いくら本を読んでもあなたの人生が変わらない4つの理由

「意識高い系(笑)」になっていませんか?

「自分はたくさん自己啓発本を読んでいるから他の人とは違う」そんな風に思っていても、実際の暮らしむきや人生の充実感は大して変わらないなんてことありませんか?

実はいくら立派な本を読んでも、高額なセミナーに参加しても、あなたの人生はいつまでたっても変わりません。しかしここで挙げる4つの理由を理解し、知らぬ間に囚われている思考の枠を外せば、きっと自分の人生を変えることができます。

「思い込み」に支配されている

人間の思考の多くは「思い込み」によって構成されています。そのため全ての思い込みが悪いわけではありません。

しかしネガティブな思い込みは自分の可能性を狭め、「意識高い系(笑)」への道を進んでしまう原因となります。まずはこうした思い込みに見られる7つの思考パターンを把握し、自分自身の言動を客観的に分析してみましょう。

1.ゼロイチ思考

→ゼロかイチか、黒か白かと二極化して思考すること。毎週5冊の本を読むと決めて、1回でもノルマを達成できなければ止めてしまうということを繰り返しやすい。

2.過度な一般化

→「自分はいつもこうだ」とネガティヴに捉えたり、非常に特殊な友人の相談を「世の中そんなものだ」と陳腐化してしまいがち。

3.拡大視・過小評価

→自分の欠点や美点の1つを「それが自分の全てだ」と思い込むのが拡大視、客観的に見れば優秀でも「自分なんてそんな風に評価される価値のない人間だ」とするのが過小評価。

4.感情的決めつけ

→「自分のアイディアにケチをつけるような奴は無能に決まっている」など感情を起点に物事を決めてしまうこと。客観性が著しく乏しくても「自分がこう思うから」という理由で正当化する。

5.ステレオタイプ化

→「自分は人付き合いが苦手なタイプ」など「○○なタイプ」と決めつけてしまうこと。「A型なのに几帳面じゃない」などもステレオタイプ化の典型。自分をステレオタイプ化してしまうと変わろうと思っても決めつけた自分のタイプに引きずられて変われない。

6.自己関連付け

→自分に関係のないことまで自分が原因だと思い込むこと。「部下の業績が悪いのは自分のせい」など責任感の強い人に多い。

7.結論の飛躍

→早とちりや早合点のこと。少しそっけない対応をされただけで「怒っているのかも」「嫌われたのでは」などと思い込むような思考パターン。

これらが問題になるのはどの場合も「自分や他人の言動をネガティヴに制限する」レベルに達したときです。

幼少期に「禁止令」をインプットされている

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こうした7つの思考パターンは幼少期に「禁止令」をインプットされたことが原因の場合があります。この禁止令は親の教育としての良し悪しとは無関係に、私たちの思考を縛ってしまうのです。

過保護な親であったり、管理主義的な親は「スポーツは危ないからやめなさい」などあれもするなこれもするなと言いがち。

このような親の元で育つと「何もするな」「行動するな」という禁止令がインプットされて、指示されなければ仕事ができない大人になりやすいとされています。

あるいは「我慢しなさい」と言われ続けた子供は、「興味を持つな」「感情を持つな」という禁止令がインプットされ、何事にも無感動・無関心な大人になるのだとか。

禁止令には他にも様々なものがあります。これを自覚するためには自分が抱えている問題に関係する禁止令が、自分の幼少期に親からインプットされていないかを思い出してみる作業が必要です。

内なる「ドライバー」に翻弄されている

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「ドライバー」とはこの場合「駆り立てるもの」「追いやるもの」という意味です。

臨床心理学者であり行動科学者でもあるテービー・ケーラー博士が1977年にエリック・バーン記念科学賞を受賞した「ミニスクリプトと5つのドライバー」で提唱したもので、これも子供の頃に親から植え付けられる思い込みの1つとされています。5つのドライバーは以下の通り。

1.完全であれ。
2.喜ばせろ。
3.努力しろ。
4.強くあれ。
5.急げ。

例えば1は「一流大学に入って、一流企業に勤めるんだ」と言われたりすると植え付けられるドライバーで、3は「一生懸命努力して偉いね!」などと褒められるだけでも植え付けられる可能性があるドライバーです。

このことからもわかるように、ドライバーが植え付けられるきっかけは親からしてみれば善意そのものである場合も少なくありません。

しかし必要以上に自分を犠牲にして他人を喜ばせようとしたり、健康状態に目もくれずに努力するなど、度を超したドライバーの影響はネガティブな要素になってしまいます。

「ついついやってしまう」という行動パターンがある場合は、ドライバーの影響を疑い、自覚していきましょう。

「なぜ」という問いかけを止めている

「なぜ」という問いかけには思い込みやドライバーを排除する効果があります。

「部下の業績が悪いのは自分のせい」だと思い込んでいる人も、「なぜそう思うのか?」と自問自答し続ければ「部下の育成が完全だったとは言えないが、成長しないのは本人に問題がある」という客観的な事実が見えてくるのです。

しかし同時に私たちは「なぜ」という問いかけを途中で止めることで安心感も得ています。「なぜ生きるのか?」「なぜ働くのか?」「なぜ今の妻と別れないのか?」など問いかけ始めるとキリがない問題も少なからずあります。このような場合に私たちは一応の理由をあてがったり、考えるのを止めることで安心するのです。

とはいえ、むやみやたらに「なぜ」と問うことをやめてしまうと、思い込みやドライバーに思考を支配されてしまいます。自分の言動を制限する問題がある場合は、諦めずに「なぜ」と問いかけ続ける必要があるのです。

あなたの人生は変えられる!

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ここまで4つのポイントを挙げて、私たちの思考を支配するものについて見てきました。しかし「思い込み」「禁止令」「ドライバー」「なぜという問いかけ」のどれもが良い側面も持っていることは事実です。

そのためこれらをうまく使いこなせれば、いとも簡単に人生は変えられるのです。

確かにこれらを明確に自覚するのは難しいことでしょう。しかしそれをしなければこの先何百冊と自己啓発本を読んだところで、あなたの人生は変わりません。それが嫌だと思うのであれば、行動に起こすしかないのです。

参考書籍
『人生の99%は思い込み―――支配された人生から脱却するための心理学』
Career Supli
本を読んでも行動を変えなければ何も変わりません。行動を本気で変えたいならルータイスの『アフォメーション』という著書がお薦めです。

〔文〕鈴木 直人 〔編集〕サムライト編集部