書を携えて、転職しよう!日本のキーパーソンが選ぶ「転職」のための20冊

書を携えて、転職しよう

「書を捨てよ、町へ出よう」とは寺山修司の評論集のタイトルです。しかしこれは膨大な本を読んだからこそ言える台詞であり、本を読まない人はこれからのビジネスシーンで生き残っていけません。ここでは日本の各方面で活躍するキーパーソンが選んだ20冊の名著を『合本 AERAの1000冊』の中から厳選して紹介します。大著から新書、あるいは漫画まで多種多様な20冊を集めました。ぜひこれらの書を携えて、転職のためのスキルを高めてください。(敬称略)

日本のキーパーソンが選ぶ「転職」のための20冊

1. 佐藤優が選ぶ『論理的に考え、書く力』

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芳沢光雄が著した「答えより、プロセスが重要である」とする論述力についての本です。この本を薦めるのは元外務省主任分析官・佐藤優。同はこの本を読書に自信がない人にオススメしています。1冊目に手に取る本としてぜひ。

2. 出口治明が選ぶ『ムハンマド イスラームの源流を訪ねて』

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小杉泰著、開祖ムハンマドの実像をリアリティのある筆致で描き出した1冊。今後の世界ビジネスを読み解くうえで欠かせないのがイスラム教の知識をコンパクトにまとめた本です。この本を薦めるのは読書家として知られるライフネット生命代表取締役会長、出口治明。

3. 武井由起子が選ぶ『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

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伊藤忠商事を経て弁護士となり、現在は「OVERSEAs(安保法制に対する海外在住者/関係者の会)」の発起人である武井由紀子が推薦する1冊。キリスト教と資本主義というビジネスのみならず現代を生きるうえでも、最重要のキーワードをマックス・ヴェーバーが分析した不朽の名作です。

4. 佐藤優が選ぶ『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』

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アメリカだけでなく日本でもキーワードになりつつある「反知性主義」。国際基督教大学で教授を務めるアメリカ学者・森本あんりが著したこの本は、その歴史から正体を明らかにしています。「反知性主義は現代の闇か光か」。それを判断するためにも、まず読んでおきたい1冊。

5. 坂口恭平が選ぶ『土地と日本人 対談集』

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司馬遼太郎が、松下幸之助や野坂昭如らと「土地を私有化するのはおかしい」をテーマとする対談を行った模様を記録した1冊。「大切なのは、初めに戻って、資本主義だけではない経済がもうあることを認識すること」。ホームレス研究などで知られる坂口恭平はこの本についてそうコメントしています。

6. 藤本由香里が選ぶ『ちはやふる』

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末次由紀が描く、競技かるたをテーマにした少女漫画。競技中の駆け引きやノウハウだけでなく、百人一首に込められた古代の日本人の雅にも触れられる名作です。

明治大学国際日本学部教授であり、漫画研究家の藤本由香里はこの作品を増加傾向にある「和ものジャンル」として位置付けます。胸がときめく青春物語として読むもよし、「競技かるた」×「恋愛」という組み合わせでヒットをさらったそのアイディアに注目するもよし。

7. 藤本由香里が選ぶ『百姓貴族』

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『鋼の錬金術師』などで知られる荒川弘が描く農業エッセイ漫画。「働かざるものを食うべからず」を家訓として掲げる実家で、作者が7年間農業に従事した時の実体験に基づいた作品です。作者の生命との向き合い方を知ることができるのはもちろん、TPPでキーワードになっている「農業」について考えるきっかけにもなります。

8. 松本大が選ぶ『インテリジェンス 武器なき戦争』

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佐藤優と元NHKノワシントン支局長・手塚龍一の共著。この本を推すのはゴールドマンサックスで当時最年少ゼネラルパートナー(共同経営者)の上りつめた松本大です。「インフォメーション」と「インテリジェンス」の差を理解するための好著。

9. 丹羽宇一郎が選ぶ『成長の危機ーローマクラブ「人類の危機」レポート』

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グローバルビジネス学会会長・丹羽宇一郎が、エネルギー問題・食糧問題・人口問題などを考えるための1冊として挙げるのがこちらです。今後数十年のうちにやってくると言われている各方面からの「人類の危機」について、1972年から警鐘を鳴らす1冊。今後の人生を考えるうえでも地球規模のマインドは必要不可欠です。

10. 堀江貴文が選ぶ『経済ってそういうことだったのか会議』

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「『資本主義を理解するための本』ということで真っ先に浮かぶ」本と堀江貴文が言うのが、メディアクリエイターの佐藤雅彦と経済学者の竹中平蔵が著したこちらの1冊。Q&A形式で書かれているので読みやすいのも魅力です。

