最強コンビニ「セイコマ」
忙しいビジネスマンの強い味方であるコンビニ。家や職場の近所のコンビニには毎日お世話になる人も多いことでしょう。セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンなど様々なコンビニチェーンが街のあらゆるところに存在していますが、「セイコマ」をご存知ですか?
この単語にピンときた方はきっと北海道民でしょう。「セイコーマート」は創業以来44年間ずっと北海道民に愛され続けてきたローカルコンビニです。どのコンビニチェーンよりも歴史が古く、業界最古参といえます。
道民以外にはなかなか馴染みのないコンビニですが、このセイコーマートはなんと4年連続で顧客満足度No.1のコンビニに選ばれています。(サービス産業生産性協議会JCSI調査による)
北海道ローカルであるセイコーマートが全国展開する大手コンビニチェーンを抜いて、もっとも顧客満足度の高いコンビニとなったのはなぜでしょうか?
北海道内コンビニシェア1位

47都道府県の中で最も広い土地を持つ北海道。コンビニの数は2928件と全国5位の数ですが、人口との対比ではもっともコンビニ比率の高い都道府県となります。
そのコンビニの多い北海道の中で39%ものシェアを誇っているのがセイコーマートです。全国のコンビニの約32%を占めるセブン-イレブンも道内では2番手となっています。北海道には179の市町村がありますが、セイコーマートのない市町村はたったの4つしかないほど、北海道に密着したコンビニなのです。
北海道では過疎化が進む地域もありますが、そういった地域ほど、買い物困難者のためにコンビニが必要なのです。セイコーマートでは「地域の存続が経営に直結する」という考えのもと、北海道全域で店舗を展開しています。
そのような地域密着型の経営方針が顧客満足度に影響しているのかもしれません。
北海道人気就職先ランキング3位

セイコーマートは北海道の人気就職先として、銀行系に次いで3位にランクインしています。その理由はセイコーマートがコンビニとしては先進的な政策をとってきたためかもしれません。
セイコーマートは自社で作っている食品から保存料・着色料の不使用を1998年に実現しており、さらに今ではどのコンビニでも当たり前になっているポイントカード制度を2000年の時点で、どのチェーンよりも先駆けて作っています。
セイコーマートは酒販関係者の集まりから派生し設立されており、そのため他のチェーンよりも早い段階から酒類販売ができたことも創業当初は大きな強みになりました。
商社や大手流通チェーンが母体となり創立されることの多いコンビニ業界の中では、かなり異色の出身ですが、その異色さこそが他のどのチェーンも想像しなかったサービスを生み出したのでしょう。
顧客満足度No.1に納得の品揃え

画像出典:http://www.seicomart.co.jp/
土地が広く、冬には寒さの厳しい北海道では何よりも品揃えの豊富な店が重宝されます。セイコーマートも、コンビニでありながら夏にはバーベキュー用の炭、冬にはストーブに使う灯油など、コンビニではあまり見られない地域密着型の商品を置いています。
しかし、他のコンビニでも主力商品となっている食べ物類も、一線を画しているのです。
セイコーマート店内で調理された出来立ての商品を提供する「ホットシェフ」は1994年に開始されており、店内で炊かれたごはんを人の手でにぎった「大きなおにぎり」などは開始当時からの人気商品です。
お惣菜も包装を簡略化するなどの工夫により、様々な種類が100円で提供されています。2010年からは店内で焼き上げるパンも人気商品となっており、コンビニフーズと一括りにはできないようなこだわりようです。
元が酒販関係だったという強みもいまだに生きており、担当者がワイナリーを訪れ、仕入れたオリジナルワインは400円から販売しています。その種類は60種類以上にのぼり、時期によって入れ替わるワインの中にはワイン通も唸らせるものもあるとか。
愛されるのには理由がある
北海道を中心に展開し、道外では茨城県に1店舗のみというローカルコンビニのセイコーマート。
コンビニなのに24時間営業にこだわらず、夜の街である「すすきの」にある店舗の営業時間はAM11:00〜AM3:30に設定するなど、異色でありながら土地に合わせて店舗の形態を変えられる柔軟さは他のチェーンでは見られません。
北海道という限定された地域内だからこそ、その土地のニーズに応え、地域と共存していく経営が可能なのかもしれません。
コンビニが国内で飽和を迎え、伸び悩むコンビニ業界のなかでセイコーマートは顧客満足を獲得すると同時に、いまも店舗数を増やし成長しています。この成長の源は、上手なローカライズと、新しいサービスを作り出せる、北海道特有の開拓精神にあるのかもしれません。