ワーママアップデート!「自分らしく働くために必要なこと」とは?

女性の社会進出により共働き世帯が多くなり、男女の家庭内の役割に変化が起きつつある今日ですが、いまだ女性には多くの役割が求められいるのが現状かと思います。働く女性のなかには「あれもこれもやらなきゃいけないのに、自分らしく働くなんてムリ!」と諦めている人も多いかもしれません。

しかし世の中も少しずつ変わりつつあります。そのことに気づかず、今まで通りの価値観や選択肢をもとに働き方・生き方を続けているのはあまりにももったいないことです。

そこで今回は、女性が自分らしく働くためにはどんな考え方をし、どのように行動するとよいのかについて、元セブン銀行人事部で現在、女性のキャリアコンサルティングに携わる株式会社MYコンパス代表取締役の岩橋ひかりさんと、Spring転職エージェントで多くの女性の転職にコンサルタントとして関わってきた中村彩子さんのおふたりにお話をお聞きしました。

<岩橋ひかり>
2005年株式会社アイワイバンク銀行(現 セブン銀行)入社。広告、管理会計の部署を経て人事部へ。自身が2度の育児休暇を経験しながら働くワーママであったこともあり、世のなかの女性の働き方について問題意識が芽生える。2015年に独立し、2017年4月に株式会社MYコンパス設立。2020年3月、時事通信社より初めての著書『最強のライフキャリア論。』を上梓した。

<中村彩子>
2005年法政大学卒業後、アデコ株式会社に新卒入社、人財サービスのソリューション営業職に従事。派遣・請負サービスの提案にて企業の組織作りに貢献する中で、より企業の軸となる人財の提案に関わりたいと考え、2011年人財紹介専任のコンサルタントへ。現在は、管理部門職種専門の企業・人財双方の窓口を担当する「一気通貫型コンサルタント」として従事。キャリアコンサルタント(国家資格)所有。

「女性活躍」をうたっていても、ともなわない実践

――おふたかたは今の働く女性を取り巻く環境について、どうお考えでしょうか?

岩橋ひかりさん(以下、岩橋):「女性活躍」「ダイバーシティ」が推進されているような企業でも、実態がともなっていない場合も多いように感じています。
男性管理職や経営層の中には、表面的には女性にも活躍して欲しいと振る舞っていながら、自分のチームでは時短勤務の女性社員の受け入れを避けたがるケースも。
もちろん企業によって事情は違うと思いますが、こうした問題を抱えているところは少なくないのが実情です。

中村彩子さん(以下、中村):私も同じような印象です。

女性活躍の為の採用方針と、採用の実態の間でジレンマを抱えている企業も少なくありません。

ただし、同時に変化も感じています。先日も時短勤務の正社員として、入社が決まった女性を担当させて頂きました。もともとの企業から提示された求人条件はフルタイム勤務だったのですが、求職者様の経験値やスキルを踏まえて時短勤務でも活躍できると考えて人事担当者に提案したところ、「時短勤務でも結果が出せる、生産性の高い人材」として評価され採用されたのです。

少しずつではありますが、女性が家庭や生活も大切にしながら自分らしく働ける可能性は広がってきているのも確かです。

「本当の自分」に戻ることで、女性の働き方はアップデートできる

――女性が自分らしく働くためには、どうすればいいのでしょうか?

岩橋:拙著『最強のライフキャリア論。』の帯にも書いたのですが、「思い込みを取り払う」→「理想のキャリアを描く」→「行動する」の3ステップが大切です。

今の日本の女性は母、妻、嫁、そして社会人と、さまざまな場面で「こうあるべき」という枠組みにとらわれがちです。本来は社会的な役割の前に「私個人」があるはずなのですが、それを忘れてしまっている女性は少なくありません。

結果、社会的な役割における「こうあるべき」を前提として、自分のキャリアを考えてしまいます。これでは自分らしく働き続けるのは難しい。だから最初に、女性がとらわれがちな思い込みを取り払う必要があるんです。

――具体的にどうすれば思い込みを取りはらえるのでしょうか?

岩橋:方法はいろいろありますが、本のなかでは「嫌なことを100個書き出してみよう」というワークを紹介しています。書き出すことはなんでもOKです。たとえば

・旅行にあまり行けていないこと
・部内会議が報告ばかりであること
・業務知識などが属人的で、新任者が苦労する構造
・髪を乾かすこと など

です。仕事に関することから日常の些細なことまで、とにかく書き出します。そしてそれを他人と共有することです。

すると同じようなことを感じている人が見つかったり、逆に自分だけが感じていることが見つかったりと、さまざまな発見があります。その発見こそが、自分が何に喜びを感じ、何にストレスを感じるのかという「自分らしさ」のタネなのです。

私が主宰するコミュニティ型のオンラインキャリア講座「MYコンパス・アカデミー」では、こうした発見を促すための仕掛けを随所に組み込んでいます。

――どういった仕掛けでしょうか?

