100万の月収より、モナコでの体験よりも・・・仕事はワクワクで決める –リグナ小澤良介の「好き」で食べていく主義【後編】

「好きを仕事にする」仲間の集め方

デザイナーズ家具のオンラインショップやインテリアショップ(直営店舗)の運営をするリグナ㈱代表取締役の小澤良介氏。

前半のインタビューでは、「好きを仕事にする」と決断するにいたった経緯や、方法論について伺いました。後編では、「好きを仕事にする」仲間の集め方について伺います。

楽しんで仕事していることを伝える

DSC_0222

– 組織のお話が出たので、小澤さんの「好きを仕事にする」仲間の集め方について教えていただけますでしょうか?

小澤:当然ですが、まず企業やサービスが認知されなかったら人は集まってこないので、自分たちの存在を、どのように知ってもらうかということを考えます。そして、自分たちがワクワクして仕事してるんだぜ、というところをいかに伝えるかですよね。

一般的な求人は力を入れるところが、いかに良い仕事してますとか、こんな商品扱っていますということを頑張って広告するところが多いんですが、自分たちの働いているスタンスとか、働いている人の気持ちを公開しているような会社ってまだあまり多くないですよね。

「ワクワクの固まりだぜ、俺たち」みたいな、そういうのをうまくやれているのが例えばカヤックだったりとか、われわれも多分その1つかなと思っています。そういった、見ているだけでワクワクするみたいな、自分たちのオリジナリティと言うか、メンタルな部分をどんどん公開することが非常に重要だと思います。

スタッフブログの立ちあげもかなり早い時期からやっていますし、リグナの商品コメントなども見ていただけると、めちゃくちゃ遊び心に富んでいて、本当に家具が好きな人が書いているんだなと伝わると思うんですよ。

そういう、こいつら絶対楽しんで仕事しているなというところを、いかにじょうずに見せるかということ。この部屋のような空間や一緒に過ごす時間もそうですし、ワクワクの見せ方、伝え方はいろんな方法がありますよね。

– そういうのをうまく出来ている企業はまだ少ないですね。ポイントはどこにあるのでしょうか?

小澤:くすっと笑えるぐらいの笑いのセンスは、企業にこそ必要だと思います。吉本のお笑い芸人さんみたいな要素が、何で企業にないんでしょうか。あまりみんな笑えるようなことをやりたがらないじゃないですか。

必要以上に、会社はマジメでなければいけないといった固定概念に囚われている部分があるのかもしれません。だってもう、僕の本や今日のインタビューでも、“ワクワク”って言葉がいっぱい出てきたじゃないですか。ワクワクする時間に笑顔が皆無なんてありえませんよね。

だったら、いかに笑顔を創出していくかというのも、企業の価値として大事な部分ではないでしょうか。

だからリグナのサイトは、笑いの要素がいろんなところにあります。LIGと共同で、200万かけて勝手にお部屋改造みたいな企画もやりました。もちろん批判の声も出るわけですよ。気にしちゃだめなんですよ、そういうの(笑)。

キーマンとの出会い

DSC_0259

– 小澤さんの書籍の帯にもコメントを寄せられていた、楽天の副社長、島田亨氏はリグナの取締役もやられていますが、どのようなきっかけがあったのですか?

小澤:昔、自分の家でパーティーというか、何人かで集まって飲んでいたときに友だちが「ちょっと面白い人呼ぶから」と言って遊びに来たのが島田さんでした。

インテリジェンスの創業メンバーということを全然知らず、島田さんは当時「無職です」と言っていて、まあ「ちょっと投資家みたいなこともやってる」とも言っていたので、「へー」って(笑)

けっこうフランクに、肩とか組んじゃってイエーイとかやってしまい、もうフランク過ぎて逆に島田さんは笑っていましたけど。

後日、会いに行きお話をさせていただいて、すごい人なんだということがわかりました。そのときに家具のオンラインサイトを立ち上げる準備をしていたので、こんなのやろうと思っているんですけど、どう思いますかって聞いたら「いいんじゃない」と言っていただいて。「じゃあ、役員になってください」とお願いしたら、二つ返事で承諾していただけました。

