トランプ氏の話術から紐解く相手をその気にさせるテクニック

相手をその気にさせて、あらゆる交渉で勝つ

あらゆる交渉で勝つために、相手を自分の思う通りに誘導するためのテクニックを身につけておくことは大切です。テクニックさえ覚えてしまえば、わがままを上手に通したり、欲しいものをおねだりしたりもしやすくなります。

今回は、そんな「相手をその気にさせるテクニック」をプライベートやビジネスシーンに当てはめてわかりやすく解説します。さらに、いま世界を賑わせているアメリカ新大統領、ドナルド・トランプ氏がスピーチでも使った話術のポイントについても考察していきます。

人は「事実」よりも「体験」に動かされやすい

告白の成功率を上げるための伝え方

まず、相手を誘導するテクニックとして身近な例から考えていきましょう。あなたなら告白の際、どんな言葉で気持ちを伝えますか?おそらくほとんどの方が「僕と付き合ってください」という、要求系の伝え方になるのではないでしょうか。

結論から言うと、この伝え方には自分の感情を表す言葉が入っておらず、告白としては不十分です。ただ「付き合って欲しい」という要求だけでは、受け取った相手は「いきなり、どうして?」と身構えてしまいます。

告白の際は、自分が相手を好きになった理由を、自らの感情や体験とあわせて具体的に伝えることで成功率を上げることができます。それはリアルであればあるほど効果的です。好きな理由を聞かれた際にも、ただ「好きだから」と答えるのではなく、相手の「優しいところ」や「かわいいところ」などを具体的に示すことで、説得力が一段と増します。

ビジネスシーンでも活用できる

このテクニックはビジネスシーンでも同様に使うことができます。例えば、商品の良さをアピールする際、ただ「この商品は100万個も売れている人気商品です」と事実を伝えるのではなく、「実は私の家でも使っているのですが、ここが良くて…」と自らの体験を話すことで、商品に対する愛着や使用感が伝わり、相手をその気にさせやすくなります。

プライベートでもビジネスでも、交渉において大切なことは、自分の感情や体験を積極的に話に交えることです。大事な話をする際には、まず自分の話そうとしていることがただの要求や事実のみになっていないかを、一歩立ち止まって考えてみるとよいでしょう。

トランプ大統領がスピーチで使った3つのテクニック


次に、2017年1月20日に第45代アメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプ氏を例としてあげていきます。もともと不動産王として名高い彼は、ビジネスにおける交渉に長けており、彼のスピーチからも、そのテクニックをいくつか学ぶことができます。

1.聞き手に対してわかりやすい言葉を使う

トランプ氏の話術において注目すべき第1のポイントは、聞き手である聴衆に対してわかりやすい言葉を使っていた点です。

彼の選挙中の演説は「小学4年生にもわかるレベル」と言われるほど、文法や語彙が平易なものとなっていました。またメディアの見解では、トランプ氏は意図的に聴衆や会場に合わせて使用する英語のレベルを意図的に変化させていたとも言われています。

相手に伝わるコミュニケーションというのは、まず相手を主体として捉えることが基本となります。「この言葉を使ったら、あの人はわからないかもしれない。」ということに気づくことが大切です。

2.「オンリーワン」であるということを示す


選挙戦におけるトランプ氏の支持者は、世間に自分たちの居場所がないと感じる高卒以下の白人労働者や退役軍人であると調査されていますが、なぜ、彼らはトランプ氏を支持したのか?可能性のひとつとして、彼らにとってトランプ氏が「オンリーワン」の存在だったからと考えられます。

トランプ氏の発表した政策は、オバマ政権時のものとは一線を画す、既成のシステムに囚われないものでした。人は誰も言わないような言葉や、特別なバリューに惹かれやすいものです。

トランプ氏は、自分にしかできないこと、自分にしか言えないことを断言することで、「トランプに投票すれば、今の状況が変わるかもしれない」「トランプこそが、自分たちにとってのオンリーワンだ」と支持者たちにイメージ付けたのでしょう。

3.大切なことを繰り返して話す

3つ目のポイントは、大切なことを何度も繰り返して話していた点です。今やトランプ氏は「アメリカ第一主義者」としても有名ですが、これは彼がスピーチ内で「The American People will come first once again.(アメリカ人は再び最も優先されることになるだろう。)」と1度きりではなく、何度も繰り返し発言していることからも明らかです。

相手に自分のことを印象づけたいとき、トランプ氏のように大切なことを繰り返し話すことは有効な手段となります。また、繰り返すことで一時のきまぐれではなく、本当にそう思っているのだということを示すことができます。

まとめると、自分にしかできないことを、相手にわかりやすい言葉で、3回以上繰り返すことで、相手に自分を印象づけて、その気にさせやすくすることができるということになります。「暴言王」としての印象の強いトランプ氏ですが、こういった効果的なテクニックをしっかりと押さえているのです。

テクニックを使うときは、相手への尊重を忘れずに

ここまで、相手を誘導するために効果的なテクニックをいくつかご紹介しましたが、交渉において最も大切なことは「相手を尊重すること」にほかなりません。数多くのテクニックや巧みな話術を駆使できたとしても、相手を思いやる気持ちや真心が根底になければ、あなたの言葉はたちまち薄く軽いものとなってしまいます。

そのような言葉では、相手の心を打ち、動かすことはできません。相手が何を言われたら嬉しいのか、何をされたら喜んでくれるのかをしっかりとその人の目線となって考えることが、自分の希望を叶える一番の近道となります。

今回紹介したテクニックを「自分の悩みを解決するための手段」として使うだけではなく、まずは「自分だけではなく、相手のためにもなること」にぜひ役立ててみてくださいね。

Career Supli
トランプ氏の大衆の心をつかむテクニックは見習うべきところがありますね。
[文・編集] サムライト編集部