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コミュニティとは?
近ごろあらゆる場面でこれからのビジネスのキーワードとしてコミュニティという言葉を耳にすることが増えてきました。
コミュニティを広辞苑で調べると「一定地域に居住し、共属感情を持つ人々の集団」とあります。
SNSによって一定地域を超えて繋がれるようになったので、共属感情を持つ人々の集団=コミュニティと考えて良さそうです。
誰もが必ず複数のコミュニティに所属しているので、感覚的にコミュニティの重要性は理解できると思います。
でも、それがビジネスとどう繋がるのか説明できますか?そして、コミュニティはどうやって作ればいいのでしょうか。
この疑問に一番うまく答えてくれそうな人物にインタビューをさせていただきました。
SNS時代の申し子
今回コミュニティについてお話を伺った人物はキャリアサプリではおなじみの、短パン社長こと、奥ノ谷圭祐さんです。※過去記事はコチラ

短パン社長はアパレルメーカーの代表で2014年からSNS、BLOGのみで発売するオリジナルブランド「Keisuke okunoya」を立ち上げ、これまでの累計売上は3億円と驚異的な数字を記録しています。
現在は洋服に限らず、カレー、コーヒー、お米などの販売も手がけています。そんな短パン社長の周りには強烈なコミュニティが形成されています。
なぜそんなことが可能なのか、その理由を探るために今回は『短パンビール部』という謎のコミュニティの合宿に、本メディアの編集長である頼母木(以下モギー)が単身で参加してきました!
お酒の力を利用して、普段は聞けないコミュニティに関するリアルな話が伺えましたのでご覧ください。
コミュニティはバズワード
モギー:まず、ビール部のみんな、よく飲みますね(笑)平日の木曜なのに、長野県の白馬まで1泊2日で40人も集まるってありえないですよね。
短パン社長:ヤバいでしょ。40人どころか、70人の応募があって条件に合わない人を30人落としているからね。僕の仲のいい友達も来れてません(笑)
ビール部員に参加できる条件の一部を紹介すると
・ 毎日でもビールを飲みたい人、いや。むしろ飲んでる人
・ 休肝日って何?それって美味しいの?って思ってる人
・ とりあえず生ビールで、結局最後まで生ビールになった事がある人
こんな感じの厳しい条件が20ぐらいあって、それをくぐり抜けてきた精鋭メンバーです(笑)

ハンパじゃなくお酒が強かった!女性参加者の皆さん
モギー:しかも参加者の方にお話を聞くと、経営者の方や自分でお店をやられている自営業者の方など、忙しそうな人たちが多いですよね。
短パン社長:うん、そうなのよ!北は北海道から南は長崎、全国各地から仕事や家事をお休みして、この短パンビール部のために集まってるからね。
モギー:SNSなどを通じてオクノヤさんのコミュニティが盛り上がっているのは認識していましたが、ここまで濃いメンバーが集まっているとは想像していなかったです。

なんちゃってコミュニティだらけ
最近、世間では盛んにコミュニティが大事だと言われていますが、この流れをどのように見ていますか?
短パン社長:いきなり確信くるね!あれはね、だいたいコミュニティになってないです。クソです、なんちゃってだね。
ただの友達ごっこだし、ただのボランティア活動。
もっというとSNSで人と繋がりやすくなっちゃったから、学生時代や社会人なってからも特に目立たなかった人たちが、なんかコミュニティが盛り上がってるんでしょってワラワラ集まっているみたいなのが多いよね。
モギー:あー確かにそういう人たち、いるかもしれません(笑)
短パン社長流 コミュニティを成功させる7ヶ条
モギー:じゃあ、本物のコミュニティとそうじゃないものはどこが違うんですか。コミュニティを成立させるためのポイントってどんなことですか?
短パン社長:まずは第1に「これをみんなでやったら楽しそう!」からスタートすることだよね。
最初から「コミュニティを作ろう」って思ってないっていうところが大事な気がするな。
過去にやった短パンゴルフ部も、短パン田植え部も、最初からコミュニティをつくるぞってやってないもん。知ってるでしょ、短パンゴルフ部!あの強烈なヤツ。
モギー:はい、わかります(笑)

