退屈な時こそ人生の次のステップが
毎日がなんだか退屈。そう感じていませんか。退屈というとネガティブな印象がありますが、実はこの退屈な時こそ人生の次のステップが見える転機となり得ます。
仏教でいう「退屈」=「しなければならないことを見失った状態」
あなたがもし仕事を始めたばかりで新たなスキルを身につけなければならない状態なら退屈になることはまずないでしょう。退屈は仕事がある程度できるようになったり、スキルを一通り身につけて安定した状態になった時に訪れます。
退屈という言葉は元々は仏教用語で、「仏門修行の厳しさに屈し、退くこと」を意味しています。単に時間が有り余っている暇な状態ではなく「しなければならないことを見失った状態」のことを指しているのです。
忙しいけど退屈な現代人
物凄く忙しいけど退屈、そんな人もいるでしょう。しかし、現代人は意識的もしくは無意識的に自らを忙しい状態に追い込むことで退屈を直視しないようにしているのではないでしょうか。退屈というネガティブな感情をできるだけ避けたい心理が存在するのでしょう。
消費するコンテンツが膨大に存在している現代において、たっぷりと退屈な時間を持つのは至難の業です。つい退屈をまぎらわしてしまうのです。
しかし、退屈は誤魔化したり避けるべきものではありません。退屈な時は実は人生の転機が訪れている時なのです。しっかりと退屈と正対しましょう。
退屈な時は基本的に安定した状態です。起こっていることを注意深く観察できます。以前から興味を持っていたこと、やってみたかったことに対して時間を割いて思索をめぐらせましょう。
ビジネスパーソンにとっては現在の自分のキャリアを俯瞰して、副業、転職、起業など新たなチャレンジを検討できるタイミングでもあります。
退屈な安定したときに転機を得た人物の例がアマゾンCEOのジェフ・べゾス氏。彼はアマゾン創業前はヘッジファンドに勤務していました。もちろん高額な報酬も約束されていました。
しかし、べゾス氏は安定した状態を退屈に感じていたのでしょう。しかし、彼はIT革命の先駆けになりたいと考えていたのです。べゾス氏はヘッジファンドを退職しアマゾンを創業。
その決断を後押ししたのは「80歳になったときに自分の人生を後悔しないこと」です。
べゾス氏のキャリアそのものは私たちにとって参考にならないかもしれません。しかし、その考え方は参考にできます。80歳になったときに人生を後悔しないような働き方ができたか、退屈な時こそじっくり自問して過ごすと良いのではないでしょうか。
スキルのないジョブホッパーになるのは回避すべし
一つ気をつけたいのは深いスキルが身についていない状態で転職や起業などの新たなチャレンジに取りかかることです。転職回数は多いがスキルの浅い、ジョブホッパーになってしまうことは避けなければなりません。
ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏は著書『ワーク・シフト』において将来のキャリアのあり方として深いスキルを複数身につけた「連続スペシャリスト」を説いています。
リンダ氏はスペシャリストとしての専門分野を選択する基準としては将来に高い価値を生み出す可能性が高いこと、希少性が高いこと、模倣されにくいことを挙げています。
一方でリンダ氏はこうも言っています。未来は予測しきれるものではないので、好きなことや情熱を持てることを仕事にすべきだと。そうすればスキルを高める努力ができて創造性を発揮して仕事にやりがいを感じることができるからです。そして深いスキルを複数、領域を横断して身につけることで市場から求められる人材になれるのです。
しかしながらいきなり他の専門分野で仕事を開始するのは困難です。もし可能だとしても仕事を始めてから「やっぱり違ったかも」となった場合にリスキーです。
①仮体験してみる
そこで、まずは実際にその専門分野を可能な範囲で仮体験してみると良いです。友人や知人が自分のやりたい専門分野の仕事をしているなら可能な範囲で手伝わせてもらう、見学させてもらいましょう。
文筆業を始めたいならブログで記事を執筆してみましょう。動画制作に興味があるなら簡単な動画を制作してYouTubeやInstagramに投稿します。まずは何か試してみるとよいでしょう。
②専門分野を持った人達と交流する
すでに自分がやりたい専門分野で仕事をしている人と交流を図ってみましょう。まだやりたい専門分野が固まっていない人の場合は異業種交流会やコワーキングスペースなどに通ってみるのもよいでしょう。
海外で爆発的な勢いでユーザー数を増やしているWeWork。日本への進出も間近です。WeWorkにおいては異業種の人との交流ができキャリアを考える上でも非常に役立つコワーキングスペースです。
そのようなコワーキングスペースで、専門分野で働いている人の経験談を聞いてみてください。自分がその専門分野にフィットするかどうかの判断材料になります。
③副業として取り組んでみる
仮体験する、もしくは専門分野を持った人と交流して自分にフィットしていそうな専門分野がわかればしめたものです。その専門分野の学習を深め、実際に副業として取り組み始めると良いでしょう。
副業してみてしっくりくる場合はその専門分野でスキルを磨くために転職を検討してみても良いのではないでしょうか
退屈な時こそ、ごまかすことなく自分のキャリアを再考する、転機となり得るのはないでしょうか。退屈というとネガティブな印象がありますが、退屈に正対してみることで得られるものは計り知れません。
