カリスマセミナー講師に学ぶ、転職面接で自己紹介するスキル

「自分語り」は面接に必須のスキル

日常生活で「自分語り」をする人は嫌われますが、転職の面接で自分を上手に語れない人は間違いなく落とされます。この「自分語り」のプロフェッショナルがセミナー講師です。セミナーをするためには自分の中の経験やノウハウを徹底的に分析し、それが魅力的に伝わるように構成するスキルが必要だからです。

ここでは一般社団法人日本パーソナルブランド協会代表理事であり、セミナー講師のためのセミナーを開催している立石剛さんの著書『〔決定版〕セミナー講師の教科書』を参考に、セミナー講師式の自分語りの技術を紹介します。

「自分だけの何か」を見つける方法

自分語りのコアとなるのは「自分だけの何か」です。これを見つけることが、魅力的な自分語りには欠かせません。「自分だけのものを語れ」と言われると、「自分は普通の人生しか送ってきていない」と思う人が多いのも事実です。

しかし「体験」「強み」「情熱」の3つの視点で自分を掘り下げていけば、きちんと自分の中のオリジナリティに気づくことができます。

●体験を掘り下げる

体験は具体的に掘り下げるほど、オリジナリティのあるものになります。例えば「同じ会社に10年勤めている」ではオリジナリティに欠けますが、「保険会社の営業として10年勤めていて、これまで300件以上の契約を結んできた」というように、具体化していくのです。

これをするために、まずは思いつく限りの成功体験と失敗体験を書き出してみましょう。成功体験だけでなく、失敗体験も十分自分語りのコアになり得ます。大切なのはそれをどう受け止めて、今に生かしているかだからです。

●強みを細分化する

セミナー講師にとって「強み」は大きなセールスポイントになります。これは一般のビジネスパーソンも同様です。しかし単に「営業力が強みです」「問題解決力が強みです」と言っても、オリジナリティはありません。

自分の強みのオリジナリティがどこにあるのかを掘り下げる必要があるのです。その方法として立石さんが提案するのが「細分化」です。「営業力が強み」と一口に言っても、企画提案力が優れているのか、コミュニケーション能力が長けているのか、価格交渉力があるのかは人それぞれ。

もちろん企画提案力の中にもそれぞれのノウハウが隠れている可能性もあります。セミナー講師はこれをセミナーのコンテンツにしますが、転職の面接では唯一無二の自分の強みとして語ることができるのです。

●情熱を自覚する

セミナー講師の場合の「情熱」は、セミナーをするための根本的な動機になります。対して転職しようとする人にとっては「どうして転職するのか」「どうしてその企業に入りたいのか」という志望動機になります。

例えば立石さんは「1人でも多くの人を自分らしく輝かせたい」という情熱から、セミナーを通じて自分らしくある方法を伝えているのだそうです。この情熱は必ず自分の中から湧き出ているものでなくてはいけません。「どうしても伝えたい(転職したい)」という止むに止まれない情熱が、強い説得力を生むのです。

セミナー講師式自己紹介の流儀

People applauding to successful young businessman with outstretched arms

自分語りのコアを見極めたら、次はそれを「語り」として組み立てていきます。転職の面接ではセミナー講師のように何時間も一人で語り続けることはないので、ここではセミナー講師が心がける「自己紹介」の極意を紹介しましょう。

ステップは2つ。1つ目は「誰に、何のために自己紹介をするのか」を明確にすることです。例えば面接官を相手に自分の家族構成や小学校時代のあだ名について話しても、「それがどうしたの?」と言われてしまいます。

「面接官に自己PRをするために自己紹介をする」という認識があれば、自己紹介に必要な内容が体験や強み、情熱であることが自ずとわかってくるはずです。

2つ目は「自己紹介が信頼関係を作る場である」と認識することです。文章表現・コミュニケーションインストラクターである山田ズーニーさんは「『何を言うか』よりも『誰が言うか』が雄弁なときがある」と言っています。

私たちは「誰が話すか」によって話の内容を受け入れるかどうかを判断しています。自己紹介は「自分が誰なのか」を聞き手に伝える場。どんな内容を話せばそのあとの話も信用して聞いてもらえるのかを意識した自己紹介にする必要があるのです。

自分語りの「フレーム」を確立する

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長時間話していると話題があちこちに飛んだり、論理的に飛躍してしまうことがあります。セミナー講師はこれを防ぐためにフレームワークを使います。このフレームワークには以下のようなものがります。

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「この通りに話す」と意識をするだけでは、本番でなかなか実践できません。日頃からフレームに沿って話す練習をすることで、初めてとっさにフレーム通りに話すことができるようになります。

普段から話題が急に変わりやすかったり、論理的に話すことが苦手な人は、こうしたフレームワークで話す練習を積みましょう。

「パーソナルブランドステートメント」を作ろう

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立石さんはセミナー講師として成功するためには、自分をブランド化することが必要不可欠だと言います。この時にまずするべきが「パーソナルブランドステートメント」、すなわち自分の価値を表す短いフレーズの作成です。

例えば立石さんの場合は「立石剛は、セミナーを通じて、起業家、経営者を、自分らしい成功へと導く専門家である」です。このフレーズは3つの要素で構成されています。

1.誰を対象に、
2.何を提供し、
3.どんな未来を実現する人なのか?

パーソナルブランドステートメントを作ると、自分が何者なのかを定義することができます。すると面接などでどんな話をするべきかが明確になるとともに、「どんな企業に転職活動をするべきか」も明確になっていくのです。

「自分語り」で差をつけろ!

どんなに立派な経歴を持っていても、どんなに役立つノウハウを持っていても、面接の場でそれを語れなければ採用してもらえません。逆に言えば多少見劣りのする経歴やノウハウでも上手に自分語りができれば、評価してもらえるのです。ここで紹介したセミナー講師式自分語りの技術で、周囲と差をつけましょう。

参考文献『〔決定版〕セミナー講師の教科書』
Career Supli
どのようなストーリーで自分を語ったら理解されやすいのか、それを理解する必要がありますね。
[文]鈴木 直人 [編集]サムライト編集部