自問自答が自己PRを作る
自己PRには様々な作成方法がありますが、最も重要なのは自分自身にできるだけ多く問いかけることです。同僚やかつての上司、プライベートの知人や友人などへの相談も効果はありますが、結局のところ転職するのは自分。ならば自問自答せざるを得ません。
以下には転職の自己PRを作るために自問自答するべき質問を20個挙げました。これらの質問に具体的かつ論理的に答えられるようになれば、自己PR作成は一気に楽になります。ぜひ参考にしてください。
「大切なもの」について考えるための質問

1.5年後、10年後、20年後、どんな生活をしていたいか?
転職が影響を及ぼすのは仕事内容や給与だけではありません。人生にも大きな影響を与えます。そのため5年後、10年後、20年後というスパンで、自分がどんな人生にしたいかを考えておく必要があります。また、この質問に明確に答えられれば、キャリアプランについても考えやすくなります。
2.「やりたいこと」とその理由を語れるか?
この質問の答えは「やりたい仕事」に限定されません。時間やお金の制約を取っ払ったうえで「やりたいこと」を自由に考えてみましょう。そして同時に「なぜやりたいのか」と問いかけてみます。その答えがあなたの人生にとって何よりも大切なものです。
3.その「やりたいこと」はすでにビジネスになっていないか?
やりたいことがはっきりしたら、それをビジネスにしている人や企業がないかを調べてみましょう。もしすでに誰かがビジネス化していれば、自分がやりたいことを仕事にするチャンスです。あるいは誰もビジネス化していないのであれば、起業のチャンスとも考えられます。
4.「やりたくないこと」とその理由を語れるか?
逆に「これだけは絶対にやりたくない」ということはあるでしょうか。これも「なぜやりたくないのか」と掘り下げると、やりたいこととは別の角度で、あなたの人生にとって大切にしたいものが把握できます。もしやりたくないことに該当する仕事があるとしたら、一番最初に転職先の候補から外しましょう。
5.意識せずに5年以上続けていることはあるか?
ここまでの質問が答えにくいのなら、もっと自分の日常について問いかけてみましょう。続けようとしているわけでもないのに、長年(5年以上)続けていることはありませんか。もしその中に他の人と違う習慣があれば、その習慣こそがあなたのライフスタイルの個性です。
6.好きなこと、好きなものを100個挙げられるか?
「好き」は人生の大切なものについて考えるために、必要不可欠な視点です。人は嫌いなものを大切にできませんが、好きなものは大切にできます。そして好きなこと、好きなものを100個も書き出せば、少なからず似通ってくるものです。その共通項こそが、あなたにとっての大切なものです。
「キャリア」「スキル」について考えるための質問