– すぐにアクションをおこすことの重要性を感じるお話ですね。

小澤:そしてある時、島田さんから話があると呼び出されて、「実は俺、楽天球団の副社長になるかもしれない」と言われ、いったいこの人は何を言ってるのかと、驚愕しました。その後、球団のオーナーに就任された時期もあり、さらに驚きましたけどね(笑)

実は球団への就任をきっかけに楽天グループの役員になってしまうため、そのときやっていた、複数の企業の役員は辞めなければいけないかもしれないというお話だったのですが、島田さんご自身が家具を好きということもあり、最終的にリグナの役員に残ってもらえました。そして今も、役員を続けていただいてます。

100%公私混同

DSC_0229

– すごい人つながりでいうと、書籍にエピソードが登場する、おもちゃ鑑定士の北原照久さんもテレビで見ているだけですごいパワーが伝わってきますよね?

小澤:あの人はすごいです。当然ですけど、もう僕のこの書籍の内容なんか120%クリアしている人ですから。本当にもっとも「好き」を仕事にしている人と言うか、もう仕事という括りは完全にないですね。全部プライベートで、100%公私混同しています。

一般的に公私混同というのは、あまりよくない言葉として使われるじゃないですか。でも公私混同はいい言葉だと思っていて、この空間も僕のプライベート、このお店もプライベートかもしれない。プライベートをみんなに見せているということなんですよね、極端な話。

この取材の時間も仕事って全然思ってないです、正直全然。こうやって、また知ってくれる人が増えるってだけでワクワクしますよね。

北原さんは本当にそういう意味では、究極の人だと思っていて、やることがすべて人からいいね、いいね、と言われて次につながっていく。自分にとっては兄貴みたいな存在です。親子ほど歳は離れていますが、同じ経営者としての目線で話してくれたりと、非常にかわいがっていただいてます。

– 書籍の中に「好きなこと」を続けていると、人生には驚くような奇跡が何度も起きる「好きの魔法」、という一節がありましたが、今日伺ったお話はまさにそんな奇跡みたいなエピソードが満載でした。最後に、好きなことを追求してパワー全開で生きるために大切なことを教えていただけますでしょうか

小澤:もし、好きなことをやっているつもりなのに、何か煮え切らないようなものがあるとしたら、本当にそれは好きなのかなって思うんですよね、そういうときって。ネガティブな意味じゃなくて、何かもっと他にあるんじゃないかなと。

だから、探してみるといいと思うんですよ、絶対にあるんですよ、全員に平等にそういうものが。だから、煮え切らないには理由がもちろんあって、それが本当に好きなことだとしたら、今やっている仕事のスタンスや内容、もしくは周りの仲間からマイナスの波長が出ちゃっているとか。

やっぱり、人って周りからすごく影響を受けやすいので、絶対にポジティブな気持ちで働ける環境を求めるべきです。

あとは、煮え切らない、何でかなと思ったら、それこそ自分みたいな人に話を聞きに行くのが一番早いですよね。理想で言えば、自分の頑張っている世界で、ワクワク楽しそうに仕事をしている人に話を聞きに行くというのが一番の薬ですよね。これ以上の薬はないです

「そういう人がわからないです」というのは、たぶん本当にそれが好きなのではないし、探していない、やっていない、怠けているだけだと思います。その人に会う方法を考える。今の時代に会えない人なんていません。Facebookとかありますし、2人介せば必ず会えますね

– こちらにも小澤さんのワクワクが伝染してきて、とても楽しくなってきました。今日は「好きなこと」を続けられている方のパワーを実感しました!ありがとうございました。

[インタビュー・執筆] 頼母木 俊輔  [編集] サムライト編集部

Unknown
 
『100%、「好き! 」を仕事にする人生』
本書は、大手デザイナーズ家具販売サイトやインテリアショップ(東京・福岡)を運営する「リグナ」の創業者で、 日経各紙をはじめとし、テレビ、ラジオ等の各メディアでも注目される小澤良介氏が、「好き」を「仕事」にする生き方について語った一冊です。人脈もノウハウもなく「家具が大好き! 」という思いだけで起業した著者が、家具の販売にとどまらず、高級レストランのインテリア監修、ホテルの総合プロデュース、上場企業のブランディング、月9ドラマの監修まで手がけられるようになった秘密とは?