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気持ち良く転職したいなら「準備」が必要
ベンチャー企業などでは数年単位で転職するのが当たり前になってきた昨今。そこで重要になるのが「いかに双方にとって気持ち良く退職できるか」です。
「転職します!」「そうか、頑張れ!」と二つ返事で了解してくれれば問題はありませんが、場合によってはもめることもしばしばあります。ここではそうならないための転職の5つの「準備」について解説します。
自分のビジョンを伝えておく
辞める企業の人たちから「次の会社でも頑張れよ」と応援してもらうためには、まず自分のビジョンを明確にしておく必要があります。
「自分は将来的にこういうビジネスをしたいから、次の会社ではこういうことを学びたい」「自分の会社を持つためにも、別の分野での仕事も経験したい」など転職する理由を自分の中で持っていれば、いざ上司などに慰留を求められても決然と対応することができるからです。
またビジョンを確立したら、転職について話す前から周囲に対してビジョンをあらかじめ伝えておきましょう。そうすれば周囲の人たちからしても「前から言ってたもんな」「いよいよ実行に移すんだな」と納得しやすくなります。
「○○歳までに自分の会社を持つ」などより具体的な目標がある人は、「この会社には3年しかいません」など入社時から宣言する人もいるようです。周囲に対する自分のイメージを確立するという点でも、自分を良い意味で追い詰めるという点でも、こうした方法は効果的です。
引き継ぎのプランは入念に!

転職をする理由に対して納得してもらっても、いきなり辞められるわけではありません。今している仕事が重要であるほど、引き継ぎの重要性も高まります。
自分の都合ばかり優先して、ろくに引き継ぎもせずに辞めていく人を応援する人はいません。上司に転職について切り出す時には、「誰に」「どの仕事を」「いつまでに」「どうやって」引き継ぐかの計画をあらかじめ立てておきましょう。
「引き継ぎはどうするんだ?」と聞かれて「何も考えていません」と言おうものなら、「そんなことではダメだ。まだ残ってもらう」と言われかねません。「こういう考えでいます」とすぐに返答できれば本気度も伝わります。
また入念に引き継ぎ計画を立てていても、予定通りに進まないことはよくあります。その時に引き継ぐ側がイライラしてしまうのもNGです。
相手には「この人は自分の仕事を押し付けている」というふうにしか見えません。「その会社でやってきた仕事を棚卸しして、次の仕事に役立てる」という意識で、丁寧に引き継ぎを行いましょう。
退職の申し出は2〜3ヶ月前に

民法では期間の定めのない雇用契約については、退職の申し出から2週間経てば会社の同意がなくても退職することができます。
しかし自分が同僚に「2週間後に辞めるから」と言われた時のことを想像すれば、それがどれだけ困ることなのかは理解できるはずです。引き継ぎの計画も踏まえ、退職したいと思う日から逆算して2〜3ヶ月前に申し出るのがベストでしょう。
それだけあれば会社側も代わりの人材を探す余裕もありますし、自分自身も納得のいく引き継ぎができます。
転職が決まったあとの同僚との飲みには要注意!

転職が決まり、周囲にもそのことが伝わったあとに要注意なのが気の置けない同僚などとのお酒の席。
ついつい同僚の愚痴などに同調して辞める会社のネガティブな面を指摘してしまうのです。転職の際に最もやってはいけないことがこの「辞める会社の愚痴を言う」です。
会社に対して直接不満をぶちまけたり、関係がうまくいっていなかった上司などに食ってかかるのは論外ですが、こうした何気ないところから「最高の辞め方」はほころび始めます。
「お前は良いよな、辞めるんだから」などと同僚が管を巻き始めたら、できるだけ早くその話題を切り上げてもっと建設的な話題を提供しましょう。
可能であれば転職の件が落ち着くまでは、ネガティブな話題になる同僚とは飲みに行かないのがベストです。
また会社に対してのネガティブな発言は次の会社に移った後でもNG。同じ業界であればどこかから伝わる可能性がありますし、「辞めた会社のことを悪く言う人」というイメージがつけば、新しい職場でもやりにくくなってしまいます。
事務的な手続きも滞りなく
事務的な手続きを滞りなく処理するのは、円満な退職のための最低限の条件です。確認するべきは「会社からもらうもの」と「会社に返すもの」の2つ。会社から返してもらうのは、次の4点です。
1.雇用保険被保険者証
2.年金手帳
3.源泉徴収票
4.離職票(転職先が未定の場合のみ)
会社に返すのは社員証や制服などの貸与品のほか「健康保険被保険者証」(社会保険証)です。これらを返却せずに転職・転居してしまうとあとから郵送するなどの手間がかかるため、間違いなく返却するようにしましょう。
また事務担当者はこれらの書類以外にも様々な書類を役所に提出しなくてはなりません。担当者の話をよく聞き、1つずつ間違いなく対応しましょう。
「最高の辞め方」にこだわりすぎるな
ここで挙げた5つの準備を着実にこなしていれば、きっと会社の人たちも応援してくれるはずです。しかし、これらはあくまで会社側も円満な退職を求めている場合の話。
会社側が「なんとしても引き止めよう」とか「そんなことは絶対に許さん」などと強硬姿勢に出ている場合は「最高の辞め方」にこだわりすぎるのは得策ではありません。大切なのは自分の将来、夢です。
会社側をこけおろす必要はありませんが、先方がこちらに敬意を払わないのであれば、こちらが手間と時間をかける必要もありません。くれぐれも優先順位を間違えないようにしましょう。
個人的に、辞める時は止められても躊躇せずに思いきって決断した方がよいと思います。オフィシャルに発表になるまでは誰にも言わない方が無難ですが、飲みに行った時にうっかり喋ってしまった経験があります。気をつけてください。
[文・編集]サムライト編集部