11. 永濱利廣が選ぶ『資本主義の終焉と歴史の危機』

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第一生命経済研究所・主席エコノミストを務める永濱利廣が、「資本主義の危機」とそれに対する日本のあり方についての本として挙げるのがこちらの1冊です。著者である水野和夫は証券会社のエコノミストや内閣府審議官などを経て日本大学で教鞭を振るう経済学者。

12. 永濱利廣が選ぶ『図解雑学 資本主義のしくみ』

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新たな局面を迎えている世界経済において、知っておくべき資本主義の仕組みを、簡単なイラストで説明してくれるナツメ社の1冊。今後の経済の流れを掴むためにもまず基本に立ち返ってみるのはいかがでしょうか。

13. 川原和子が選ぶ『おいピータン‼︎』

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漫画エッセイストの川原和子が「日常の食事を丁寧に描く作品」の1つとして挙げているのがこちら。伊藤理佐が描く1話完結のオムニバス式コメディで、「食を通じて見えてくる人間模様を鋭く、しかも面白く描いた」作品です。「行動をデザインする」が各業界で1つのキーワードとなっている現在、食からどんな行動が生まれるのかの想像力を養うためにもオススメ。

14. 川原和子が選ぶ『ばらかもん』

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川原が「地方を舞台にした作品」として挙げているのが、アニメ化もされたヨシノサツキ作のこちらの漫画。都会育ちの書道家が五島列島の島に移住するという物語で、島ならではの文化や人々の交流が描かれています。もちろん作品に描かれている部分以外にも島は多くの問題を抱えていますが、それを解決し、本作で描かれる「島の良さ」を守るのは柔軟なアイディアです。自分の将来のキャリアを考えるうえでも読んでおきたい作品の1つ。

15. 鈴木敏夫が選ぶ『路上観察学入門』

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スタジオジブリの代表取締役を務める鈴木敏夫の本棚にある1冊です。赤瀬川原平や南伸坊が集まって作った本で、マンホールや看板、建物の欠片など路上で観察できるもの全てを楽しく観察するための「路上観察マニュアル」。日常の細部にも興味を持ち、他の人が持たない視点を身につけるにはもってこいでしょう。

16. 赤坂真理が選ぶ『若者殺しの時代』

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『東京プリズン』などの作品で知られる赤坂真里が、現代を読むための1冊として紹介するのがこちらの本。「クリスマス・ファシズムの勃興」「浮遊する月9ドラマ」などをキーワードに80年代から行われている「若者殺し」を分析したコラムニスト・堀井憲一郎の著書です。現代を理解し、新たなビジネスを立ち上げるためにも読んでおきたい1冊。

17. 渡邉格が選ぶ『棟梁』

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小山三夫著、宮大工の棟梁への聞き書きをまとめたもので、「任せる時期が遅かったら人は腐るで」など、人材教育のヒントにもなる言葉で溢れた本。『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』の著者である渡邉格(わたなべ・いたる)は同書を「資本主義の中でも強い匠の集団ができるという実践例」を学ぶための本として挙げています。

18. 竹内薫が選ぶ『99.996%はスルー 進化と脳の情報学』

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情報爆発が起こり、世の中に情報が溢れかえった結果、人間の脳は0.004%しか情報を取り込まなくなった。同書の共著者でもあるサイエンス作家の竹内薫はこの事実を受けて、「今後生き残るのは当然『スルーされない』企業」だと結論付けます。今後のプロモーションを考えるためにも必読の1冊です。

19. 仲野徹が選ぶ『フィンランド理科教科書』

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化学同人社から出ている実際にフィンランドの中学生が使っている理科教科書を翻訳したもの。大阪大学教授を務める仲野徹は「理科教育たるものかくあるべし」と絶賛しています。「教育」はビジネスシーンでも重要な要素。ぜひその真髄を理科の知識とともに学びましょう。

20. 出雲充が選ぶ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

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ミドリムシの可能性を信じて、ミドリムシの屋外大量培養を実現したユーグレナ代表取締役の出雲充。同が「起業家のバイブル」として推薦するのが、秋本治が40年近く連載を続ける『こち亀』です。ハリウッド映画への挑戦、フルマラソンへの挑戦、絵本コンクールへの挑戦など、とにかく主人公・両津勘吉は「とにかく何にでも挑戦してみる」という姿勢を貫いています。ビジネスで成功するためには失敗を恐れていてはいけません。その大原則を学ばせてくれるのがこの超長寿漫画なのです。

ステップアップするには読書は必須!

転職によって次のステップに進むためには、仕事ができるだけでは不十分。大きな目で世界を見たり、逆に誰も見ないようなミクロな視点を持っている必要もあります。それを身につけるのに読書は最も効率的な方法です。ぜひここで挙げた20冊の中からきになる本を好きなだけ選んで、自分の将来の糧にしてください。

Career Supli
自分が凄いと思える人がおススメする本は無条件に読んでみることをおススメします。その時は読み進められなくても、その本が身近にあるだけでも意味があります。
[文・編集] サムライト編集部