小山薫堂さん、高城剛さん…トリプルキャリアで年収1000万円超えを目指そう

生きのびるための戦略は?

倒産や人員整理などの暗いニュースを聞いて、不安を感じたことが一度くらいはあると思います。

最近では、新卒社員の8割が外国籍の人材を採用して、グローバル化に備えている企業もあり、「仕事がいつなくなるか」という不安は増すばかり。

意識の高さから、資格や習い事に奔走している方もいらっしゃると思いますが、それで本当に生活できる確証はありますか?

今回は、もし会社が倒産してしまっても心配なく過ごせるキャリアの作り方をご紹介します。

今すぐ脱出すべき 「負の世界」

Light at the end of railroad tunnel. Natural lighting.

My News Japan編集長の渡邉正裕さんは、10年後に食べ続けていける仕事をするには「負の世界」から脱出するべきだと主張しています。

渡邉氏は、日本にある仕事を4種類に分類。その内訳は、

公務員など、日本人でないと就けない職業を「ジャパンプレミアム」
記者などの高いレベルの日本語が求められる職業を「グローカル」
芸術家などのセンスが問われる職業を「無国籍ジャングル」
将来は機械や、海外の安価な人材に置き換えられてしまう可能性が高い職業を「負の世界」

としています。

そして「負の世界」に当てはまる職業は、全体の72.5%にあたり、この「負の世界」の仕事から抜け出すことが、10年後も食べ続けるための方法であると主張しています。

万が一の時にも安心な「トリプルキャリア」の提案

教育改革実践家の藤原和博さんは、「必ず食える1%の人になる方法」として、トリプルキャリアの提案をしています。

1つのものを極めて、オリンピックのメダルやノーベル賞を獲得するのは長い歳月が必要です。そこで小さなフィールドで「100人の中で1位」になれるキャリアを3つ作って、それを組み合わせて、かけがえのない人材になるべきだと提案しています。

さまざまな著書で1万時間を費やしたら、そのジャンルでプロになれると言われていますが、キャリアを掛けあわせて、複数のジャンルで活躍している著名人たちをご紹介します。

トリプルキャリアの実例

その1. 小山薫堂さん
(放送作家、脚本家、ラジオパーソナリティー、作家事務所N35代表、株式会社オレンジ・アンド・パートナーズ代表取締役社長、株式会社下鴨茶寮代表取締役社長ほか)

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画像出典:N35, Inc.

小山薫堂氏は元々、「カノッサの屈辱」「料理の鉄人」など人気テレビ番組の放送作家でしたが、近年では映画「おくりびと」の脚本家や、「くまモン」を大ヒットさせた仕掛け人などとしても知られています。

本業に関連がある、ラジオDJ、放送作家事務所、企画会社の社長から、一見何の関係もなさそうな旅館経営まで、多岐にわたり活躍しています。

興行収入64.6億円、アメリカでアカデミー賞を獲得した「おくりびと」も、前評判がそこまで高かったわけではなく、日本でも「地味すぎる」という評価だったそうです。

また小山さんは、くまモンのヒットについて聞かれた時も、「日本企業は隙のない完璧な製品を作りすぎる。もっと余裕や、振れ幅を設けるべきだ」と話していました。

幅広い業界に携わっているからこそ、業界の常識にとらわれないアイデアを実現し成功を収めてきた小山さん。成功の秘訣は「偶然力」とのこと。

「目標を立てるのは苦手」と話す小山さんは、いろいろな人に出会い、頼まれた仕事を大事にしてきたそうです。「偶然力」を磨くために必要なのは積極的に人と出会おうという姿勢だけ。自己主張が強いと嫌われるので、相手のことを考えてコミュニケーションをするのが一番重要だそうです。

その2. 高城剛さん(作家、映像、DJなど)

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画像出典:takashiro.com

映像作家、DJ、文筆業を初め、幅広い分野で活動している高城剛さん。活躍フィールドが多岐にわたることから「ハイパーメディアクリエイター」という職業を自身で作り、名乗っています。

プライベートばかりが話題になっていますが、元々は105.4万枚の大ヒットを記録した、小泉今日子さんの「あなたに逢えてよかった」のプロモーションビデオなどを手掛けた映像作家でした。

ですが、以後の活躍は多岐にわたり、六本木ヒルズのCMを村上隆や坂本龍一などと一緒にプロデュースしたり、ソニー『AIBO』商品開発、ニューヨークにて「21世紀のクリスマスツリー」の作成、西表島での風力自家発電のカフェなど。

近年は地域ブランディングであったり、国家ブランディングや企業価値を高めるような仕事をコンサルティングファームなどと共に手がけているようです。

場所や業界にとらわれず活躍している高城さんは、今後の社会を生きる上で大切なのは「英語」と「IT」、それに続いて「国際感覚」と「センス」だとコメント。残りは「遊ぶこと」に時間を割いて、より魅力的な人間作りに励むべきだとしています。

ただし、直感に従って自由に生きているかのように見える高城剛さんですが、事業やキャリアに関しては必ず7年計画をたてているそうで、そこはかなり戦略的に取り組まれています。

その3. 岩崎夏海さん(放送作家、小説家、ブロマガ配信)

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画像出典:Amazon.co.jp

「とんねるずのみなさんのおかげです」「ダウンタウンのごっつええ感じ」などテレビの制作に携わった後、AKB48のプロデュースなどを経て、作家としても200万部以上の大ヒットになった「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の執筆など多岐に活動している岩崎夏海さん。

現在では活躍のフィールドを広げている岩崎さんですが、その人生は回り道の連続でした。元々小説を書きたいと考えていた岩崎さんですが、新人賞に応募しても落選ばかり。

縁があり、秋元康さんの会社に就職。ゲームやウェブコンテンツの開発会社を経て、小説への再チャレンジのために、兼ねてブログを始めたことがきっかけで、チャンスはやってきました。

書く話題がなくなり、かつて秋元さんに提出して不採用になった企画を書き始めたところ、「書籍にしたい」と出版社から連絡が。

これが大ヒット作「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(通称もしドラ)が生まれるきっかけだったそうです。

「出版社の新人賞に落選し続け、一度諦めてしまったことが逆にチャンスになった」と話す岩崎さん。エンターテイメントの世界と、ビジネスの実務の両方を経験され、それを掛けあわせることで、新しい切り口の『もしドラ』という名作が誕生しました。

現在は「もしドラ」以上の作品をリリースしたいと執筆を続ける一方、インターネット動画制作や、「部屋を変えて人生が変わった」という岩崎さん自身の体験をもとにした啓蒙活動「ヘヤカツ」に至るまで、作家として成功を収めた今も、多岐のジャンルで活躍しています。

「面白いものを作りたい 」という軸はしっかり持ちながらも、自分で限界を決めずに、さまざまなジャンルに取り組んで、最終的に一番の夢をつかんだ岩崎さん。新しい環境に積極的に飛び込む姿勢は、見習うべきなのではないでしょうか。

伝える能力を磨く

トリプルキャリアを持つ3人の例をご紹介させていただきましたが、3人に共通しているのは「作家」をはじめとした、人に何かを伝える能力に優れている点ではないでしょうか。そこに独自の強みを加えてオンリーワンの仕事を生み出しています。

調和が求められる日本社会で、声高々に自分をアピールすることは難しいかもしれません。でも、もし何かやりたいことや胸の内に秘めた熱いがある方は、自ら発信をして、伝える能力を高めていくことがトリプルキャリアのカギになるかもしれません。

[文・編集] サムライト編集部