7.なぜ転職したいのか?
「転職したい」と考え出すと、「そもそもなぜ転職したかったのか」を忘れがちです。確かに転職のハードルは下がりつつあるものの、リスクであることに変わりありません。もう一度立ち止まって考え直してみましょう。
8.その問題は転職すれば本当に解決するのか?
多くの場合、転職をするのはいまの職場に何かしらの問題があるからです。しかし中には転職しても解決しない問題を、転職理由にしている人も少なくありません。ほとんどの企業で残業はありますし、人間関係の問題もゼロにはなりません。あなたに「どうしても転職しなければいけない」という抜き差しならない理由はありますか。
9.「今までで一番誇れる仕事」を語れるか?
自己PRは限られた時間で、効果的に行う必要があります。そのためには自分の経歴の中で一番インパクトのある仕事、つまり「今までで一番誇れる仕事」を語る必要があります。具体的であるほど自己PRの即戦力となり、数値が示せればより説得力が増します。
10.「できる仕事」「できない仕事」を語れるか?
「できる仕事」と「できない仕事」を把握することは、自分のキャリアを棚卸しすることです。キャリアの棚卸しを行えば、自ずとアピールできるスキルとできないスキルも明確になります。ただしできない仕事についてネガティブに捉えすぎないようにしましょう。大切なのは「なぜできないのか」「どうすればできるのか」を考えることです。
11.どんなことを大切にして仕事をしてきたか?
「準備を大切にしてきた」「スピードを大切にしてきた」仕事には個人の価値観が色濃く現れます。これを語ることができれば、書類や面接でどんなワークスタイルの持ち主なのかをアピールできるでしょう。
12.その大切にしてきたことは、どのように結果につながったか?
仕事のうえで大切にしてきたことが、具体的な結果を生んでいるようであれば、必ず振り返っておきましょう。なぜならその結果は「大切にしてきたことには意味がある」という証明だからです。
13.仕事中、どんなことで他人に感謝されてきたか?
企業の採用担当者は個人としてのスキルだけでなく、組織の一員としてのスキルも知りたいと思っています。この要求に応えるためには、自分が前職(もしくは現職)でどのような評価を受けているかをアピールする必要があります。
14.他人から評価されているが、自分では「大したことじゃないのに」と思っていることはあるか?
自分では「大したことじゃない」と思っていることで他人から評価を受けているのなら、それはあなたの隠れた長所であり、ぜひともアピールするべきスキルです。
転職希望先の企業について考えるための質問

15.転職希望先の企業はどんな人材を求めているか?
自己PRではあなたの数多くあるアピールポイント全てをアピールする必要はありません。相手がどんな人に来て欲しいと思っているのかを明確に理解し、それに見合ったアピールポイントだけを提示するようにしましょう。
16.転職希望先の企業が抱えている問題を説明できるか?
転職希望先の企業が抱えている問題を理解しているでしょうか。「管理職不足」「営業力不足」という漠然とした理解にとどまっていてはいけません。IR情報やニュース、内部の人間のSNSなどを通じて、より具体的に理解しておく必要があります。なぜなら企業が抱えている問題は、すなわち新入社員のあなたが解決するべき問題だからです。
17.その問題と自分のスキル・キャリアの間につながりはあるか?
一見スケールが大きいように見える問題でも、細分化すれば解決策が見えてきます。その解決策に対して自分のスキルやキャリアが役に立つかを考えてみましょう。企業の採用担当者は「自分たちの利益になる人材」を求めています。そのためにはできるだけ具体的に「自分を雇うとこういう利益がある」というアピールをする必要があります。
18.自分が転職希望先の企業にもたらす利益を数値化できるか?
もしその利益が数値化できて、しかもその根拠を論理的に説明できるのであれば、あなたの自己PRの説得力はさらに強くなります。
19.自分と転職希望先の企業との間に情報落差はあるか?
情報落差とは企業や採用担当者個人に対して、転職希望者しか持っていない情報や経験を指します。もし企業の問題解決に効果のある情報落差があるようなら、面接での強力なアピールポイントになります。また、情報落差の有無を知るには綿密な企業研究が必要になるため、企業研究が十分かどうかの指標にもなるでしょう。
20.自分のキャリアプラン・人生プランと、転職希望先の企業の経営理念・風土に一致するところはあるか?
ここまでの19個の質問に答えていれば、自分のキャリアプランや人生プランが明確になり、転職希望先の企業の経営理念や風土も理解できるようになっているはずです。もし両者の間に共通点があるのなら、その点を積極的にアピールするべきです。なぜならそれは強力な自己PRであると同時に、強力な志望動機にもなりうるからです。
「なぜ」でもっと掘り下げる
ここまで挙げた20個の質問に一通り答えられたとしても、自己PRのための自問自答は終わりではありません。自分で出した答えに対して、最低でも3回以上は「なぜ」と問いかけてみてください。その問いに答えていけば、自ずとより本質的な答えに掘り下げることができます。20個の質問の答え全てに対してこのエクササイズを終えた頃には、きっとどんな面接官に対してもスラスラと自己PRができるようになっているはずです。