岩橋:3カ月の講座期間を設け、毎週10分程度の動画で1つのワークを紹介します。各期のメンバーには専用のFacebookページが用意されていて、各人がワークの結果をメンバーごとのスレッドへ投稿できるようになっています。

投稿すると、メンバーからコメントが寄せられて、ほかの人がどんなことを感じているか、考えているかを共有できる仕組みです。

中村:実は私自身、ライフキャリアの変化を迎える中で、キャリアコンサルタントとして、また働く女性として今後どうしていきたいかと考えていた時期に3ヶ月の講座を受けました。

講座を通じて、自分のなかに「他人の目を気にして、仕事や生活で嫌だと思っていることを素直に言えない・言っちゃいけない」という強い思いがあることに気づきました。

でも、同期のメンバーと意見交換をしていく過程で、「自分らしく生きていくためには、他人の目を必要以上に気にしていたら何も変化は生まれない」と思うようになりました。自分と他人との間に、明確な線引きができるようになったんです。

他人との境界線を引きつつも、自分らしさを知るために、ほかの人の考え方や価値観をサンプルとして取り入れていく姿勢が、本当に大事だと思います。

岩橋:私は、キャリアは単に仕事のことだけでなく、自分自身や家庭を含めた人生そのものだと考えています。

本当の自分を探らないままキャリアについて考えると、いつまでも「誰にとっての良い会社・仕事」という固定観念に沿って考えることになってしまいます。でも誰にとっての良い会社・仕事が、自分にとっての良い会社・仕事という保証はどこにもありません。

だから何よりもまず、「自分の生き方や働き方をどうしていきたいのか」という指針を見つける必要があるんです。

「ワーママ3.0」の時代へ!

――とはいえ出産や子育てなどで、男性よりも女性の方がキャリアの分断が起きやすいというのも、また事実のように思います。

岩橋:「キャリア=人生そのもの」なので分断することはないと思っていますが、人によってはライフイベントなどの変化により仕事を一時的に離れるという場合もあります。

また、出産を望む場合、身体的なタイムリミットもありますし、早い段階でこれからの生き方や働き方について考える機会を持つ場面が多いように感じています。だからこそ、悩みや不安が尽きなかったりもするのですが、考える機会が与えられるのは幸運でもあります。

普段の何気ない生活の中で、これからの生き方や働き方についてじっくりと考えるのはなかなか困難ですし、仕事やプライベートに忙しく過ごしていると、自分に向き合う時間なんて取れませんし、その必要性も感じませんから。

中村:先ほど話した時短勤務の条件で内定を勝ち取った女性の方もそうですが、本来の意味での女性活躍において、採用企業側やマーケットの考え方も少しずつ変わってきています。

岩橋さんが著書のなかでもおっしゃっていますが、「ワーママ3.0」の時代がきているのだと思います。

これまでワーキングマザーの悩みは、「出産しても仕事を続けるか?」から、「どうすれば両立できる?」と変遷してきましたが、これからの「ワーママ3,0」時代では「自分らしい働き方・生き方とは?」が主要テーマになっているように感じています。

「withコロナ」の世界で考える働き方

――最後に、「withコロナ」の世界で、私たちの働き方はどうなっていくのか、おふたりの考えを聞かせてください。

中村:採用に関してはこれまでと同様で、業界や企業によるという状況です。たとえばオンライン決済事業やリモートワークに必要なネットワークを提供している企業などは、サービス向上・新規事業開発のため、引き続き積極的に採用を行なっています。

転職エージェントとしての働き方という面でも変化が求められていると思います。

コロナ禍の一過性な現象ではなく、求職者様や企業とのやりとりはオンラインが主流になり、これまでのように「直接会えばなんとかなる」式の情報収集や営業スタイルは変わっていかざるを得ないと考えています。

私も含めコンサルタントがこれから求職者様や企業との信頼関係を築いてていく為には、お互いに切磋琢磨しながら新しいコミュニケーションの形を創っていく必要があります。

岩橋:3年前からオンラインでキャリアコンサルティングをやっている身としては、オンラインはリアルの代替ではなく、オンラインにはオンラインなりの特徴があると感じています。

それをうまく取り入れることで、時間や場所にとらわれず働けるようにもなるので、子育て中の女性や地方在住の方にも新たな機会が増えていくと感じていますし、そうしたサポートも行っていきたいと思います。

――ありがとうございました。

Career Supli
オンラインはリアルの代替ではないというのは重要な指摘だと思います。新しい価値について考えていきましょう。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部

岩橋ひかりさんの著書

『最強のライフキャリア論。 人生まるごと楽しむための思考法』