、自分を特別な人間と考えているんじゃないでしょうか」「自分なんか所詮たいしたことのない人間だと割り切れば、何を言ってもどうってことないと思えるはずですよ」
引用:前掲書p110
自分の言動が誰かに大きな影響を与えてしまうのではないか、と悩むことは橋下元市長に言わせれば自意識過剰だというわけです。百田さんもこの考えには大いに納得し、自由に発言するためには重要な考え方だとしています。
もちろん「自分は特別な人間ではない」と居直って他者を傷つけてはいけませんが、自意識過剰になって自分のメンタルを消耗していては本末転倒です。他人の目が気になりすぎたら、この考え方を思い出しましょう。
「謝罪と訂正」はどんどんやれ
ハンス・クナッパーツブッシュという1800年代生まれのクラシック指揮者がいます。あまりメジャーな指揮者ではありませんが、その演奏は高い評価を受けています。ある時、クナッパーツブッシュが演奏中に指揮を間違えて、演奏が混乱したことがありました。
聴衆は指揮の間違いなどわかりませんから、演奏者のミスだと思います。それを知っていたクナッパーツブッシュはすかさず大声で「間違ったのは俺だ!」と言ったのだそうです。
百田さんはこのクナッパーツブッシュのエピソードを引いて、自分の非をきちんと認め、すぐに謝罪と訂正ができる人間に人望が集まるのだと言います。またそういう人間は多少のミスやそれに伴う謝罪・訂正などでは揺るがない「本当のプライド」を持っている、とも言います。
逆に本当のプライドがなく、謝罪と訂正をすれば自分が否定されたり「負ける」と思っているような人間には、決して人は惹きつけられません。ちっぽけなプライドを一生懸命守っているだけの、器の小さい人間だとみなされるからです。
こちらに非があるのならば積極的に謝罪し、訂正しましょう。それが鋼のメンタルを身につける道です。
自己啓発は1日してならず
自己啓発セミナーに行った後はやる気に満ち溢れていたのに、しばらく経つと以前の通りの自分に戻っていた……。こんな経験は大なり小なり誰しもにあるはずです。
しかしそれは当たり前。これまで何年、何十年もかけて培ってきた「自分」が二時間やそこらのセミナーでがらりと変わってしまうなんてことはありえません。百田さんはダイエットや筋トレと同じように、自己啓発も少しずつの積み重ねが必要不可欠だと言います。
自己啓発セミナーや自己啓発本で「自分の中のほんの少しだけの変化」を積み重ねて、何年もかけて自分を変えていく。それこそが持続可能なパフォーマンスにつながります。
そのため「また変われなかった」「相変わらず自分のメンタルは弱い」と落ち込む必要はありません。そうして挫けるたびに、自分が少しずつ変わっているのだと思えばいいのです。
逆に言えば時間をかけて新しい自分を作り上げれば、多少のことではビクともしない自分ができあがります。何年もトレーニングし続けた筋肉が1週間休むだけで無くならないのと同じです。
「自己啓発は1日してならず」これを肝に銘じて、自己改革に臨みましょう。
強靭なメンタルを鍛え上げろ
自己啓発と筋トレが似ているように、メンタルの強度と筋トレも同じです。百田さんのように自由な発言が原因であらゆる方向からバッシングを受けても、なお自由であり続けるためには、耐えられる程度の苛酷な状況に自分のメンタルを追い込む必要があります。
確かにその時々は辛いかもしれませんが、ここで挙げたようなメンタルコントロール術を駆使していれば徐々にメンタルの強度は高まり、強靭なメンタルを作り上げることができるはずです。自分の理想のメンタルを目指して、今日も自分を追い込みましょう。
参考文献『鋼のメンタル』