短パンゴルフ部コンペ
短パン社長:短パンゴルフ部は、仲のいい3人からスタートしたんだよね。同じ衣装で3人でプレイしたら、ゴルフ場でめっちゃ注目されて、俺たち周りからどう見られてるんだろうねって盛り上がったの。
これ、もっと大人数でみんなやったら楽しそうだなと思って。2016年の第1回目が25~26人で、去年(第2回目)の参加者が40人ぐらいかな。
その次に仲良しの社長さんから、短パン米を作りませんかっていうお話をいただいたんですよ。

短パン田植え部
ただお米を売るだけじゃ面白くないから、田植え、稲刈り、脱穀を自分たちでやったら面白そうだと思ってみんなで短パン田植え部をやったらこれも盛り上がった。それで今回のビール部でしょ。
だから、これをみんなでやったら楽しそうからスタートして、そこにコミュニティが生まれるっていう順番だよね。
モギー:はい、実際に参加すると、そのワクワク感を凄く感じます!
短パン社長は性格のいいジャイアン?

短パン社長:そして第2に「コミュニティのシンボルになる人物がいること」だよね。主催者にリーダーシップ、まとめる力があることが重要です。
主催者がちゃんと実績がある人かっていうのが大事。だから本業で実績がない人がやっているものを勝手にコミュニティって呼ぶなよ!って思ってる。
モギー:これも今回ビール部に参加してみて、オクノヤさんがいかにみんなから愛されているかがよくわかりました。
みんながオクノヤさんのことをどう思っているのか知りたくて、何人かに「オクノヤさんって体が大きくて、えばっているけど気づかいもできる、性格のいいジャイアンみたいな感じですか?」って聞いたら、かぶせ気味に「全然違います」って。
むしろ、ちょっと怒られました(笑)全然ジャイアンじゃなくてもっと優しくて温かい人ですって。

短パン社長:そうなんだ、ウケるな、それ(笑)
継続した発信が信頼を生む
短パン社長:第3のポイントとしては「クオリティに対する信頼があること」だね。
いままで毎日発信し続けているから、ちゃんと俺が結果出していることとか、カレーが好きなこと、ビールが好きなこと、うそ偽りがないことをみんな知っているんだよね。

だから信頼してもらえるし、メンバーは全部俺がチェックしているから素性の分からない人は入れない。オクノヤさんのやることなら間違いないって思ってもらえることが重要だよね。
モギー:確かにコミュニティのクオリティに関する信頼は大事ですね。なんかコミュニティと呼ばれるものの中には、ある種の気持ち悪さを感じるところもありますよね。
短パン社長:でもね、それで言ったら短パン田植え部やビール部も客観的にみたら気持ち悪いと思うよ。
オレの作ったブランド「 KEISUKE OKUNOYA 」もいい大人がみんなで同じサングラスかけてるんだよ(笑)
でも気持ち悪いって思われることは、俺はある意味、良い事だと思ってる。

OWNDAYS SUMMITにて
ただ、モギーが実際に会ってみて、なにこの人、絶対しゃべりたくないなんて思う人いなかったでしょ(笑)それが大事だよね。
モギー:はい(笑)みんなすごく感じが良くて、誰も知ってる人がいない自分をとても歓迎してくれました。あと、参加している人たちそれぞれの発信が活発なのでそれがすごく刺激になりました。
楽しいだけでは意味がない

短パン社長:みんなそれぞれ自分のビジネスを頑張っている人たちだからね。これが第4のポイントになるんだけど「ビジネスとして成立していること」だね。
ただの仲良しの集まりだけだったら意味がなくて、それでちゃんとビジネスができるかどうかっていうのはもの凄く大事なわけですよ。
KEISUKE OKUNOYAを買ってくれている人や部活に参加してくれている人たち、あれは、みんなお客さんじゃなくて友達だよね。でもオレの商品を買ってくれてるからお客さんっていう関係。伝わってる?
だから、KEISUKE OKUNOYAはクレーム、返品もほぼないし、デザインが決まる前に何かしらの商品を発表するだけで注文が入るんだよね。
モギー:今回のビール部もいくらぐらいお金がかかるのか、分かる前にみんな申し込んでましたね。申し込んでも審査で落とされる人もいましたけど(笑)
短パン社長:うん、そういう人しか参加してないのよ。そして、みんな喜んで参加してくれているけど、参加してくれている人たちも、あー楽しかったーだけじゃ意味がないんだよね。
自分が体験して良かったと思う事を今度は自分のビジネスに反映させていかないとダメ。
自分の会社やお店に置き換えた場合、自分だったらそれをどう生かすか、落とし込めるか。実際みんなオクノヤさん(※奥ノ谷社長は自分の事をこう呼ぶ時があります。)から学んで行動してるってこと。
モギー:はい、オクノヤさん以外の参加者の人たちが、SNSで普通に商品をバンバン販売しているのを見て、衝撃を受けました。こういう事が普通に行われてるんだなーって。
参加意識を高める

