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お金の不安
「転職を考えている」「起業したい」そのような思いを抱いている人は少なくないはず。しかし同時にこんな思いが脳裏をよぎります。「でもそんなリスクを犯して、老後のお金は大丈夫だろうか?」
お金についての不安は誰しもが抱くことですが、それを具体的に解決しようと動く人は多くありません。ここでは私たちが抱きがちな漠然とした不安を解消し、老後の人生も老後までの人生も豊かに過ごすために知っておくべきことをお教えします。
その不安の正体はなんだ!?
「老後の資金への不安」。お金の心配ごとはあるかと聞かれて、真っ先に思いつくのはこれでしょう。しかし「安定は幻想です!どこでも身1つで生きて行くためのサバイバル仕事術」でも見たように、自分が定年退職後どんな生活を送りたいのかをもとに必要なお金を具体的な数値を上げて計算すれば、しっかりと目的意識を持って貯蓄できます。
したがって漠然とした不安を抱く必要はないのです。あるいは未婚の人の場合は「自分は大好きな人と結婚して、彼女を専業主婦として養えるだろうか(自分は専業主婦になれるだろうか)」という不安、家庭をすでに持っている人の場合は「そろそろマイホームを買う年齢だけれど、家のような大きな買い物をしていいものだろうか」という不安もあるかもしれません。しかしこれらもまるで根拠のない、漠然とした不安でしかないのです。
○○神話は全て「迷信」

私たちの親世代では「専業主婦」「マイホーム」はみんなが憧れるステータスであり、誰もが通る道でした。それは70年代に流行した「一億総中流」という言葉にも表れているように、高度経済成長期の「人生の雛形」の「神話」ようなものだったのです。
しかしこれらは労働人口の減少や女性の社会進出、地価の暴落などを経て、すでに意味を持たない「迷信」と化しています。もし専業主婦を養ったり、夫の給与だけで満足のいく生活ができないのであれば、共働きという形で家庭を築いていくことも全く不自然ではない時代なのです。
これはマイホームも同様です。ライフネット生命保険の創業者を務める出口治明氏はリスクの大きさや将来性のなさからマイホームの購入は若者にはおすすめしないと明言しています。「持ち家がなければ一人前ではない」というセリフは、すでにバブル時代の遺物なのです。
お金の使い方に「マニュアル」なんてない

私たちが迷信と化した「神話」を未だに気にかけるのは、「生き方のマニュアル」をどこかで探しているからです。この生き方なら問題ない。自分の人生は正解だ。そう思いたいからこそ、マニュアルを探すのです。
しかし残念ながら人生はもちろん、お金との付き合い方にもマニュアルは存在しません。正解は自分で見つけるしかないのです。とはいえ最低限のルールはあります。それが出口氏が提唱する次の2つです。
2.「財産三分法」を身につける。
1に私たちは疑問を抱くかもしれません。「楽しくお金を使っていたら、あっという間にお金がなくなってしまう!」しかし単なる浪費と「楽しく使う」こととは全く意味が違います。楽しく使うためには使い道を吟味し、節約するところは節約しなければならないからです。
例えば「最高級の寿司が食べたい」と思ったとしましょう。ここで何の考えもなしにカード支払いで毎週のように食べに行くのが浪費です。
対して「自分の月給では高級寿司は月に1回が限度。だからタバコの量を減らしてそのためのお金を作ろう」と考えて節約し、月に1回の高級寿司を堪能するのが「楽しい使い方」です。
これが旅行でも、好きな異性とのデートでも構いません。他人が正しいと言う使い方ではなく、自分が楽しいと思う使い方を見つけるのが重要なのです。
自分の財産を「財布・預金・投資」に分けて考える

この時の指針となるのが「財産三分法」です。「財布」は文字どおり財布に入れておくお金。食費や日用品などに使うための財産です。対して「預金」は財布の中身の補充と貯蓄の役割を果たします。預金のポイントは流動性です。
いざという時引き出せないのでは預金としての役割が果たせません。預金は自分の可処分所得から「財布」と「投資」を差し引いた金額全てになります。
この「投資」とは「なくなっても困らないお金」です。なくなっても困らないお金なんてあるわけがない!と思うかもしれません。しかし仮に月の手取りが20万円だとして、そのうち全てを毎月使い果たす人は少ないはずです。
また銀行口座に何年も眠っているまとまったお金がある人は多いでしょう。これらは何か予想もできない突発的な出来事が起きない限り、「なくなっても困らないお金」なのです。財産三分法ではこれを「投資」のためのお金として位置付けます。
そしてこの「投資」こそが豊かな人生を送るための最大の鍵となります。
お金を増やす最も効果的な方法

「投資」は3つの財産のうち、唯一「お金を増やすためのお金」です。ただし投資と言ってもいわゆる「投資信託」「株式投資」「不動産投資」だけを指すのではありません。これらは「お金への投資」であり、直接的な方法です。
わかりやすいリターンが得られるため、これらを活用すれば一定程度まではお金を増やすことができるでしょう。しかしたかだか数百万円程度のお金を運用したところで、お金の投資では大したリターンは得られません。
だからといって借金までして不動産を購入したりするのでは、リスクがあまりにも高すぎます。
そこで出口氏がオススメするのが「自己投資」です。平成22年の大卒サラリーマンの平均生涯賃金は男性で2億5,000万円、女性の場合は2億円。
もし自分の価値を50%高められれば1億円以上の儲けが出る計算になります。10%でも2,000万円以上です。これほど大きな利益の出る投資は他にはなかなか見つかりません。
「そんなことを言っても何が自分の価値を高めるかなんてわからないだろう」と思うかもしれません。しかし「投資=なくなっても困らないお金」であることを思い出してください。財産三分法により「投資」の金額をあらかじめしっかりと決めておくことで、失敗を恐れないチャレンジングな自己投資が行えるようになるのです。
自分だけの「豊かな人生」を設計しよう!
漠然とした不安にとらわれて肝心な1歩を踏み出せない人生を送っていては、決して満足のいく老後はやってきません。
体力も気力も半減した老後のためにちまちまとお金を貯めるくらいなら、若いうちにしっかり使って自分の価値を上げることで、何倍も素晴らしい老後を送ることができるでしょう。誰かに与えられた「マニュアル的人生設計」を捨て、自分だけの「豊かな人生」を設計しませんか?
参考文献『働く君に伝えたい「お金」の教養』