短パン社長:第5のポイントは「主催者、参加者の双方がリスクをとること」だね。
参加する側もリスクをとっていることが大事。ビール部はオクノヤさん御用達のホテル五龍館の宿泊費と長野までの往復の交通費とパーカー代金(原価)がかかるからね。2日間仕事できないしね。
主催者のオレも事前にビールを2,600本つくることを決めているからそのリスクを取っているんですよね。
そうやってお互いリスクをとって参加することでいい緊張感も生まれるし、参加意識も高まるよね。
モギー:はい、みんな限界までひたすらビールを飲み続け、心の底から楽しんで楽しんでますよね。飲みたいだけなのかもしれませんけど(笑)
どこに向かう集団なのか?

短パン社長:第6のポイントは「明確なゴールを共有すること」。
短パンビールを友達や彼女、家族、お客さまにも飲ませたい自慢したい。みんなでオリジナルビールを完成させるという目標があるとモチベーションが高くなるよね。
同じ目標に向かって動くことで団結意識が生まれるっていうのはすごく大事。
モギー:そうですよね、明確なゴールがないと参加者の目的もバラバラになりそうですね。

6月完成予定の短パンビール( デザイン案です)
短パン社長:そして最後、第7のポイントは「おしゃれなユニフォームをつくること」だね。
これ、めちゃくちゃ大事だと思ってるんだよねー。やっぱり洋服作ってる会社の社長だし、一応(笑)おしゃれっていうことが大事だよね。しかもそれは部活に入った人しか買えない限定アイテムだからね。

ユニフォームを着ることで一体感も生まれるし、その写真がSNSでバンバン拡散されて、参加できなかった人は次こそは自分も参加したいっていう気持ちになると思うよ。
モギー:実際に着てみてわかったんですが、みんなと同じユニフォームを着て参加することがこんなに楽しいとは思いませんでした。
確かにおしゃれっていうのが重要ですね。しょぼいデザインのTシャツだったら一気にテンションが下がりそうです。
行動している人はしてる
短パン社長:以上が、オクノヤ流のコミュニティを成功させる7ヶ条かな。もちろんどういったコミュニティをつくりたいかによって変わってくる部分はあるけど、だいたいオクノヤさんが正解です。
アパレルや飲食業、それ以外の業界も衰退していると言われているけど、その中でも衰退していない人はいて、ちゃんと行動して結果を出していると思うんだよね。
これからは市況はもっと厳しくなっていくので、資本力がある大企業か、オレみたいな発信力のあるマニアックな企業しか残らない時代になると思う。
中小企業、またはもっと小さい会社やお店は、どうやって自分たちのコミュニティを作っていくかを真剣に考えた方がいいと思う。何度も言うように「なんちゃって」じゃなくってね(笑)
モギー:そうですね。ここまではっきりとコミュニティのつくり方を丁寧に説明してくれる人はいないので、これからコミュニティをつくりたいと考えている人にとってとても役立つ内容だと思います。ありがとうございました!
短パン社長流 コミュニティを成功させる7ヶ条 まとめ
1.「これをみんなでやったら楽しそう!」からスタートすること
2.コミュニティのシンボルになる人物がいること
3.クオリティに対する信頼があること
4.素性の分からない人は入れないこと
5.主催者、参加者の双方がリスクをとること
6.明確なゴールを共有すること
7.おしゃれなユニフォームをつくること
